日本商工会議所編「長寿企業の秘密」に掲載いただきました。

日本商工会議所編「長寿企業の秘密」


日本商工会議所編「長寿企業の秘密」に掲載いただきました。竹虎もお陰様で今年で創業124年となりますので長寿企業という事かと思いますが、実は会社を続けていくという事は思いの他簡単ではなくて国税局の企業生存率の統計を見ると会社設立1年後で40%、5年後で15%、10年後では6%、そして20年後となると何と0.4%だそうです。


100年以上も経営を続けられた来た確率を思うと信じられないような気持ちになりますけれど、長寿企業の仲間入りをさせて頂ける事は本当に有難い事だと改めて感じると共に長い社歴の中でどれだけ多くのお客様に支えられて来たのかと考えずにいられません。


日本商工会議所編「長寿企業の秘密」


自分達が今こうしてあるのは間違いなく日本唯一の虎竹と、ご愛顧いただく皆様のお陰です。この本には社員が数百名規模の会社様から数名の会社様まで様々な業種、東日本67社、西日本69社が掲載されていますが、非常に面白いデータが書かれています。それは、存続してきた最大の要因というデータです。


「創業当時の製品・サービスなどを変えて新しい製品・サービスなどを開発したから」と「創業当時の製品・サービスなどを守りつつ、時代のニーズなどに合わせて改善・改良したから」を合計すると89.2%にもなります。「最後に残るのは変わり続けた者だけ」と先輩経営者の方から聞きました。まさに、その通り常に変化を恐れず挑戦を続けたいと思っています。


別注の土佐箕

箕


持ち手に棕櫚皮を使わないのはなぜだろうか?それは別注のがどこで使われるかを考えれば簡単に答えが分かります、実は別注サイズに編まれた箕は食品加工メーカーの工場で使われているのです。


箕製作


ずっと同じように棕櫚を使い箕を作ってきた職人からすると「本当に棕櫚で巻かんでエイがかよ?」と不思議に思うのですが、農作業で使うのと違い食品加工では衛生管理を第一に考えますので異物混入の恐れがあるのではないかと危惧されて不要にしているのです。


桜皮の箕


箕の歴史は古く、日本各地で竹を中心に色々な素材を使って実に様々な形の箕が編まれてきました。アジアはもちろん、有名なフランスの画家ミレーの絵「箕をふる人」に箕が描かれていますので世界的に同じような道具が発達していたのです。そんな長い歴史の中で日本の土佐箕は大きな曲がり角に差し掛かっています。


土佐箕、伊予箕、阿波箕、讃岐箕

箕


(み)は今でこそ見かける事も少なくなりましたが農家では必ず必要な道具のひとつでしたので日本各地で編まれた竹細工のひとつです。入手しやすく加工も容易な竹材を主な素材として製作されるものの北から南に長い日本では気候により素材が違います。竹材も竹の種類が違い、形も微妙に違っていて地域性があり非常に興味をそそられます。


四国、中国、近畿地方を中心に西日本を調査した冊子を職人さんから頂いた事がありますが少なくとも33もの竹箕の産地が確認され大きさ、形、製作工程まで違いますからたまりません。四国だけでも土佐箕、伊予箕、阿波箕、讃岐箕とそれぞれあり、共通点は網代編みされた箕という事です。


棕櫚皮


土佐箕の特徴は持ち手部分の棕櫚巻です。冊子には西日本で集められた30種の箕が掲載されていましたが棕櫚を使っているのは高知だけ、恐らく温暖な気候の高知で棕櫚がよく育ち素材が豊富だったと考えられます。


安和駅


棕櫚の木と言うとご存じ無い方もおられるようですが実は西日本の農村地帯に行けば、あちらこちらで見られる植物です。プラットホームから美しい太平洋が眺められると人気のスポットとなっている虎竹の里の安和駅にも植えられていて少しエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。


