「黒色の作務衣」と見た人は言うが泥染めは黒色ではない、まず藍染した生地を更に泥染めしていするのだ。泥染めは文字通り泥の中に生地を浸けて染色する奄美大島だけで行われている伝統の技であり、有名な大島紬もこの泥染めであの美しい色合いが生みだされている。
今日、改めて作務衣を数えてみたら30着近くある。しかし、その中で日常着るものは20着程度でありそのほとんどが笹倉玄照堂のものだ。おっと昔から馴染の自分などには、この名前がしっくりくるが今は「玄照堂」と社名変更している。
玄照堂の泥染めは奄美大島の伝統工芸士、原仁左エ門氏とのコラボで生まれたと言う。何度言うが「黒」ではない。だから泥染め作務衣は水洗いをかける度に黒から藍色が磨きだされるようで乾き上がりが待ち遠しくてたまらない。夜遅く自宅に帰っても、洗いたくて仕方なくなり自分で何度か洗濯機を回す事があるほどだ。
ほら、これだ。よく擦れる箇所から薄ら藍染めが現れてくる。これからどんな風に色合いが変化していくのか、泥染めの愉しみだ。
作務衣にも作家物があって数十万円というものも今まで見て来た。しかし、さすがにこれでは高級な着物のようになってしまい仕事着としては使えない。玄照堂の作務衣は手頃な価格でありながら生地からこだわっている所が良い。本当は一番最初に手に入れた独特の風合いに変わっていく初期の藍染生地が欲しいのだが今では製造できないので仕方ない。
それでも、これだけの着心地は知らないので数年前にオリジナルと言うほどでもないが、竹虎の刺繍入り作務衣を作った。自分が毎日着るものなので腰ポケットも追加してある、10着作って余ったから誰か欲しい方がいないかと聞いてみる事にした、そしたら驚いたことに次から次に声が上がる。そこで今ではS、M、L、LLとサイズを取りそろえている。
定番の藍染が自分も一番のおすすめである。普通のお父さんだったら休日に家でのんびりする時にしか着ないから恐らく一生に一着あれば事足りる。その一着を色落ちさせながら愛用すればいい。この泥染めは、もう少しハードルが高い。
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