「鳥籠」などと書くとウーロン茶の事しか思い浮かばないかも知れません(笑)しかし、ウーロンは「鳥龍」ですので竹冠が付いていません。まあ、鳥籠と言ってもそれだけ馴染の薄い物になっていますが、自分の小さい頃には多くの家庭にもこのような竹製のヒゴで作ったコバンと呼ばれる鳥籠がありました。そして、今でも竹林に入るとあちらこちらから聴こえてくる様々な小鳥達を籠に入れて普通に飼っていたのです。
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自分も多い時はに5~6羽のメジロを飼っていました。メジロのエサは大根葉だったと思いますが道端や空き地に生えている雑草の中にも適した草があり、それをスリコギでつぶしてキナコと混ぜ合わせます。草の種類や混ぜる分量、エサの粘度にいたるまで細かい飼育の仕方は先輩や地域の大人達から教わりましたので良い時代だったと思います。
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鳥モチでメジロやウグイスを獲りに行く事は楽しみでした。良く鳴くメジロの周りには同じようなメジロが沢山飛んできます、そして鳥モチの枝にとまって面白いように生け捕りにできるのです。近くの万屋に行くと置いてあった鳥モチも最近はホームセンターでも見かけません。手にベチャベチャくっつく鳥モチも水気があれば大丈夫なので自分達は口に入れてガムのように噛んでました。柔らかくなり粘度が増します。
参加した事はありませんでしたけれども当時はメジロの鳴く回数を競う大会も開かれていたほどですので良く鳴くメジロが好まれて、そのようなメジロの見分け方も教わりました。
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そう言えば、コバンには山で捕獲した小鳥を沢山入れられる大きなタイプもあったように覚えています。自由を奪われた鳥達が籠の中で暴れないように上かに布をかぶせると静かにおとなしくなるのが不思議でした。水浴用の特別な鳥籠もありました、水を張って置いておくと気持ち良さそうに水浴びをして遊ぶのです。そうやって野鳥が目の前で観察できるというのは今にしても思えば非常に貴重な体験だったとつくづく感じます。
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今ではメジロやウグイスを捕獲するのも飼育するのも禁じられています。しかし楽しみの少なかった昔から人々は山の小鳥を飼い、その美しい鳴き声を自宅で愛でていたのです。そして、必然的に近くには鳥籠を作る職人さんがいました。
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鳥が出入り口から飛び出さないようコバンにはロック機能が付けられています。これが人真似のキライなこだわりの職人によって様々な違いがあって又面白しろかったのです。
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ところで、山に連れて行ったオトリ役のメジロがさっぱり鳴かない事があります。そのような時にはどうするのかと言いますと自分で口笛を吹いて鳥達を呼び寄せます。
これは山で何度も何度も練習しているうちに上手くなっていきます。実は明徳中学の当時、山に囲まれた学校ですので近くにウグイスも沢山いましたので呼び寄せて友人達を驚かせた事がありました。別に特別なことではなく田舎では誰でもある程度はできた事だったように記憶しています。
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いつだったか竹林に社員といた時の事です。向かいの谷間にウグイスがいたので、
「ちょっと此処に呼んじゃおうか?」
驚かせてやろうと久しぶりにやってみましたが思うように吹けません、技が衰えていたようで全くダメでした。