竹虎の新卒採用動画ができました。



竹虎の新卒採用動画が出来ました。新卒採用と言いましても新卒の方だけではありません中途採用の皆様にもご覧いただきたいですし、採用など関係なくとも竹虎や虎竹の里を知っていただく一つの入り口になるのではないかと思っています。ただ、5分を越える長さなので余程関心のある方でないと最後まではご覧いただけないかも知れませんが、工場で働く職人、EC事業部、受注、店舗配送などそれぞれの部署の社員へのインタビューなど生の声も入り、竹虎でどのような仕事をしているのかが良く伝わる動画ではないかと思っています。


朝礼


専務が朝礼の意味合いについて話してくれていました。毎朝の朝礼、毎月の全社会議など最低限の意識の共有は本当に大事で、自分達がどっちの方向に向かっていくのか?そのベクトルを合わせるだけでも大いに仕事に役立ちます。


その上で毎月、一対一での面談をさせてもらっていて大変でもあり、楽しみでもありますが手探りで2006年に取り組みをはじめてから何とか続けるだけは続いています。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)


動画の中では竹虎の求める人材について少しお話しさせて頂いています。田舎の小さな竹屋です、当社のような会社を知ってもらい、お越しいただける気持ちだけで正直嬉しくて思っています。ただひとつ、譲れないのは竹を愛する気持ち、それだけです。


生き残る者は、強い者でも頭の良い者でもない。変わり続けた者だけ

Li Couture


先のパリでの事です、早朝にホテル近くの薄暗い道を歩いていました。そうしたら誰もいない静まりかえった街並の中、一軒の洋服屋さんらしきお店が開いており中では職人さんが一心不乱に手仕事に励まれています。その姿が竹虎を退職されて自宅兼工房で自分のペースで内職仕事を続けてくださっている職人に重なりました。


沢山吊り下げられた洋服が見えるので縫製作業をされているのか?通りかかっただけの何も知らないお店です。しかし、バカンスが長いとか聞いており、何となく勤勉なイメージは、どちらかと言うと少ないフランスにあっても手仕事をする職人の世界は同じです。自分の手から価値を生み出す竹職人を見るかのように思うと嬉しくなって暫く眺めていました。


Uber


田舎者で日本語すら満足ではなく、土佐語しか話せません(笑)。なので海外など行くと地下鉄やバスといった公共交通機関を乗りこなす事に憧れるものの、迷ってしいまそうで利用できずにいるのです。そこでもっぱらの移動手段はタクシーでしたが、最近Uberを使う事を覚えましたが、使いだすとこれほど便利なものはありません。決済がカードで済んでいるので現金が不要ですし、知らない土地でも行きと帰りで料金が違うなどという事がありません。


また、Uberでは車種を選べますので少し割高ではありますが先のパリ市内で「Berlin」というハイヤーに相当するらしい車を選んでみました。するとベンツやアウディといった高級車が数分でやって来ると言いますからビックリします。一度乗車した車はTESLAという名前をかすかに聞いた事があるような車でした。初めて乗る車ですが何とコントロールパネルと言うのでしょうか?パソコンの画面のようなモニターがついています。


人を車で運ぶというずっと昔からあったサービスを圧倒的に利用すやすくしたUber、そしてこのTESLAという車。同じコトやモノでも進化し続けなければならないと感じさせてくれます。「生き残る者は、強い者でも頭の良い者でもない。変わり続けた者だけだ」という有名な言葉を思い出します。自分達も虎竹という背骨は変わる事はありませんが創業の1894年以来、作り出す製品や仕事のやり方はずっと変わり続けてきたから今があります。




変わらない職人の手仕事、変わり続ける竹の仕事、どちらも車の両輪のように大事なものなのです。昨日から公開している竹虎新卒採用動画で求める人材を問われた時に、やはり一番に考えた事は「変わる」でした。


竹虎四代目(山岸義浩)


そうこうして、今回はスペインのビルバオからロンドンのヒースロー空港まで飛んでから乗り換えて羽田、さらに乗り換えて高知に帰ってきてヘトヘトでした。しかし、誰も迎えには来てくれていません。この格好のせいでしょうか?(笑)


明石高校では黒竹の花が開花

黒竹の開花、新聞記事


先日お客様からお送りいただいた神戸新聞には「数十年に一度?タケ開花」と、またまた竹の開花に関する話題が掲載されています。明石市の県立明石高校の庭に植えられている黒竹に花が咲いたとう事なので本当に全国的に竹の開花時期に入っているのは間違いないようです。


孟宗竹の花


昨年たまたま日本最大級の孟宗竹の開花竹林を見つけた時には思わず声があがるくらい興奮しました。孟宗竹は60年、真竹や淡竹は120年に一度と言われているので色々なところで竹を見ている自分も本格的な開花は知らなかったのです。


