パリにあるケ・ブランリー美術館(Musée du quai Branly)で「空(くう)を割く 日本の竹工芸」が開催されています。到着の空港で美術館巡りに来たという日本の方と偶然一緒になったので聞いてみると名前を知らないようでしたが、アフリカ、アジア、オセアニア、南北アメリカの固有の文明・文化・芸術を扱っていて展示されているプリミティプ(原始的、根源的)アートと言うのはフランスでも非常に根強い人気を誇っているそうです。
一昨年でしたか、いつもお世話になっている四代田辺竹雲斎さんに教えて頂き見学に来た時にはズラリと並んでいるアフリカ大陸のお面や民具の醸し出す雰囲気に圧倒されました。展示されている作品は恐らく一部であり、このような収蔵品が30万点と聞きますから想像すらできない世界です。ただ、散策を楽しめる美しい庭園には竹が植えられており、そこから眺められるエッフェル塔が最高です。
このケ・ブランリー美術館で明治から現代までの竹工芸の作品160点が一堂に展示されているのです。現代作家では、四代田辺竹雲斎氏、長倉健一氏、森上仁氏、米澤二郎氏、植松竹邑氏、杉浦功悦氏、本田聖流氏らの作品がありました。初めて作品を拝見する方もいて見応え十分、動画などで作家の人となりも知る事ができます。
自分が入館させてもらった日も少し驚くくらいのお客様がいて日本の竹工芸への関心の高さを物語っているようでした。
また不思議な事がありました。渡仏の数日前、パリに行くのはもちろん竹工芸の事など一言も話していなかった母が一枚の切り抜き記事を手渡してくれます、何気に見ると今回現代作家として紹介されているお一人、本田聖流氏の事が書かれた記事でした。
あの竹は、この方だったのか!?
少し前に北陸の雪の中で見た、頭を垂れ下げてこらえている竹が目の前に蘇るような衝撃を受けました。だから今回は拝見できるのを楽しみにしてました。
作品が収納される桐箱が、こんなに展示されているのは初めてでした。
このような素晴らしい竹工芸は日本の方にこそご覧いただきたいと思います。日本の竹を使って日本のアーティストが創造する竹、それを見る目、感じる心を日本の皆様こそが持っているからです。
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