農家さんの納屋を覗かせてもらう楽しみは、多くの場合このような年期の入った箕に出会う事です。箕は昔から無くてはならない道具だったので、それこそ日本中どこに行っても見かけますし場所によっては一つや二つではなく10個以上も薄暗い物置のあちこちに置いてあったりしています。
ややっ!?編み込みの繊維質があの箕に似てます。瞬間的に国の重要無形民俗文化財にも指定されている藤箕を編むあの職人さんの顔が浮かびました。
藤箕は根曲がり竹と藤を組み合わせて編み込んだ丈夫な箕です。藤の柔らかな繊維はプラスチックとは違って収穫したジャガイモの運搬にもキズが付かないと遠く北海道あたりでも重宝されていて近年まで何と年間2000枚も生産され流通していました、日本全国どこにあっても不思議ではありません。
ところが、藤箕は持ち手部分に当たるUの字部分はニセアカシアという木を使いトイソと呼ばれる藤皮で巻いて作ります。こちらの箕は持ち手部分に割った複数の矢竹が使われていて明らかに産地が違うのです。
必需品であった箕は北から南まで様々な地域で特徴ある箕が編まれてきましたので今となっては何処で誰が作ったものなのかも知ることはできません。ただ往年の力強さを放ち続けているのです。
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