竹の花


開花スパンがあまりにも長いので人の一生の内に見られる事は稀な事、なので地元の山主さんや竹職人ですら竹の花とは気づかずにいたほど珍しいものです。竹虎ではウェブサイトでお買い物いただいたお客様に竹花のプレゼントを始めましたが、孟宗竹数本伐り倒しただけで凄い数の花が取れましたので今年になっても、まだまプレゼントは続いています。


孟宗竹の開花


一斉に花の咲いた竹林は、だんだんと勢いがなくなり枯れてしまいます。通年青々と生命力にあふれた竹が覇気がなくなっていくので昔は不吉な象徴のように思われていました。今まで見た事もない異様な光景ですので仕方のない事だったかも知れませんが、これも自然の摂理です。枯れた竹は種を残し10年、15年という長い時間をかけて元の美しい竹林に再生されて行きます、そう考えれば次世代の誕生という素晴らしい瞬間に立ちえていると言えます。


【竹虎】60年ぶり?孟宗竹の花が咲いた!


続・越中福岡の菅笠製作について

越中福岡の菅笠製作


越中福岡、菅笠の製作は竹骨から菅さし、仕掛け、のづけ、菅こぎ、笠縫いまでずっと手作業で進められます。暑い最中の7月に人の背丈以上に成長した菅を刈り取り、天日干しさせて乾燥させた材料を使って笠骨は男性の仕事、笠縫いは女性の仕事とされて来たそうです。


菅笠製作


笠縫いのステッチをご覧いただくといかに細かい手仕事かお分かりいただけます。


笠ぼんこ


竹で作られた道具が入った菅笠作りの道具箱は「笠ぼんこ」と呼ばれます。この地域では嫁入り道具として誰もが持っていて母から娘へと受け継がれてきた物もあると聞くと長い伝統を感じて心が温まるようです。


越中福岡の菅笠製作


ずっと菅笠縫いの仕事をされてきた職人さんに、しばらく仕事の様子を拝見させてもらいました。


越中福岡の菅笠製作


静かな時間が流れます。一針、一針、丁寧な根気のいる仕事がずっと続いていきます。


越中福岡の菅笠製作


しかし、こんな地道な手仕事があってこそ美しく感動するような菅笠が生まれます。


越中福岡の菅笠製作


溜息の出るような一文字笠、素晴らしいの一言です。


越中福岡の菅笠


ただ、ひとつ残念な現状がありました。これだけの長い歴史のある越中福岡の菅笠作りであるはずなのに一部の笠の骨にはプラスチックが使われているのです。


これを「嘘」と呼ぶには少し厳しいかも知れません。沢山生産してきた地元にも時代の変化と共に人手不足、材料、コストの問題など自分達と同じように多くの課題がある事が分っているからです。でも、竹骨職人が健在であるならば、竹骨をプラスチックに変える意味があるのだろうか?こうしてコストを下げて生産量を増やたとしても、それが越中福岡の菅笠なのでしょうか?少なくとも地域の誇りでもあるはずの伝統技術が継承されて行くとは思えません。


八重山クバ笠


石垣島で作られている八重山のクバ笠も、自分が一体に何に感激したかと言えば外からは見えない蓬莱竹で作られた竹骨でした。それが同じように先人からの技を引き継いでいると思ってた菅笠に、安易に形だけ真似た大量生産される異素材が使われていることにショックを受けます。


本当に知らないのか?ただ、勉強不足なのか?プラスチックの骨を使わざるを得ない理由があるとすれば、それをしっかり説明する事は産地と扱う側の大きな責任です。自分は菅生産の歴史、職人のひたむきさや、竹骨の美しさに感動しました。そんな菅笠のこれからを、お客様含めて皆で考える契機となるはずです。


越中福岡の菅笠製作について

越中福岡の菅笠、笠骨


まずは、この素晴らしい竹骨からご覧いただきたいのです、これらは全て越中福岡で400年以上も前から作られる菅笠に使用される竹骨なのです。富士笠、立山笠、市女笠、三度笠、胴深笠、一文字笠、角笠、ヘルメットなど色々と種類が多くて驚きますがつい数年前までは数千個単位での製造が行われていたと言いますので日本のシェアの90%を占める本当に一大産地なのです。


富山県高岡市周辺では菅(スゲ)が栽培され、その刈取りからスゲ干し、笠骨の製作、菅さし、仕掛け、のずけ、菅こき、笠縫いと言った菅笠づくりの一連の流れを地域の職人が分担し製品として完成させています。2009年には、この技術が国の重要無形民俗文化財に認定され2017年11月30日には国の伝統的工芸品に指定されています。


190128010.jpg


時代劇では次郎長の親分が被っていたのはこの三度笠でしょうか?竹骨だけでも惚れ惚れするように見栄えです。


笠骨職人


今までずっとこの笠骨作りに従事されて来て数えきれない程の竹骨を作られた本物の職人さんは寡黙ですが迫力が違います。


越中福岡の菅笠、笠骨職人


その一端を垣間見るのが無造作に壁に掛けられている穴だらけの板なのです。年期の入った五寸釘が打たれているのを見れば竹を扱う者ならピンときます。


越中福岡の菅笠、笠骨職人


そうです笠の竹骨を曲げて固定するための道具です。繁忙期には一日に何十、何百と製造していきますので竹骨を次から次へとこの釘に引っ掛けて型が付くまで置いておくのです。


