クバは石垣などでは、あちらこちらに自生しています。これほどあれば材料に事欠きはしないかと思いますが先人の方々はよくぞこの素材を探し当てました。
クバ笠を作る職人さんの工房では集められた葉が乾燥されて沢山保管されていました。これらの材料を使って、その時々の民具を作っていくのですが、このクバをはじめアダン(タコの木)、月桃、籐つるもどき(クージ)、ンーマニ、フラガ、ブー(芋麻)、芭蕉(バシャ)、ソテツ(シーチ)など実に多様で豊かな自然素材が使われる職人の細工に圧倒されます。
この骨組みは畑用のクバ笠のもの、使われているのは蓬莱竹(ホウライチク)です。株立ちの竹のため西日本では川岸に植えて防災用の竹として利用されてきましたが細工用としての活用はほとんどありません。ところが沖縄のジンディールという籠は、この蓬莱竹で編まれます、あと鹿児島の桜皮の箕、そして高知の竹細工。黒潮の流れに沿って石垣島から高知まで竹のラインが繋がったようで骨組みを眺めながら感動です。
こちらは海用の骨組み、頭の先端が平らになっていて海上の強い風の中でも飛ばされないように幅が狭いのが特徴です。
クバの葉を、ぐるぐると巻きながらしっかりと留めているのが細く取った蓬莱竹の竹ヒゴ。
石垣の方々は畑や海に出る時にだけではなく、外出時には必ずこの笠をかぶるという方がおられます。そう言えばこの笠を普通に使っている方を何人も見かけます、日差しが強いのでこのような笠は必需品なのかも知れません。それにしても長く愛用されたクバ笠は良い色合いに変わっています。
ゆったりと流れる石垣時間...ああ、クバ葉と戯れる猫になりたい。
日差しを遮る広いツバ、それでいて軽く通気性に優れるクバ笠です。これは亜熱帯のこの地域では手放せない必需品だと実感します。
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