しかし、土佐箕の特徴である棕櫚を使わないで箕を別注で製作いただきたい。そんなご注文を何回か頂戴する事があります、何故棕櫚を使わない方が良いのか?両手でもって使う時に滑り止めになって使い勝手が良いのに何故?その答えは明日の30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」で。


9月24日(祝)RKC高知放送「eye+スーパー」生出演

RKC高知放送「eye+スーパー」


先日9月24日(祝)にRKC高知放送「eye+スーパー」生出演させていただきました。第11回世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)での基調講演やメキシコ・ラン、世界竹大使(World Bamboo Ambassador)など色々あった8月を振り返る番組となりました。


RKC高知放送eye+スーパー、雫石さん、高橋さん、竹虎四代目


生放送なので色々と打ち合わせがありますが基本的に田舎者の自分をリラックスさせていただく時間です。


RKC高知放送eye+スーパー、竹虎四代目


慣れない密室のスタジオでカメラを向けられると変な緊張感がありますが、周りの皆さのお陰ですっかり平常心になりました。


RKC高知放送eye+スーパー


しかし、テレビをご覧になられていると普通に進行しているように見える番組も、実は虎竹の里に何度もお越しいただき竹林にも、工場にも来て取材を重ねた上で緻密な台本を書いていただいています。


RKC高知放送eye+スーパー


普通に始まりましたが、ここまでの準備が大変ですし竹のような地味でマイナーな話題を取り上げて頂いてますので感謝しかありません。


RKC高知放送eye+スーパー


リハーサルではディレクターさんのお話しに背筋ピンと伸ばして真剣に聴き入ってます。


RKC高知放送eye+スーパー


そもそも世界竹会議(World Bamboo Congress)をご存じの方がおられませんので、そこからのお話しですが日本唯一の虎竹の事から、世界竹会議への日本人として只一人の登壇、日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」をどうしてメキシコまで運んだのか?そして、メキシコ・ハラパの街での走行の様子など時間をたっぷりいただいてお話しさせてもらえました。ありがとうございました。


RKC高知放送eye+スーパー


最初メキシコには自分の手荷物で持っていける虎竹製品を考えていました。新しく製作したばかりの虎竹パスポートケースなどは、どの道海外いくのには持っていくのでコレさえあれば良いかと思っていたのです。実際手にしていただいて虎竹の感触を知ってもらえて嬉しかったです。


RKC高知放送eye+スーパー


スタジオではリハーサルのジャマにならないように写真撮影もしていました。現場で撮ったこのシーンですが


RKC高知放送eye+スーパー、雫石さん、高橋生さん、竹虎四代目


テレビ画面で実際に後から確認したら、こんな感じです。実感がありまんが、こうして高知県下の皆様に竹虎のチャレンジをご報告できたのだと思います。


最後にスタジオでも紹介させていただいた虎竹バックニューヨーカー、世界竹会議の檀上で音が出ずに結構大変だった動画をご覧ください。しかし、音が出なくともパントマイムのようなパフォーマンスで世界各国400名の皆様に伝わっているのが分かった動画です。




続・日本最大規模!?孟宗竹の開花調査

孟宗竹の花


「こんなに持って来てどうするがぜよ?」今まで数本程度の部分開花しか経験した事がなかったので今回の規模にはかなりの違和感を持つと同時に竹の花を多くの方に知っていただく機会にもなるのではと思っていました。


孟宗竹開花


開花本数を数え終えて328本もの開花だと聞いた時には「やはりっ!」と心の中でガッツポーズです。別に自分が何をした訳ではありませんが、50数年間誰も観たことのない竹林がここにあるのです。


孟宗竹の花


しかし、花を調べている先生から種が入っていない事を知らされます。竹の花は春に咲いて受粉し実をつけるのですが、すでに実は熟して地面に落ちているのではないかとの事です。自分達が花だと呼んでいるのはイネで言うと籾殻の部分と言う事になります。


