最後の箕作り職人のいる日本に感謝したい気持ちでいっぱいです。たまたま写真には4種類の箕しか写していないものの本当は5種類の大きさが一番大きなサイズから順番に入れ子となりキッチリと収まっていて、まるで工業製品でも見るかのような出来栄えです。
今では竹を伐って運んでくれる業者などいません、自分達で竹林に入り竹を選び伐採し運び出してくる労力だけでも大変なものです。しかし、60年黙々と毎日この箕だけ編み続けて来ました、今日も当たり前に竹と向き合うだけ。まさに本物の職人です。
長い竹ヒゴを6枚剥ぎにして編み込みます。昔ながらの職人は竹を無駄にしません、これだけ使いきってくれたら伐られた竹も本望です。竹が喜んでいます、この工房に来て感じる心地良さや安堵感はきっとこのせいだと思いました。
「この道一筋」とか良く言われますが、箕ばかり数十年編んできた職人に言葉もありません。作り続けて来たという事は注文があって使われ続けてきたと事の証です、つまりは作り手は使い手があってこそなのです。
農具や漁具として編まれた実用的な青物細工は使い手が竹を鍛えて続け、作り手が応え続けてきた歴史です。だから伝統の竹細工は美しく価値があります。この箕にも裏面の両端の傷みやすい部分には力竹を入れて補強されています。
そして、これですコレ!何と言いましてもこの箕の素晴らしさは箕先にあります。一目で技術の高さを知らしめる言わば職人の見せ場、最近はあまり見ないだけに惚れ惚れとしてしまいます。
この箕の生産量を聞くと嘘のような数の多さに唖然とします。それでも7~8寸の真竹をトラック何台も使っていた当時からすれば随分と少なくなったそうです。
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