国産竹皮草履は一枚の竹皮を細く短冊状に裂きながら編み込んでいきます。数年間にわたって硬くカラカラに乾燥させた竹皮は水気を含ませて戻していくと、まるで薄い革のような柔軟性が出てきます。
編み込みの最終段階になった国産竹皮草履をご覧いただいても、しっかりと藁縄が入っているのがご確認いただけるかと思います。製造途中にはナイロンロープに藁縄を継いで使いますので、この部分を見たお客様から「自然素材だけで出来ていないのではないですか?」
そんなご質問いただいた事もありましたが、ご安心ください。竹皮草履は、もちろん地元の竹皮と、近くの田んぼの稲藁だけで製造されています、ナイロンロープは藁縄のリード線の役割をしているたけで最終的には全て引き抜かれます。
今回は秋の稲刈りの収穫と竹皮草履にスポットを当ててお話しさせてもらっています。こうして職人の使うゴミ箱を見ても竹皮の端材の他に藁材が意外と多く、沢山使われていることが良く分かるのです。
藁といえば昔から竹と同じように日本人には身近で衣食住いろいろな所で活用されてきた素晴らしい素材です。雨合羽の役割をした蓑や、帽子などもありましたし藁ぶき屋根、畳など挙げていると色々ありそうです。竹皮草履と同じ作り方で藁だけで編まれた藁草履もありました、竹皮草履との大きな違いは藁クズが多くでてしまうので室内履きとしては使いづらい事、そして耐久性では竹皮に劣ってしまいます。
父の時代には小学校への通学は鼻緒の履物が一般的でした。上履きも草履ばかりだったそうですが、竹皮と藁の草履では丈夫さが全く違うので値段も高く、竹皮草履は裕福な家庭の子供しか履いていなかったと言います。
国産竹皮草履の前ツボ部分の留めに藁が使われています。決して堅牢で何年も耐久性があるという事ではありません、しかし盛り上がって歩きづらそうに見えても人の体重にあわせて沈み込み快適な履き心地となるのは自然素材ならではだといつも感じます。
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