底を角くした椀籠は立ち上がりの部分が難しいと職人は口を揃えます。特に椀籠の場合には水をはじく竹表皮部分を内側にして編むので急角度で編み上げるのは技術が必要なのです。
家族の多かった昔は飯籠にしても茶碗籠にしても、両手で抱えるような大きなものがありましたが時代の流れと共に家族の人数が少なくなり台所も小さくなるとコンパクトな竹籠が求められるようになり数年前から「お一人様」として小さな茶碗籠を製作するようになりました。
今までのサイズ感を変えて小さくするのは実は難しい事なのですが、さすが熟練の職人です、もくもくと竹編みは続いていきます。
竹は油抜きと言って、熱を加えて余分な油分を取り除く事により美しさを出し、耐久性や強さを高めるものです。しかし、「青物細工」は竹素材そのままを使い長く使える籠に編んでいき、竹本来の素朴さを活かしています。
普通は粘りがある扱いやすい真竹が使われる事が多いのですが、地域によっては淡竹(はちく)が好まれています。そして、淡竹を使う職人は真竹は嫌だと正反対の事を話すので面白いものです。更に嬉しくなってくるのは、この職人。自分で竹山に入り頃合いの竹を伐って担ぎ出してくるのですが先日は淡竹だったのに、今日は真竹だったりします。
「真竹の良いものがあったから...」
ああ、似ている
「今日は、良い魚が入ったから」
まるで鮨屋のオヤジのようでもあります。
コメントする