孟宗竹開花調査


そこで、次には5か所ほどの地点を選び、1メートル四方の土中を持ちかえり精査されるとの事でした。言い伝えでは竹の花が実と大量の野ネズミが発生して種を食べるそうですが既に野生動物によって種は食べられているかも知れませんし、今年は例年にも増して雨が多かったので流される事もあったかも知れまん。


孟宗竹開花調査


小林先生から植物の生態についてご教授いただきます。草でも木でもない竹は撹乱依存植物と言うそうです、難しい言葉ですが自然界では弱い立場の植物が人の手が加わる事により勢力を増していくとのお話しでした。


孟宗竹開花


自分は植物学的なことは全く分かりせん、先人からの知恵と経験だけで竹と向き合っています。大学で研究されている方のお話しは知らない事ばかりで本当に面白く時間を忘れるほどではありますが、少し疑問を持つ部分もありました。


孟宗竹開花


「竹虎さん、この草もイネ科ですよ」。言われてみれば、なるほど稲穂のように見えます。良く見かける雑草ですが実は自然そのままの場所には少ない植物で、イネ科というものは人の暮らしがある周りで繁栄する植物だそうです。


撹乱依存植物


ううん、納得できるような、できないような...。そもそも竹は生命力にあふれ、日本の神事にも多用される神聖な植物ですらあるのに人に依存していると思われかねない言葉があまり良くありません。依存と言うならむしろ人が竹を頼りにしてきたと思います。竹が人の暮らしと共にあり、衣食住すべてに関わり人を助け、役立って来た存在なのです。


竹虎四代目(山岸義浩)YOSHIHIRO YAMAGISHI


竹と人は助け合ってきました、「依存」ではなく「共存」です。「人間共存植物」、虎竹の里の辞書にはそう書いてあります(笑)。


日本最大規模!?孟宗竹の開花調査

孟宗竹開花調査、香川大学・小林剛先生、京都大学・小林慧人さん、竹虎四代目(山岸義浩)


先日よりお話しさせていただいております高知県土佐市西鴨地にある孟宗竹の開花ですが、やはり全国的に見ても非常に珍しい現象ですので香川大学農学部の小林剛先生と、京都大学大学院の小林慧人さんが調査にお越しになられました。小林剛先生は環境科学コースで植物生態学がご専門、小林慧人さんは農学研究科地域環境科学専攻、森林生態学研究室博士後期課程1年という少し長めの肩書きですが竹のスペシャリストのお二人です。


孟宗竹開花調査


竹林に来られた時からお二人の興奮が伝わって来ていましたが、そもそも60年に一度しか開花しないと言われる孟宗竹の花です、自分も開花調査といっても初めての経験で何をするのか興味深々です。まず、開花の規模を確認せねばという事で二人組になって孟宗竹の本数を数えていきます。


孟宗竹開花調査


遠目には言うほど広くない竹林に見えますが実際に足を踏み入れてみると段差があり、急斜面の連続ありで意外に広く手こずります。


孟宗竹開花調査、山岸義浩


最初はそんなに開花本数もそう多くないと話されていたお二人が表情が真剣そのもの目の色が変わるのが分かります。


孟宗竹開花調査


それもそのはず開花している孟宗竹は思っていたよりも、ずっと多く100本を越えて200本に迫る勢いだったのです。


孟宗竹開花調査


このような孟宗竹の開花は全国的に何度かあった事が知られてはいますが、50数年前の鹿児島での開花の記録が300本なのです。つまり、その数を越えると日本最大規模の開花という事になります。


孟宗竹開花調査


まだ数え終わっていたな竹林が残っていました。300本超えて日本最大規模だったら良いのになあ...期待が高まります。




大創業祭に向けて竹籠を整理しています。

椀籠


来月、10月6日は竹虎の創業記念日という事で工場に併設している竹虎本店では「大創業祭」として3日間の特別なセールを予定しています。ご購入金額によって竹炭マドラーや竹炭石鹸などをプレゼントさせていただく事にしていますが、せっかくの機会ですので今まで試作した竹籠や竹ざる等も販売できないかと思っています。


