
安和川は虎竹の里で一番大きな川でありますが、あまり水の流れはありません。特にこの時期は雨も少なく連日晴れる事が多いのでこの通りです。
お正月に雨とか雪というのはあまり記憶にありません、今年のお正月もお天気に恵まれました。気持ちの良い穏やかな日本晴れ、温かく空は澄んで青く美しかったです。
さて、今年。
元日の朝、祖父がいた同じ場所に初めて立つ事ができました。この橋の下のお話しをします、70年も前の事ですが自分達にとって少しだけ特別な場所なんです。
祖父は、その日も明け方暗いうちから此の河原で仕事していました。終戦で焼け野原となった大阪天王寺から、虎竹の唯一の生産地である安和に裸一貫でやって来た余所者に自由に使える土地などありません。
「空はこんなに青いのに、雨か?」
足元の小石にポツポツと雨跡がついて来たのでそう思ったそうです。
「竹虎は正月も働いているのか...」
見上げると橋の上から心無い通行人の方が竹を切っている祖父に向かってツバを吐いてました。
しかし、悔しくて仕方なかった、この場所のお陰で今があります。そうやって守ってきた虎竹と聞かされていなかったら、ずっと前にあきらめていました。
竹の素晴らしさにも気づかずに一生終えていたかも知れません。何のために生まれて来たのかも分からなかったでしょう。そう思うと全てに心から感謝したい気持です。
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