越中福岡の菅笠、笠骨職人


富山の冬は雪も降りかなり冷え込みます。しかし工房にはさしたる暖房器具も見当たらず職人さんが黙々と仕事に打ち込む姿があるだけです。やはり凄味が違う、圧巻です。


笠骨職人ヘルメット


このようなヘルメットは既に竹骨の状態で格好良く、思わず欲しくなります。菅草には防虫・抗菌作用のあるコボフェノールAや肝機能障害をおさえるパリドールという成分が含まれると言います。今までとは違う需要の開拓として野球帽なども試作されていましたが伝統の確かな技術があってこその新しい製品づくりです。


竹弁当用に網代編み柄の風呂敷を作りました。

竹弁当箱


通気性の良い竹弁当箱は朝作ったごはんがお昼休みになっても蒸れずに美味しくいただけるとお陰様で好評をいただいています。虎竹、白竹、スズ竹、竹集成材に作られた重箱、竹皮編みのものまで色々と揃っていますが今回これらの弁当箱の持ち運びに便利な風呂敷を作ったのです。


竹弁当用風呂敷g


デザインをどんな風にしようかと色々と考えましたけれど、昔から竹弁当は網代編みが定番中の定番です。ギッシリ目を詰めて編まれた強さ、それでいて柔軟性があり、通気性も確保されるという最高の編み込みをデザインにしました。


竹弁当用網代模様風呂敷


網代編みの模様は、竹をこよやく愛してやまない版画家の倉富敏之先生の作品からデザインをお借りしました。版画の温もりある優しいタッチが大好きなので出来るだけ風呂敷の柄に表現したいと思ったのでした。


竹弁当用風呂敷


こうして見ますと竹虎ロゴマークも見えてなかなかの出来映えです。


竹虎風呂敷


サイズは(大)が70センチ×70センチ、(小)が53センチ×53センチの二種類あって竹集成材の二段重箱なども余裕で包めるサイズです。色は現在のところ一色だけです、ぜひ竹弁当箱と一緒にお使いただければ嬉しいです。


サイフォン式コーヒーのための竹製ヘラ登場

コーヒーサイフォン撹拌用竹ヘラ


一日に必ず4~5杯は飲むコーヒー好きだと自認しています、特に朝はコーヒー飲まないと何かモノ足りずウズウズしてしまいます。しかし、そんな自分など足元にも及ばないコーヒー好き、コーヒーマニアの方が世の中には沢山いるのだと言うことを知りました。


コーヒーサイフォン撹拌用竹ヘラ


そもそも竹虎で使い勝手の良い化粧品などにも使えるワンランク上の多目的用の竹製スパチュラ(竹ヘラ)を作ったことが始まりでした。これは、これでエステ用などにもお使いいただき好評だったのですが、このスパチュラがあるコーヒー愛好者の方の目にとまったのです。


コーヒーサイフォン撹拌用竹ヘラ


竹製スパチュラは、おそよ考えられる使用目的に最適なサイズを考慮して製造しています。そこまで需要のある物では無く、いたずらにサイズを揃えてもコスト高になってしまい使いづらくなってしまいます。


サイフォン用ヘラ


しかしサイフォン式コーヒーで撹拌の工程に使われる竹ヘラは、味を決める一番大切な部分との事で幅や長さにも、それぞれ細かなこだわりがあります。そこで、サイズ変更して新しく製作したコーヒーサイフォン撹拌用竹ヘラをお送りさせて頂くとお客様から感想をいただきました。


【お客様の感想】相も変わらのずやさしい手触りは、感激です!以前購入しましたスパチュラは長さが20cm,今回のサイフォン用ヘラの長さは24cmで長さの差は4cmですが、この僅か4cmの差でロート内のお湯とコーヒー粉を軽くかき混ぜますが、その時のヘラの持ち方が全く変わってきます。撹拌するお湯とコーヒーの入ったルートの深さは約12cm有り、ロート(ガラス製)の温度は82℃~90℃と熱いので、手が触るとやけどをしそうです。 そのためスパチュラ(20cm)では端を上からつかみますが、今回送付いただきましたサイフォン用ヘラ(24cm)では柄の部分を4本の指と親指で持ち、撹拌できます。


撹拌はコーヒー粉とお湯とを混ぜまくるのではなく、お湯に浮いているコーヒーの粉をお湯の中に沈めるような感じで混ぜます。そのためにはヘラに適当は幅が必要です。それに竹材は密度が高いため、縦にした状態でコーヒー粉とお湯を撹拌してもその際に、大きく浮力を感じる事がないのが良いです。(マニアックすぎますか?!)


