経年変色した山葡萄も竹に劣ることなく魅力的です、もう長く愛用するものは30年になりますがシンプルなだけに飽きがこないばかりか更に愛着がましてきます。この山葡萄長財布はこれからですが、お使いただく方が触れる機会の多い品だけに手油で色合いがどんどん良くなっていきます。
母がセカンドバックを購入した頃は山葡萄を知る人も少なく、今思えば驚くような安価な値段で手にしました。職人さんもまだまだ沢山おられて、籠が大きな段ボールに山積みになっていたのを思い出します。
前にもお話ししたように山葡萄に人気が出てからは海外の素材を使用したもの、海外生産のもの等が目につくようになりました。以前のように粗悪な物は皆無となり見分ける事ができないほど素晴らしい出来栄えの籠バッグがありますので海外製品が悪いという事でもありません。
竹虎は当然ながら地域の竹と職人、国産にこだわり抜く一方で、東南アジアにも定期的に出かけて行き勉強させてもらっています。中国は竹の本場ですから何度行ったか分からなくなりましたが、どこに行ってもギラギラした目のヤル気にあふれた職人さんが印象的です。しっかりした工場では高品質の製品を産みだしているので、きっと中国製の山葡萄もそのような職人さんが作られているのでしょうか。
ただ、一時は関心を失っていた日本の昔ながらの素材に再び心が動く職人との触れ合いがあり、山々でのモノとの出会いがありました。
山葡萄の蔓は水で決まると言います。「この美しい山水で育つ葡萄蔓だからこの赤味が出る」だとか言われると、ああ竹山の職人と同じだと嬉しくなります。それぞれの山深い地域で、それぞれの作り手がプライドを持って編み続けているのです。
コメントする