川島茂雄さんという竹工芸家は面白い。初めて大きな竹オブジェを創作したのは15年以上前のこと、スタッフ10人がかりで一ヵ月にも及ぶ製作期間を費やした大作もあるそうなのです。残念ながら作品は全てアメリカなど海外なので実際に拝見することは出来ていませんでした。
しかし今回製作の場所に選ばれたのが大分県は糸ヶ浜海浜公園。ここなら近くではないものの何とか行けると言う事で拝見させて頂くことにしたのです。それにしても大分には小さい頃から何度も来てはいますが、この美しい浜辺を知りませんでした。海水浴にはもちろん、キャンプや日帰りの行楽に家族連れで楽しめる素晴らしい公園としても整備されています。
駐車場からの木立を抜け別府湾を臨む砂浜に川島さんの竹アートオブジェが見えた瞬間、一気にテンションが上がり足どりが早くなります。
「何と凄い......!」
画像を見せることなく一言で説明するとするならば空に向かう巨大な蛇籠でしょうか?蛇籠とは長い筒状の竹編みに石を詰めて護岸に役立てるものです。最近ではあまり見かける事はありませんが、環境保全から高知県でも一部竹製の蛇籠が河川に使われたりしています。
川島さんは、この先端の尖った筒状の作品を最初は真っ直ぐに立てるつもりだったと言います。作品の全長は17.5メートルもありますから、そうなると凄まじい迫力だったに違いありませんがそれにはクレーン車など大掛かりな機械が必要です。
中が空洞になっているとは言え丸竹は意外に重いもの、しかもこれだけの量と大きさになると重量もハンパではないので人の力では、ここまで鎌首のように立ち上げるのが精一杯だったと言われます。尖った先端が首を上げ、大空を目指そうとしている姿は見ているだけで明日を感じさせてくれるようで元気が湧き上がってきます。
むしろ、垂直に立った姿より多くの方に感動を与えるのではないか?まるで子供の頃に戻ったようなワクワクした気持ちを抑えきれず思っていました。
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