また、画像などお送りいただける予定になっていますが、コーヒーひとつ取っても奥が深いものです。


パリの犬矢来

虎竹犬矢来


京都を歩くと必ず目を引くのが塀に設えられた犬矢来です。元々は軒下を守るための柵のようなもので犬のオシッコ除けだとか、雨宿りお断りのためのものだとか言われますが現在では古都の町を彩る無くてはならない竹の造作物となっています。


虎竹で製作することは珍しく、多くは白竹や青竹で作られています。出来あがったばかりの晒竹犬矢来がズラリと黒壁に並んでいたりすると本当に美しいものですけれど、これが時間の経過と共に色褪せ、枯れた風合いになってからでも又味わいが出てくるので竹はいつまでも楽しめるものです。


パリの犬矢来


さて、ところで先日パリのケ・ブランリー美術館で開催されている日本の竹工芸展を拝見に行った帰り道に面白いものを見つけました。竹と鉄と言う素材の違いはありますものの壁に沿ってずっと向こうまで並べられている物は紛れもなく日本の犬矢来のようです。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI、山岸義浩)


しかし、日本から遠く離れたフランスで文化も違うのに同じようなものがあるのだろうか?何か別の意味合いなどもあるのではないだろうか?帰りの機内でもずっと気になって考えていましたが、そう考えて竹虎FBに投稿してみたら、物知りな方が教えてくれました。


やはり設置の理由は日本と大差ないようです、特に道路が舗装されていなかった時代には馬車が通ると泥がはねて汚れるのでそれを防ぐためだというのは納得できます。確か、ニューヨークの住宅でも泥はねを防ぐために一階部分が階段になって入り口が高く作られていると何かで読んだ覚えがあります。


それにしても同じようなものが日本では竹で、パリでは鉄でそれぞれ誕生して今でも使われているのは興味深い事です。


木年貢「木一本、首ひとつ」

 
虎竹の里


かって山は富を産みだす財産であり、無数に生えているように見える樹木一本づつに所有者の名前を書かれていたと聞いたことがあります。なので「木一本、首ひとつ」という言葉があるように勝手に山の木を伐採することは大罪であり、厳しい掟で管理されてきたのです。


その点、と言いますと商品価値や希少性のある一部の竹を除けば比較的に管理が緩かったようです。木と違って、わずか3ヶ月で親竹と同じ大きさに成長し植林などせずとも毎年季節になれば筍が生えてくるという特異性が大きな理由の一つとしてありました。また、昨日の30年ブログでお話しさせていただいた護岸竹のような性質の竹の場合、河川敷という所有権のあいまいな所に生えていますので誰でも自由に使う事ができたのです。


蓬莱竹籠


高知は昔から豪雨地帯であり川の氾濫や洪水にはずっと悩まされつづけた土地柄です。川岸には蓬莱竹(ほうらいちく)、高知の昔ながらの竹職人はシンニョウチクと呼ぶ南方系の株立ちの竹を多く見ることができます。この竹は真竹や孟宗など地下茎を外へ伸ばす事がなく、ずっとその場所で大きくなり続けますので流れの合流地点や、水の勢いが強くなるカーブの辺りにピンポイントで植えられていたりもしています。


これが子供の頃には不思議で仕方なかったのです、どうしてこの竹だけいつもこのような場所に生えているのか?紙鉄砲の素材としてもうってつけの、この竹を伐りながら思っていました。


防災という意味では蓬莱竹も古くから地域をずっと見守り続けてきた守り神のような存在だと思いますが同時に土地を持たない貧しい人々の竹細工の素材としても大切な竹であったのです。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)


財産として厳しく管理されていた木材ではなく、容易に手に入れられる加工性の高い蓬莱竹などの細工が発達したのにも日本の歴史が深く根ざしています。「シンニョウチク?」呼び名などどうでもいいじゃないか「蓬莱竹だからどうした?」日本で気にとめる人など、自分くらいしか居ないかも知れません。


しかし、まったく流通もしていなかったのに、この竹細工をわざわざ製作して紹介しているのは、この竹一つ取っても日本の竹文化の奥深さを感じてもらえるからなのです。


千葉県君津市の小糸川の護岸竹

小糸川


高知龍馬空港から飛び立ち羽田空港に向かうANA便はずっと日本を北上して行くので上空の窓から見下ろすのは結構楽しいものです。特に知多半島、渥美半島を過ぎ浜名湖あたりからの東海道は日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」での「チャレンジラン横浜」で苦労しながら走った思い出の地であり、そのルートがハッキリ分かるので目が離せなくなります。


富士川


小さな竹トラッカーで走ると、あんなに広大に見えて、長い長い橋だった大井川、安倍川、富士川も細い筋にしか見えませんが、飛行機は伊豆半島を過ぎれば着陸のためにグルリと大回りするのでしょうか?太平洋側から千葉県を横切る形で東京まで高度を下げていきます。


ゴルフ場の多い山肌の向こうに特徴的な曲りの川が見えてきました。後で調べると千葉県君津市を流れる二級河川、小糸川でした。しかし、川の名前など知らなくとも上空からでも一目見れば瞬間的に分かります。あの両岸に植えられているのは竹です。