試作した竹籠は形やサイズが微妙に違っていたりする一点物が多くてインターネットでご紹介することもできませんし、後々参考になる事もあるし、何より手元に籠やざるは沢山置いておきたいので、ついつい増えすぎてしまうのです。そこで少しづつ整理をしていますが、やはり幼い頃の思い出もある椀籠には色々な種類のものを作っていました。


白竹六角足付椀籠


色々あるので椀籠は来月のセールに出してしまえるかと言うと実はそうではありません。それぞれに職人さんの顔を思い出す籠ばかりで、実はあまり手放したくないものが多いのです。それでも実店舗にお越しいただければ実際に竹に触れていただけるのは当然ですが、これからの季節に行楽に活躍しそうなピクニックバズケットやランチボックスなど型違いのものや、B級品ではありますがお買い得な製品をご用意できそうです。


試作の虎竹やたらベンチソファ第2弾

虎竹ソファベンチ


先月ようやく完成した試作の虎竹ベンチソファ第2弾は本店に置いて自由に座っていただけるようにしています。


竹虎工場


最初の試作に比べると随分と形もよくなりましたが、まだまだ納得できる出来映えではありません。あと、もう少しなのです。


虎竹ベンチ


色々な方がご覧になる中でご意見を聴かせてもらう事もありますが、先日は納得できる事がありましたのでさっそく検討したくなりました。元から手直しせねばならず鉄フレームを作っていただく鉄芸家の池内さんを訪ねます。


虎竹腰掛、椅子


鉄フレームに虎竹をどう使って最終的にはどんな形になるのか、ご覧いただくと次のフレーム作りが全く違います。最初の試作からこうしておけば良かったかも知れません。


虎竹やたらソファベンチ


なかなか時間が取れずトントン拍子に進むとはいきませんが少しづつ着実に前進しています。


鉄芸家、池内さん


青竹踏み「カビ、虫、割れ」竹の三悪

青竹踏み


「ダメだ~!これは、イカンちや~」
青竹踏みを持って何か嘆いているようですが一体何事でしょうか?


竹踏みのカビ


実は青竹踏みの裏側にカビが生えてしまっているのです。青竹踏みは昔ながらの健康法として日本中のご家庭にあるものとばかり思っていましたが、近年はそうでもなくて若い方を中心にご存じない人もいるのです。


凝った竹製品になると、一目ではそれが竹で出来ているのか?素材は何なのか?分からない物もありますが、青竹踏みは誰が見ても竹だと分かりますので一人でも多くの方にご愛用いただきたいと常々思っている商品です。


竹踏みを拭く


しかし、どんなに旬がよくて乾燥させた竹材であったとしても、竹に個性があり乾燥しきらずにカビが生えるものもあるのです。また、乾燥させていても天候により竹が湿気を吸う事もあります。小まめに確認していますが、少し対応が遅くなるとこれが拭き取ってもなかなか取れないのでやっかいものです。


油抜き


竹をガスバーナーで油抜きをしていると分かりますが切り口から水分が噴出してきます。それと共に自分達が幼い頃から慣れ親しんだ、何とも懐かしい甘く優しい香りが工場中に漂いますが、これが竹の虫の原因です。


竹の虫、チビタケナガシンクイムシ


防虫には頭を悩ませていますので青竹踏みには炭化加工した製品も用意しています、高温の圧力釜で竹に含まれる糖分、アミノ酸、ポリフェノール等を取り除くのです。薬剤で防虫するのではなく、炭化は熱処理での防虫なので安心安全でおすすめ。しかし、茶色く変色した炭化加工済の竹踏みにも虫を喰う大敵チビタケナガシンクイムシ発見。


