今度の台風19号の被害は東日本に広がっています。記録的な雨、風、台風の恐ろしさは小さい頃から身に染みていますが大人になった今でも全く慣れることはありません。穏やかな海、清らかな流れの川も嵐と共に一変して轟音と共に襲い掛かってきます。自然の力の前に人など本当に無力、だからこそ災害を少しでも防ぐために護岸に竹が植えられたのです。
南方系の蓬莱竹は直径が2~3センチ程度と竹としてはかなり細いものの一つの株から何本も何本も生えて強靭な根を張り地面を堅牢に堅めてくれます。西日本の河川で多く見られて根が外に伸びていかないので田畑や人家の近くでも重宝されてきた竹でもあります。これだけ立派な大きさの株に成長するのには恐らく100年近くかかっているのではないかと思います。
都心部を流れる川も氾濫していますが、かっては江戸川にも護岸のために篠竹という蓬莱竹とよく似た頃合いの太さの竹が植えられていたのです。そして、その竹を使って生まれた細工が篠崎ざる。ひっくり返した自作の籠の上にのって「どうだ!?」と職人さんが言わんばかりの自信にあふれた強さの製品が編まれていました。当時は200軒もの竹細工屋があり同じ篠竹を使ってざる編んでいたと言いますから川岸に本当に多くの篠竹の林が続いていたという事を窺い知るのです。
台風15号でも被害のあった千葉県に小糸川という蛇行した川があって、その両岸には竹が繁っている事をご紹介させて頂いた事があります。このような竹林を見る度に先人の災害への畏怖、安全への願いを見る思いですけれど自分達にとりましても他人事ではありません。今回の台風被害が最小限である事をお祈りしています。
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