孟宗竹


あれだけ蛇行した川の流れです、大雨には洪水や災害に悩まされる事もあったのではないでしょうか?だからこそ、人は護岸にを植え命と財産を守ってきたのです。川の流れに沿ってどこまでも続く竹林は遥か空の上までも誇らしげに青々と生茂る姿が手に取るようです。竹は強靭な根を四方に張り巡らせて地盤を固めます、「地震の時には竹林に逃げろ」小さい頃からずっと教わってきた言葉を又思い出していました。


白竹三段弁当箱の50年

白竹三段弁当箱


飴色になって何ともいえない威風堂々とした白竹三段弁当箱があります。ちょうど50年前に製作したと言いますが、長い時間が経って色合いは変わってはいるものの現在作られる製品と全く違っていないので当時からその完成度は素晴らしかったのです。


白竹三段弁当箱


もちろん、お客様に気づかれないうな細やかな部分では常に改善されている所もあります。


竹職人


しかし、50年もの間、製造販売を続けていても、どこも変わらない白竹三段弁当箱に凄味すら感じるのです。


白竹三段弁当箱


半世紀前、職人の息子さんの初めての運動会。家族で美味しくお昼を食べるために作った弁当箱。様々な竹製品を編み出してきた匠の技を、温かい思い出が包んでいます。


「第33回高知県地場産大賞奨励賞」受賞式

第33回高知県地場産大賞奨励賞


高知県地場産業大賞は高知県内で作り出された優れた地場産品や地場産業に貢献のあった活動を顕彰いただく高知県商工部門では最も歴史のある賞なのです。実は高知e商人養成塾という団体があり、その代表を長くさせていただいております関係で平成16年(2004年)に地場産業賞を頂戴した際に出席させてもらいましたので「地場産大賞」の名前だけは知っていました。


「第33回高知県地場産大賞奨励賞」受賞式


しかし、受賞されるのは高知県でも優秀な企業さんばかりです。自分達のような田舎の小さな竹屋とは縁のないものとばかり思っていました所、今回このような光栄な受賞をさせていただく事になり感激しました。


「第33回高知県地場産大賞奨励賞」受賞式


日本唯一の虎竹を広く知っていただくために電気自動車「竹トラッカー」の開発や高知から横浜まで1000キロを走破した「チャレンジラン・横浜」、世界竹会議(World Bamboo Congress)での基調講演にあわせてメキシコはハラパの街を疾走する「チャレンジラン・メキシコ」までの活動、さらに世界で45名、日本では二人目となる世界竹大使(World Bamboo Ambassador)の任命などを評価いただいたようです。


「第33回高知県地場産大賞奨励賞」受賞式


そこで日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」を数ヶ月がかりで製作した職人にも晴れの舞台に立ってもらいました。新しい価値を創りだすことが得意とは言えない当社の職人にとって今まで取り組んだことのない仕事は非常にハードルが高いものだったと思います。


第33回高知県地場産大賞奨励賞


職人なりの苦労もあったようですが、それがこうして多くの方に認めてもらえてお褒めいただけるのは何にも変え難い喜びです。


「第33回高知県地場産大賞奨励賞」受賞式


このような体験を通して自分達の仕事が人の暮らしに役立ち、楽しみ、喜んでもらえている事を職人一人一人に感じとってもらえればと思っています。


今回の受賞の契機ともなりしまた日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」のチャレンジラン・メキシコはFBで再生回数64万回を突破して更に閲覧数を増やしています!ご覧ください日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」メキシコの街を大疾走!




ビトリアのソープボックスレース、その3(Soapbox race of La Blanca in Vitoria-Gasteiz)

ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria-Gasteiz)


それではビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria-Gasteiz)スタート地点から改めてレースコースを見てみたいと思います。スタートの下り坂までは後ろから専用のスティックで押してもらって加速します。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


坂の上から見るとスタート直後のストレートはこんな感じです。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


スピードがのってくるので最初の難関右へ大きく曲がるU字カーブまではアッと言う間ではないでしょうか。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


実は、このカーブの途中で石畳の道がアスファルトに切り替わるのです。微妙な段差もあって、ここもひとつのポイントなのかも知れません。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


無事に曲がりきったら再度下りストレートです。ここは結構ながい距離がありますのでU字カーブで落ちたスピードが回復します。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


坂を見上げた直線コース、左カーブに突入します。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


最後の左カーブが見えてきます。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


下の客席から見るとこんな角度になります。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


ここも大きくUの字に曲がる形になっています。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


ゴール直前の最後の左カーブ。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


竹虎四代目が立っていたカーブをコースアウトせず無事に曲がりきったら目の前がゴールです。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria)


優勝タイムは20秒、なかなかそんなにはスピード出せないと思いますが間近で見ると迫力あるのではないでしょうか。レースコースを動画で繋げてみるとこんな感じです。




ビトリアのソープボックスレース、その2(Soapbox race of La Blanca in Vitoria-Gasteiz)

竹虎四代目(山岸義浩)、ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria-Gasteiz)


指差すあの丘の上から、この坂道を走り下る。美食で有名なスペイン、バスク州の州都であり2012年欧州グリーン首都でもあるビトリアで開催される坂道下りカーレース。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria-Gasteiz)


なかなか半端な勾配ではないが、ここを走る日本唯一の虎竹車など果たして可能なのか!?