「カビ、虫、割れ」は竹の三悪と言われますが、昔から延々と続いてきた葛藤はこれからも続きます。


続・神秘の竹、竹の不思議

竹の花


孟宗竹の花が咲いた竹林から車で5~6分のところにも一カ所花が咲いたように枯れて見えています。覚えていらっしゃるでしうか?先日の30年ブログでお話しさせていただいた場所です。近づいて見なければ分かりませんので行けるところまで歩いていきます。


思った通りです、どうやら花が咲いているようです。遠くからでは、これが限界です、やはり地主さんにお話しして竹林に入らせていただく他ありません。林自体は遠くから見て孟宗竹に間違いなかったと思いましたが、淡竹と混ざっているのです。


淡竹の花、竹虎四代目


地主さんに竹の花の事をお話しして竹林に入らせていただく事にしました。


竹の花


近くにまで行って確認してみると、やはり淡竹です。昨年あたりから西日本各地で淡竹の花が咲くのが話題になっていますが、ここ土佐市の竹にも花が咲いているのです。


竹虎四代目


花の咲いた竹は枯れてしまいます。地主さんには許可を頂いているので一本伐り倒して花を確認してみる事にしました。


竹虎四代目(山岸義浩)


孟宗竹の花が咲いている近くで更に他の竹林でも咲いているとなると一斉開花かと思って少し心配していました。真竹の一斉開花で竹材不足が起こった事があります、孟宗竹はあまり使用頻度がないとは言え同じような事になるのかもと思っていたのです。


淡竹の花


孟宗竹に比べると小ぶりな可愛い花です、孟宗竹の花と何か関係があるのでしょうか?謎は残ったままなのです。


初開催、3日間限定の竹虎大創業祭を高知県須崎市安和の竹虎本店にて

竹虎大創業祭


実は、まだ少し先の事なのですが竹虎大創業祭を来月10月6日(土)~8日(月・祝)の3日間、高知県須崎市安和の竹虎本店にて開催することにしました。


竹虎は明治27年(1894年)の創業から今年で何と124年。創業当初、竹虎は大阪天王寺に工場がありましたので、日本唯一の虎斑竹を遠い工場まで運んで加工・製造をしてきた歴史があります。その後、太平洋戦争の空襲で大阪の街が焼け野原になったのを機に、曾祖母の田舎であり疎開先であった虎竹の里に本社を移し、会社を設立したのが67年前の1951年の10月6日なのです。


初代山岸宇三郎から二代義治、三代義継、そして四代目義浩まで、本当に長い間、虎竹の製造に、まさに竹のように真っ直ぐ、ただただ邁進してこられたのも全国のお取引様、お客様のお陰だと深く感謝いたしています。そこで今回の「竹虎大創業祭」を株式会社設立の10月6日に行わさせて頂く事にしたのです。


感謝の特別SALEと言いましても、驚くような特別なことはできません。大創業祭では、ご購入金額により昔ながらの土窯を竹炭専用に改良して、高温で焼き上げた竹炭マドラーや、最高級竹炭パウダーを使い薬用竹炭を自社で開発して作った竹炭石鹸をプレゼントするようにご用意しております。


また、在庫限りとはなりますが、商品開発で試作したプロトタイプの籠や、サイズ違いの竹籠、虫が食ったB級品など、そして自分が手元に残してあった竹細工なども色々と大放出いたします。数量はそう多くはありませんので早いもの勝ちとなってしまいますがランチボックス、ピクニックバスケットなどもあり、非常にお買い得な3日間となるはずです。


竹虎本店


竹製品、竹細工を展示販売している竹虎本店は、昭和45年に開店しました。虎竹の里の地域への恩返しと、自社の職人、内職さん、山の職人さんなど皆様に虎竹の美しさを知り、虎竹の価値を改めて見直して欲しいとの二代目義治の思いで出来た店舗です。


