国産竹皮草履の秋

稲わら運搬


収穫の秋、実りの秋、暑さもゆるんで心地よい風の吹いてくる季節は多くの楽しみもあり、何かと忙しい時期でもあるのです。竹皮草履がいかに大自然からの贈り物であるかと言うことを改めて感じるのも稲刈りの頃の事。


竹皮


筍が竹になる初夏、竹林に毎日のように通って集めてきたのは竹皮。しっかり乾燥させて綺麗に束ねられて今は倉庫で一眠り、だいたい3年くらいこのままに保管された竹皮が草履に編むのに最適な素材となっているのです。


淡竹、真竹の竹皮


ちなみに、むかって右側の竹皮は淡竹(はちく)の竹皮、斑点模様がないのが特徴です。左は真竹の竹皮、あと男性用の草履などは孟宗竹の厚みのある竹皮を使うなど3種類の竹皮をそれぞれ上手く活用して編んでゆくのが伝統の技。


竹皮草履職人


竹皮草履の材料として竹皮が必要なのは当然分かるけど、稲刈りと何の関係があるの?そんな疑問を感じるかと思いますが実は竹皮草履には竹皮と同じくらい稲わらが必要なのです。草履の芯の部分入っているのが全てワラ縄です、鼻緒の芯として内側に入っているのもそうですし、鼻緒を留めている前ツボ部分にも藁が使われます。


竹皮草履三俣


竹皮はその時にしか手に入れられない天然素材ですが、稲わらも秋の刈り入れ時にしかない逸品素材。田んぼ仕事を手伝って分けてもらった稲わらを手際よく藁縄にして編んでゆきます。ただし、稲わらがそのまま使えるかと言うとそうではなく、こうして天日で干して乾かしたものを一束づつ丁寧に選別せねばなりません。


稲わら選別


一年でも本当にこの時期だけの天気に恵まれた日の風物詩です。秋空の下一年分の稲わらを1週間から2週間も毎日毎日選り分けます。


竹皮草履用稲わら保管


竹皮は3年くらい寝かしたものが編みやすいのですが、稲わらも今年刈り入れた藁は使いづらく、やはり3年程度置いておいたものが扱いやすいのです。




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