Ivan Platas


昨年惜しくも優勝を逃したイバンさんの竹製車は元F1デザインチームだけあって本格的だ。


Ivan Platasさんの竹の車


車高は低く抑えられていて座り心地もよいしシャープに反応しそうなハンドルが又凄い。


設計図


車体の開発には長い時間とご苦労があったのではと思わせる分厚い資料と設計図があって熱意に感心してしまいます。


車軸部分


タイヤが内側に傾いている車軸部分などは素人の自分には分かりませんが高度な技術力を感じさせます。専用にデザインして3Dレーザープリンターで製作したそうです。


ブレーキ


右足で踏むブレーキも何やら本格的、フレームが竹製というだけでまるでレーシングカーのような車です。


ビトリアのソープボックスレース (Soapbox race of La Blanca in Vitoria-Gasteiz)

竹虎四代目(山岸義浩)、ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria-Gasteiz)


そもそも何故ここまでやって来たのか?実はスペイン、バスク州の州都ビトリアで8月にSoapboxレースが開催されるのです。そして、レースはまさに此処からスタートします。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria-Gasteiz)


「この最終カーブも大変だよ」説明してくれるIvan Platasさんは元F1のカーデザイナーで、とにかく熱心で素晴らしいアイデアを持っているのです。


ソープボックスレース


やるか?やらないのか?まだ誰にも一言も話していませんが、そんな事は最初から決められています。。


ビトリアのソープボックスレース(Soapbox race of La Blanca in Vitoria-Gasteiz)


一度、試しに自動車に乗せてもらって実際に下ってみると想像していた以上に勾配がキツイ印象です。エンジンなしの車と言うけれど、何と最高速度は40キロにもなるソープボックスレース、急カーブでは転倒続出といのうが頷けます。




坂道下りカーレース出来るのか!?


早朝、虎ックスーツ×虎竹ヌンチャクでランニング 

竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI、山岸義浩)


やはり健康が一番です。知り合いの社長さんがヨーロッパはじめ世界各地への海外出張でも欠かさずランニングをしているのに憧れてせめて真似でもと思い走ってみた。しかし、この日のパリは寒かった...!日の出も遅くて薄暗いし風が刺すように冷たい。ホテルからすぐ近くのパレ・ロワイヤル庭園(Jardin du Palais Royal)まで来たところで早々にギブアップ...。やはり南国育ちには少し厳しい。




そんなパリからスペインへは飛行機でビルバオ(Bilbao)空港まで移動します。到着すると出迎えて頂いた車で約1時間の所にあるビトリア(Vitoria)に向かうのです。スペインは地図で見ても随分南だし、何となく温かい土地とばかり思っていましたらビトリアはバスク州でも標高500メートルを越える地点に在り途中の山道もこの通り!


ビトリア


しかし綺麗な青空が広がる街を歩いてみると人々は朗らかで明るく、自然との調和が素晴らしい所です。


ビトリアの街


何より食べる物が次から次への最高に美味しい、そして黄昏時の広場も息をのむような美しさ。


霧のビトリア


冬場はこのように霧が出る事も多いようで、やはりなかり寒いのです。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI、山岸義浩)


その朝の気温は氷点下、石畳みの道は凍っていますから滑りそうで虎ックシューズで行くのにも恐る恐る...。広場で運動していると一人の男性がやって来て「カイセン、カイセン」と言うのです。日本に居たらしいので最初は「海鮮料理」の事かと思っていました。バスク地方も牛肉などビックリするほど美味しかったですが、魚介類はやはり日本が凄いというような事を話されているのか?


ところが予想はまったく外れていて、実はトヨタ系の会社の方だったらしく「カイゼン」と言われていたのでした。むむむ、しかし、この日本唯一虎竹ヌンチャク、これのどこを、どう今以上改善していくのか?それが何になるのか?非常に難しい(笑)。


竹炭とパリの料理人たち

Quentin Lechat、竹虎四代目


「炭職人に胃腸の悪い人はいない」と言われるくらい日本では昔から炭を健康食材して活用してきました。


Quentin Lechat


炭をガシガシかじっている職人を初めて見た時には驚きましたが、忍者が解毒のために炭粉を持ち歩いていたことは有名です。また現在でも炭の吸着力から医療にも使われています。


竹炭ブッシュ・ド・ノエル


ところが、食用炭など日本だけかと思っていたらヨーロッパでも古くからあったといいますから驚きです。フランスのクリスマスケーキの定番、ブッシュ・ド・ノエルに竹炭パウダーを入れて作ったお菓子竹炭が入ればこの通り。環境や健康を考えて竹を使っているのが素晴らしい。


