まずは、この素晴らしい竹骨からご覧いただきたいのです、これらは全て越中福岡で400年以上も前から作られる菅笠に使用される竹骨なのです。富士笠、立山笠、市女笠、三度笠、胴深笠、一文字笠、角笠、ヘルメットなど色々と種類が多くて驚きますがつい数年前までは数千個単位での製造が行われていたと言いますので日本のシェアの90%を占める本当に一大産地なのです。
富山県高岡市周辺では菅(スゲ)が栽培され、その刈取りからスゲ干し、笠骨の製作、菅さし、仕掛け、のずけ、菅こき、笠縫いと言った菅笠づくりの一連の流れを地域の職人が分担し製品として完成させています。2009年には、この技術が国の重要無形民俗文化財に認定され2017年11月30日には国の伝統的工芸品に指定されています。
時代劇では次郎長の親分が被っていたのはこの三度笠でしょうか?竹骨だけでも惚れ惚れするように見栄えです。
今までずっとこの笠骨作りに従事されて来て数えきれない程の竹骨を作られた本物の職人さんは寡黙ですが迫力が違います。
その一端を垣間見るのが無造作に壁に掛けられている穴だらけの板なのです。年期の入った五寸釘が打たれているのを見れば竹を扱う者ならピンときます。
そうです笠の竹骨を曲げて固定するための道具です。繁忙期には一日に何十、何百と製造していきますので竹骨を次から次へとこの釘に引っ掛けて型が付くまで置いておくのです。
富山の冬は雪も降りかなり冷え込みます。しかし工房にはさしたる暖房器具も見当たらず職人さんが黙々と仕事に打ち込む姿があるだけです。やはり凄味が違う、圧巻です。
このようなヘルメットは既に竹骨の状態で格好良く、思わず欲しくなります。菅草には防虫・抗菌作用のあるコボフェノールAや肝機能障害をおさえるパリドールという成分が含まれると言います。今までとは違う需要の開拓として野球帽なども試作されていましたが伝統の確かな技術があってこその新しい製品づくりです。
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