最初は、販売目的ではなく「虎竹大展示場」という形でスタートしてから既に50年近い月日が流れました。長く続けらて来られた感謝の気持ちを込めた「竹虎大創業祭」は2018年10月6日(土)~8日(月・祝)の3日間、ぜひお越しください。


 「竹虎大創業祭」10月6日(土)から8日(祝)まで3日間


神秘の竹、竹の不思議

竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)


孟宗竹の花の話題をずっとお話しさせていただきましたが、竹の事はまだまだ知られていない事が多くその生態はベールに包まれていると言ってもよい神秘的な植物なのです。数千年に渡って人と共にあり、これだけ生活に密着していながら解明されていないとは不思議な気がしますが、それくらい特別な存在なのかも知れないと思っています。


虎竹の若竹


そもそも日本唯一の虎竹はどうでしょうか?淡竹の仲間なので、孟宗竹に少し遅れて筍の季節を迎える虎竹、雨が降った後などにはグイグイと目覚ましい勢いで成長していきます。そして、この青々とした若竹が3年たてば不思議な虎模様が浮かびあがる竹になるのです。


虎竹、tiger bamboo


これは何故でしょうか?


実は、現代の科学は、この色付きの理由ひとつ解明できていません。恐らく、この地域だけの土中にある特殊な細菌の作用だと大学の研究者の方は言われています。けれど、それだけでは説明がつきません。


嵐の虎竹の里


台風が近づくと大きな波の音と共に潮の香りに包まれるほどの潮風が虎竹の里に吹き付けます。この塩分が竹の虎模様の秘密だと推測される方もいます。


雪の虎竹の里


もちろん、冬の寒さも色付きに欠かせない事は経験で知っています。しかし、孟宗竹の花と同じように虎竹の事も何も分かっておらず人の手で生み出せるものなど何ひとつないのです。人は竹に寄り添い生かされているだけ。


ただ、それだけなのです。


竹虎インターンシップ2018年、ページが完成しました。

インターンシップ2018年


インターンシップはお互いに気づきがあるので何だかんだで続いて今年で18回目になるのです。竹虎の社員も随分と慣れてきているので最近は自分が直接学生さんと接する機会も少なくなりましたが、期間中はいつも気になっています。青竹踏みが忘れられている事を教えてくれたのはインターンシップの学生さん達でした。


インターンシップ2018年


今回インターンシップでは本社工場や花籠作り研修そのものは充実していたようですが画像が少なくてWEBページ作り研修には素材不足を心配していましたが、すくない材利でいかに伝えるかも勉強ですので学生の皆さんには頑張ってもらいました。無事に竹虎インターンシップ2018年のページは完成しました。




最後の最後で、一緒に動画を製作しようという事になり急ごしらえで撮ってみました。チームとして動く仲間の意識ひとつで、時間がなくとも、準備ができていなくとも、それなりに面白いモノを創ることができる。インターンシップの締めくくりとしては最高の動画製作になったと思っています。


ミステリアスバンブー(Mysterious Bamboo)、孟宗竹の開花

孟宗竹


すっかり空が秋めいて来ている高知ですが、先日の孟宗竹の開花以来、どうも近くの竹林の様子もおかしいような気がしてなりません。孟宗竹は大きな筍が食卓に上がる事も多いので、日本にある600種類ものの中でも特に馴染の竹と言えます。しかし、元々日本にあった在来種ではなく中国から日本に渡ってきた植物というは、あまり知られていません。


孟宗竹


一番最初に移植されたのが京都という説と鹿児島という説がありますが、個人的に有力ではないかと考える鹿児島説を採るとするなら1736年に移植だそうですので今から約280年ほど前の事となります。


移植以来、どんどん増えて色々な所で目にしますので、それだけ多くの人に愛され、活用されて来た孟宗竹。それが、今ではあまり顧みられる事もなくなり寂しい思いをしてきているのは間違いない事なのですが、それ以上になにか勢いのなさを感じます。