竹炭ボンボンショコラ


小石と見間違えてしまいそうですが竹炭を使ったボンボンショコラ。味わう前に目で楽しませてくれます。


竹炭ボンボンショコラ


しかし、何人の方にお会いさせてもらってもシェフもパティシエも皆さん言葉を越えてそれぞれに自分の作る物にポリシーがあり自信を持って取り組まれているのがビシビシ伝わってきます。


竹炭を使った料理


特別に竹炭を使った一品を出して頂きました。


竹炭ペースト


新しく用意している竹炭ペーストの試食も頂きます。


竹虎四代目


フランス料理と聞くと高級で格式ばったイメージばかりが先行していました。


シェフ


しかし、これだけ真剣に食と自分達の技に磨きをかける職人たちを見るとナイフとフォークを持つ自分達も、もっと真面目に料理に向き合うことも必要だと思わされてしまいます。

ケ・ブランリー美術館で「空(くう)を割く 日本の竹工芸」

空(くう)を割く 日本の竹工芸、Musée du quai Branly


パリにあるケ・ブランリー美術館(Musée du quai Branly)で「空(くう)を割く 日本の竹工芸」が開催されています。到着の空港で美術館巡りに来たという日本の方と偶然一緒になったので聞いてみると名前を知らないようでしたが、アフリカ、アジア、オセアニア、南北アメリカの固有の文明・文化・芸術を扱っていて展示されているプリミティプ(原始的、根源的)アートと言うのはフランスでも非常に根強い人気を誇っているそうです。


ケ・ブランリ美術館(Musée du quai Branly)、エッフェル塔


一昨年でしたか、いつもお世話になっている四代田辺竹雲斎さんに教えて頂き見学に来た時にはズラリと並んでいるアフリカ大陸のお面や民具の醸し出す雰囲気に圧倒されました。展示されている作品は恐らく一部であり、このような収蔵品が30万点と聞きますから想像すらできない世界です。ただ、散策を楽しめる美しい庭園には竹が植えられており、そこから眺められるエッフェル塔が最高です。


四代田辺竹雲斎氏


このケ・ブランリー美術館で明治から現代までの竹工芸の作品160点が一堂に展示されているのです。現代作家では、四代田辺竹雲斎氏、長倉健一氏、森上仁氏、米澤二郎氏、植松竹邑氏、杉浦功悦氏、本田聖流氏らの作品がありました。初めて作品を拝見する方もいて見応え十分、動画などで作家の人となりも知る事ができます。


ケ・ブランリ美術館(Musée du quai Branly)日本の竹工芸展


自分が入館させてもらった日も少し驚くくらいのお客様がいて日本の竹工芸への関心の高さを物語っているようでした。


本田聖流氏、ケ・ブランリ美術館(Musée du quai Branly)、「空(くう)を割く 日本の竹工芸」


また不思議な事がありました。渡仏の数日前、パリに行くのはもちろん竹工芸の事など一言も話していなかった母が一枚の切り抜き記事を手渡してくれます、何気に見ると今回現代作家として紹介されているお一人、本田聖流氏の事が書かれた記事でした。


雪と竹


あの竹は、この方だったのか!?


少し前に北陸の雪の中で見た、頭を垂れ下げてこらえている竹が目の前に蘇るような衝撃を受けました。だから今回は拝見できるのを楽しみにしてました。


190204534.jpg


作品が収納される桐箱が、こんなに展示されているのは初めてでした。


ケ・ブランリ美術館(Musée du quai Branly)、「空(くう)を割く 日本の竹工芸」


このような素晴らしい竹工芸は日本の方にこそご覧いただきたいと思います。日本の竹を使って日本のアーティストが創造する竹、それを見る目、感じる心を日本の皆様こそが持っているからです。


竹編み素地に和紙と柿渋、漆で仕上げる一閑張り

一閑張り竹骨素地


竹編みの素地に和紙を貼りつけて柿渋や漆を塗布して耐久性を高める一閑張り(いっかんばり)があります。あまり知られていなかった技法だと言われる方もいますが昔から日本に広くある当たり前の技術であり、自分にとっては破れた障子に紙を貼って隙間風が入るのを防ぐくらい普通に職人さんがされていた仕事の一つです。


和紙を貼って仕上げる前の竹編み素地は、このように四ツ目編みされたものであまり一般の方が目にする機会はありません。思えば土壁も柱と柱の間にこのような竹編みをして土を塗りつけていきますので、このように目立たない骨材としても竹は長く使われてきたことになります。


一閑張り竹骨素地


この竹編み素地の職人の所で面白いものを見つけました。どこかのデザイナーさんとの仕事で試作したものだと言わていました。


一閑張り竹骨素地


四角い行李などしか製作されていたなかったものを、このような形にして蓋付きになると確かに目をひきます。


一閑張り竹素地


現実的なことを考えると難しいことばかりすぐに頭をよぎりますが、この視点と職人のチャレンジ精神は絶対に必要なものです。


人間共存植物

竹林


竹は撹乱依存植物だと大学の先生に聞いた事があります。聞き慣れない言葉ですが自然界では弱い立場の植物が人の手が加わる事により勢力を増していく事があるそうでイネ科の竹などは典型的だと言われます。強い、弱いではないかも知れませんが樹木に比べて寿命の短い竹が、驚異的な成長スピードや強靭な根で成育域を増やしていく力で、自然界の中で生き残ってきたというのは分からないでもありません。


