孟宗竹は日本最大級の竹ですが、これくらいのサイズになってくると迫力があります。竹の身部分の厚みを必要とする竹細工や、極太竹を原料にする竹ワインクーラーなどには最適の素材です。しかし、孟宗竹なら何処の竹も同じように太いのかと言うと実は全く違っていて、元々赤道直下の地域に多く観られる植物だけあって国内でも四国、九州など温暖な場所に育つ孟宗竹は驚くような太い竹があったりましますが、反対に東北など寒い地方に行きますとかなり小振りな竹が多くなります。
群生孟宗竹林最北地として知られ、開湯1300年の山形県の湯田川温泉にお伺いさせてもらった事があります。地域の皆様の孟宗竹への思いも素晴らしく孟宗汁など名物料理は最高に美味しい!そう言えば、この庄内地方は高知、熊本と並んで食材が特に美味しい所だと聞いた事を思い出していました。感激して雪の竹林を見学させてもらいましたら、やはり四国の孟宗竹などに比べると小さな竹が多かったのです。
さて、高知の孟宗竹に戻ります。すぐ近くに立ち枯れした孟宗竹が一本ありました、随分古い竹で割れも目立ちます、筍を掘ることも少なくなった竹林ではこのような竹は良く見られます。この竹を「ゴマ竹」と呼ぶと長年の技術でゴマ竹を作る京都の職人さんには怒られそうですが、人の手が加えられない竹林で自然に枯れてアピオスポレルラ・バンブサエ菌によりゴマ状のブツブツが出来ています。
もちろん銘竹のゴマ竹とは比べようもありませんが、恐らく最初はこの立ち枯れしてゴマ状になっていた竹をもっと美しく沢山生産したいという思いから試行錯誤を重ねて現在の技が編み出され磨かれてきたと思います。職人さんも、その年の天候や細菌の具合によりどんなゴマ竹になるかは分からないと言われていました。結局、日本唯一の虎竹もそうであるように人は自然界のお手伝いはできるけれど、あとは神のみぞ知る領域です。
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