孟宗竹山


車を停めて辺りを見まわします、良く通る道沿いですが少し歩いてみる事にしました。何ら変わることの無い、いつもの竹林があります。孟宗竹が日本に移植されて以来一斉開花の記録はないようです、67年の周期で開花すると言われていても自然の孟宗竹が開花した訳ではありません。部分開花の竹から採取した種子を育てた記録でそうですので、実は自然界の孟宗竹について正確なことは誰も知らないのです。


虎竹は淡竹(ハチク)の仲間ですが、淡竹や真竹でさえ120年周期だとすれば、それよりずっと身体の大きい孟宗竹の開花周期がそれよりずっと長くとも不思議はないのではないでしょうか。孟宗竹は親孝行だった「孟宗」という人から名前の由来がきている竹、一斉開花で全て枯れてしまうような姿は見たくないようにも思います。そんな気持ちを知ってか、知らずか1000年は開花は無いと言われていた研究者の方もいたように記憶しています。


竹山


1000年?ウソだろう?


そうです、自分が間違って聞いたのかも知れません。しかし、竹はそれくらい人知を超えた不思議な存在です。そして、そのミステリアスな大自然の営みが目の前で繰り広げられています。


ややっ!?ほらっ、あそこ
あの竹林の一部で枯れている竹が気にかかります。


続々・孟宗竹の花

竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、竹の花


意外に少ないと思っていた竹の花ですが、いざ孟宗竹を伐り倒して枝打ちしてみれば肩に担ぐと重たいくらいの竹の花が咲いているものです。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、竹の花、竹の種


さっそく、稲穂のような枝からタネを取り出してみます。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、竹の花、竹の種


長年に渡って山の仕事をされてきた職人さんも不思議そうにタネを見つめていました。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、竹の花、竹の種


ご年配の方々でも熟練の竹職人でも知らないのは当たり前で、孟宗竹の開花周期は60年を越えますし、竹細工に多用される真竹にいたっては120年と言われます。実は1970年(昭和45年)頃に全国的な真竹の開花が起こり竹材が不足した事がありましたが、高知県には孟宗竹、淡竹を中心に使った竹細工があったため、あまり影響を受けておらず竹の花についての認知も低いのです。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、竹の花、竹の種


さて竹枝から外した稲穂ならぬ竹穂とでも呼びたいような竹の花です。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、竹の花、竹の種


この花の中には竹の種が入っているのですが、画像で見たり研究機関や展示場でのサンプルとしては何度か見る機会がありましたもののこれだけ沢山の種に触れるのは初めてです。孟宗竹は夏に花が咲き初冬までに熟した種子を落として発芽は翌春だそうです。発芽率は20%程度との事ですが、これだけでも蒔けばかなりの本数が発芽するのではないかと考えています。


続・孟宗竹の花

竹の花、竹虎四代目(山岸義浩)


しかし、考えてみたらどうでしょうか?竹の花を咲かせた後は、は全て枯れてしまいますがイネ科らしい稲穂のような花にはタネがあり次の世代の新しい命が芽吹いていくのです。そう思えば、確かに暫く間は竹が枯れ竹材としても筍としても利用できない時期が続くのですが終わってしまう訳ではありません。自然な生命の継承なのです。


竹の花、竹虎四代目(山岸義浩)


そこで気を取り直して竹の花を採取する事にします。小枝を採取といいましてもさすがに20数メートルある孟宗竹ですので枝はずっと上の方にあります、山主さんにはお許しを頂いていますので一本伐り倒してみる事にしました。


孟宗竹の花、竹虎四代目(山岸義浩)


できるだけ太くて枝ぶりの良い竹を選んで伐り倒します。淡竹(はちく)の仲間である虎竹とは違い、孟宗竹は太さ、身の厚み、長さも数段大きく重いです。


竹の花、竹虎四代目(山岸義浩)


遠くから見ると竹の花が一杯咲いているように見える竹も、一本一本見ていくと実はそれほど多くの枝を付けている訳ではありません。


孟宗竹の花、竹虎四代目(山岸義浩)