美しい竹林


「撹乱依存」という言葉自体があまり良い感じではありません。人間共存植物とでも呼んだほうが竹にはピッタリの言葉だと思いますがそれはさておき、毎年筍が生え、猛烈な早さで親竹と同じ大きさになって、人の手が入らなくなった竹林が荒れた竹藪になっていく事は確実な事です。


孟宗竹


しかし、その一方でしっかり管理され、人の暮らしと共にある竹林の美しさは一言で言い表す事はでません。美しい竹に足をとめて眺めていると手入れする山主さんの姿が何と幸せそうな事か!?竹は竹林にある時が一番美しく、それは人と一緒にある時の姿でもあります。


久しぶりの国産山ぶどう手提げ籠バック

山ぶどう手提げ籠バック


山ぶどうという素材は野趣に溢れ、その強靭さといったら驚くほどの耐久性を誇ります。今ではお出かけに持つ手提げ籠として知られていますが、その昔は農作業や運搬用籠の素材として使われてきました。自分がずっと愛用している一つも、元々は農家で背負い籠として使われていた山ぶどうに新しく持ち手を付けてもらっています。


山葡萄


母から譲ってもらったセカンドバックタイプの山ぶどうも長く愛用するうちに艶がどんどん増して黒光りしてきました。知らない方がご覧になられたら黒く光沢のある革製かと思うかも知れません。


山ぶどう手提げ籠バック


根強い人気の山ぶどうですが近年色々なタイプの手提げが作られるようになっています。国産材を使った籠だけでなく輸入材を使った製品や海外製の物も多くみられるようになりました、価格は思うほど安価になっていないものの以前のように一部のファンの方だけでなく裾野が広がっている感じを受けています。


山ぶどう手提げ籠バック


東北でずっと編み続けている職人が自分で山に入り山ぶどうの蔓を採ってきました。すでに高齢ですので無理も出来ず、十分満足できるほどの良い材料ではないのです、しかし昔ながらの無骨な感じ、前もうしろも枡網代編み、側面も枡網代、底まで枡網代、そんな素朴な手提げ籠バックです。


日本最大級、最強の真竹で編んだ70センチの深ざる

70センチ深ざる


直径は70センチあります、これだけ大きな竹深ざるは近年そうそう見ることはありません。吟味された真竹を使って数日がかりで編まれた深ざるは迫力満点、ズシリと手に感じる重量感が籠の強さを思わせてくれます。


竹ヒゴ


この大きさに負けないようにヒゴの厚みもしっかりとってあるから技だけではなくて力も必要、だから熟練職人が高齢化していく中、実は編むことのできる職人は一握りしかいないのです。


真竹籠


日本最大級、最強と胸を張る竹籠は耐久性で選ばれ、プロの現場で使われ鍛え続けられています。


古くて新しい魅力いっぱい竹鼓椅子

竹鼓椅子


凄い椅子があります。竹の色はすっかり抜けてしまっているから製作されたのは随分と前の事だろうと思います。しかし、等間隔に割った竹を並べたスタイリッシュさは古くて新しい魅力あふれる座椅子です。


竹鼓椅子


鼓のようなユニークな形に加えて製作者自らが長く愛用してきた風合いが加味され何と魅力的なことか。


竹鼓椅子座面


座面や留めに使われている棕櫚縄と竹とバランスも絶妙です。


竹鼓椅子


このような竹椅子を製作しようと思うことじたい稀有な事ですが本当に形にされて、しかも修理をしながら長く使われていることに感動してしまいます。


キンカンの甘露煮

竹職人の休息


職人の工房では美味しいお茶とお菓子を頂くことが多いのです。内職のおばさんの縁側ですする自家製の番茶も不思議なくらい美味しい。目の前に広がる長閑な景色を眺めながらゴクリ、心からホッと落ち着く味は身体に染み渡るように温かい。今日はお茶うけに沢庵、そしてお手製のキンカンの甘露煮。


キンカンの木


そういえば実家の裏庭にもキンカンの木が植えられていて、いつの間にやら随分と大きく育っていた。


竹と雪


しかし思う...、高知はつくづく恵まれている。冬というのに、この空の青さはどうだろう!?長く暮らしていると、つい当たり前のように思ってしまいますけれど、実はこれは本当に有難い自然の恵みです。冬になれば、雪の寒さと重さにジッと耐えている竹もある。


キンカン


甘露煮は風邪予防にと小さい頃には母が出してくれた覚えがあるが、この天気に輝くキンカンの色艶を見るだけで元気が沸いてくる。この素晴らしき古里南国土佐で、ここならではの成すべき事が、一人一人に何かあるはずだと思うのです。