汗ばむ陽気となってくると肌にトラブルを抱えてる自分などは少し気をつけねばならない季節です。湿度が高くなるのは良いのですが、今度は汗が刺激となって湿疹が出る事があるので厄介です。
まだ自分は男だからあまり人目を考える事もありませんが、それでも掻きキズの絶えない脚の見える半ズボンなどはこの歳まで履いた事がありません。だから、肌の露出も多くなってくる夏に向けて女性の方などは、さぞ大変ではないだろうかと思っているのです。
アトピーの語源は「奇妙な」というギリシャ語だそうです、全くその通りで一体何が原因で痒みが出たり、出なかったりするのか?食べ物が悪かったのか?あの洋服の繊維?あんな事をしたから?さんざん考えてきましたが分かりません。
小さい頃から皮膚科に通いつめ、「治療費を一体いくら払ったか分からない」と母が嘆いていました。いやいや、そればかりか菩提寺の住職さんに燃えさかる炎の上で真っ裸で祈祷してもらった事さえあるのです(笑)。
中学から高校に上がる頃だったと思いますがハゼにまけました。甲子園で活躍しているので全国でもご存じの方も多いかと思いますが、自分の母校である明徳中高等学校は当時全寮制であり山に囲まれた谷間にありましたのでハゼの木があっても不思議ではありません。ウルシ科のハゼノキの下を歩くだけで弱い人はかぶれますので、てっきり自分もそうとばかり思っていました。
ところが顔半分が真っ赤に腫れ上がったまま何日たっても良くなりません。当時は野球と寮生活に追われて少々の事には構ってられなくもありました。しかし、さすがに重症となり皮膚科に行くと明徳に入学して数年少しおさまっていたアトピーの再発という事が分かりました。
そして、その病院でステロイドに出会ったのです。薬の効果には心底驚きました、診察してくれた先生にも感謝したい気持ちになりました。塗布してもらって数時間かけてバスで各病院を巡回して生徒を乗せながら学校に戻るのですが、帰って寮で鏡を見たら顔の腫れがすっかり治っていたのです。
魔法の薬「ステロイド」とは実はそれから40数年のお付き合い、一度も手放したことがありません。いえ、ステロイドが怖いと言うことを聞いてから止めようと思った事がありました。ところがです。経験のある方もおられますでしょうか?無理に薬を止めてしまうと痒みで仕事どころか生活ができません。
お医者さんの話をきかず無理に薬を止めて竹酢液など自分達が慣れ親しんでいた昔ながらの方法で対処しようとしました。日増しに症状が悪化してきました、今思えば素人考えでありましたがその時はキッパリとクスリの塗布を止めていました。
ところが最後にはお尻にあった患部がヒビ割れ、皮膚から膿が染み出しパンツどころかズボンまでベットリ濡れるほど酷くなりました。それが乾くとカチカチになって椅子に座れません、車にも乗ることもできません。痒みに耐えかねて手頃な太さの竹でピシピシと音を立てるくらい何度も何度も叩いていました。痛みは辛い、我慢できないほどの事もある、しかし痒みはさらに我慢できないことをその時はじめて知りました。
このような経験から皮膚科の飲み薬も含めたステロイドと、竹酢液など昔から皮膚のケアに使われてきた民間療法的な自然素材とを組み合わせて自分なりのバランスを取ることが必要だと痛感しています。
悪い事にこの頃の竹虎は経営危機を迎えていました。生活様式の変化、安価な輸入品の増加で売り上げは下がるばかりです。いつ破綻しても不思議ではない借金の重圧の中でも何とか日本唯一の虎竹を知ってもらいたい、こんな100年続く素晴らしい竹文化はしっかり伝えれば愛してくれる人は必ずいる。そんな気持ちだけで全国を飛び回り、2週間、3週間連続の出張が続いていました。
丸一日立ちっぱなし、歩き回って汗まみれの身体をシャワーで流したい...しかし、その時ビジネスホテルに常備されているボディソープがヒリヒリと肌に刺すように痛くて使えないのです。
スキンケアの基本は肌を清潔にする事からです。身体を洗えないようでは話になりません、ちょうど子供も生まれた頃でした。「アトピーの自分と家族ために石鹸を作ろう」、虎竹の里竹炭石鹸はこうして誕生するのです。