籐ツルモドキ(クージ)は八重山に自生するカズラで、このような手提げ籠バックにも使われるなど色々な民具に利用されています。木を蔦って10メートルもの長さに成長するそうですが、かっては茅葺屋根の台風の強風対策に多用されていたことから分かるように粘りがあり強靭な性質をもった素材です。
ちょうど収穫して工房に運ばれて来た籐ツルモドキを見せてもらいました。竹の代用品として籠の材料に使われていると言うだけあって、籐ツルという名前ではありますが女竹のような見た目です。
しなやかで扱いやすい籐ツルモドキを使い網代底のクージ籠が編まれていました。「ガイズベラ」と呼ぶ事もあるよと教えていただくうちに素早い手付きであれよ、あれよという間に編み上がります。口部分の芯に使うの高知では古い職人がシンニョウチクとも言う馴染のある蓬莱竹、そして今では伝承される事なく無くなってしまったものの伝統的な籠に多用されて来たエビ止めの技法、浅からぬ繋がりを感じました。
青々とした新しい素材と違って、少し前に伐採していた籐ツルモドキが薄く表皮を剥いで赤っぽく見えています。決して繊細な籠ではありません、野趣あふれるとは、このような籠の事を言うのでしょうか?八重山の自然をそのまま形にしたような飾らない籠に魅力を感じています。
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