図面竹とは竹林にたっている状態で竹表面に薬剤処理をして模様を付けた銘竹です。硫酸、硝酸を混ぜた液体に粘度を出すために砥の粉や近くの山から集めてきた砂混じりの土などを混ぜて作られた薬剤を竹表皮に塗布していきます。薬剤に混ぜた砂が竹表皮に細かいキズを付けることにより薬剤の浸透を促すと言います。
こうして模様付けするのは職人ですが、その年に雨が多ければ薬剤が流れてしまい思うような色づきが無かったりと色々と苦労はあるようです。図面竹などの銘竹は注意をして見ていると和食の料理屋さんなどの柱や壁に使われているのを見つける事ができますので、今度そのような機会があれば少し店内を見まわてみてください。
さて、そんな図面竹と同じ銘竹にゴマ竹があります。名前の通りゴマ状のブツブツが表面についた竹なのですが、ご覧になられた事はありませんでしょうか?元々は自然の竹林で出来ていた竹を人工的に美しく作りだされている竹で、やはり京都の竹林で熟練の竹職人によって作られています。
ゴマ竹を作る孟宗竹の竹林に入ると異様な光景です、なんせその一帯の竹だけ立ったままウラ(先端)部分と枝葉がすべて伐られて丸裸のような状態になっているのです。こうすると光合成できなくなった竹は立ち枯れ状態になりますが、この作業を毎年3月頃にしておいて後は自然まかせ。ゴマの出来る原因であるアピオスポレラ・バンブサエ(Apiosporella bambusae)又はアピオスポラ・シライアナ(Apiospora shiraiana)と呼ばれる糸状菌(カビ)と梅雨時の適度な湿気で綺麗なゴマがついていき秋以降には伐採できるのです。
ところが最近ではこのゴマ竹を模した人工竹(AS系樹脂)が作られています。遠目には区別がつかず高い耐久性を誇りますので庭園等では重宝されますが、この人工竹を作るのにはオリジナルが必要。デザインの元となった自然のゴマ竹を作られた職人が言います、
「これワシの竹や」
竹を提供しているとは言え、こんな細やかなゴマ模様なのに区別がつくとは、さすがです。竹に愛情込めている竹の世界、まっことオモシロイ。
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