今、手元に職人さんから頂いた四国、中国、近畿地方を中心に西日本の箕を中心に調査した冊子があります。ご高齢ではありますが、まだまだ元気で頑張ってもらいたい職人から手渡された時には、大事にされていた物と知っていたので驚きと共に寂しさもありました。その貴重な資料をみると、さすがに研究されている学者の方が調べただけあって竹箕の産地や形の違いが整理され掲載されています。
今では産地も無くなり一般的に流通している箕など、ほとんどありませんので実物を見たいと思えば知り会いの職人や農家さんを訪ねるか、資料館に行くしかありません。
古い竹の道具には、実際に使われて来た何とも言えない魅力があります。たとえば四ツ目編みのエビラ、網代編みのものは竹虎でも製作していますが、このタイプはあまり見たことがありません。数十年使われてきたに違いない竹肌の光沢、それでいて新品の時と変わらないような端正な形です。
網代編みのエビラは竹の身部分と竹表皮を組み合わせて編まれています。
なので時間の経過と共に色合いに違いができて、竹編みの上にまるで誰かがデザインしてラインを引いたかのようになっています。
竹はただ枯れただけでは、このような美しさにはなりません。長い時間をかけて人に寄り添い、役立ち、喜ばれる事によってこれほど魅力的に変われるのです。
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