しかし、せっかく伐採させていただいた竹ですのでウラまで全て枝打ちします。


竹の花、竹虎四代目(山岸義浩)


そうすると少ないように見えた竹の花ですが、山の職人さんと二人で肩にいっぱい担がねば持ちきれないほどの量です。


竹の花、竹虎四代目(山岸義浩)


すでに何人かの方から竹の種についてお問合せを頂いておりましたので、余るくらいあっても良いかと思い山から降ろしてきました。京都大学の柴田昌三先生によると、この竹の種を採って植えてみると斑入りの実生が出てくる事もあるそうです。


竹の花、竹虎四代目(山岸義浩)


竹を種から育てるなど、そうそう経験出来る事ではありませんので少し楽しみです。


孟宗竹の花

竹の花


の花が咲いた事は先日のブログでお話しさせてもらった通りです、あれからやはり気になって何度が来てみます。このような開花現象は、まったく見られない事でも無いようですが、かなり珍しい事例です。


竹の花、竹虎四代目


竹林の持ち主は近くに住んでいない場合も多く、山主が分からない事もありますが今回はたまたま職人の知り合いの紹介で山主さんに竹林に入る許可をいただく事ができました。


以前は筍を採ったりして管理されていた孟宗竹の竹林も、日本中の竹林がそうであるように今では誰も行く人もおらず竹林に続く道には草が生い茂っていて人が通れるようにするだけで一苦労です。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)


実は山主の方も竹林の様子を見て「どうしたがやろうか?竹が枯れてゆうがやろうか?」と近所の人達と話していました。


竹の花


竹林から見上げると豊かにと繁る竹葉に青空が綺麗に見えるはずの光景が、今日は全く見慣れない竹の表情に違和感を覚えます。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)


竹の研究はあまり進んでおらず孟宗竹の開花も67年周期で咲いた例が2回確認されているだけなのです。身近でありながらまだまだ知られていないことも多い植物です、竹の花が咲くと不吉な前兆とも言い伝えられてきました。


開花周期から考えても初めて見る人も多く、地元のお年寄りの方でさえ竹の花であるとは誰も知りませんでしたので「悪い事が起こる前ぶれ?」と先人が考えたも分かる気がする竹林の光景です。


思い出すバリ島、Bambu Indah Resortのバンブーナイト

バンブードーム、竹虎四代目


工場の中に地元のイベントに使うバンブードームの試作があります。わずか30年前までは筍生産は、ある一定のレベルで続いていたものの安価な輸入筍の拡大によって国内孟宗竹の伐採はされなくなり放置竹林が増えて来たという事情があります。そこで、その余っている竹を使う催しが各地にあって、大きなものから、小ぶりな物まで、このようなバンブードームを色々な所で見かけるものですが、さすがにこのドームをホテルにするという発想は無いと思います。


竹虎四代目、Green Village


ところが、そんな常識を覆すのがジョン・ハーディー(JOHN HARDY)さん。竹への思い入れは普通ではありません、Green schoolはじめGreen villageなど目を見張るようなアートとライフが融合した圧巻の竹の世界に触れれば瞬間に心を奪われます。


竹の車


事業で大成功されている方と聞いていますが自分の知るハーディーさんは竹好きな子供がそのまま大人になったような無邪気な方。竹トラッカーとは対照的に集成材の竹フレームを使いシンプルな構造の電気自動車を乗り回す事もあるそうです。


ジョン・ハーディー(JOHN HARDY)、竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)


Bambu Indahという大人気のリゾートホテルも竹づくし、バリの美しい緑の中で、のんびりゆったりと自然と戯れて過されていました。


ジョン・ハーディー(JOHN HARDY)、竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)


「泊まっていけ」


と言われて、厚意にあまえる事にしたのですが急なので部屋が空いていません。


「ちょっと付いて来い」


不思議なバンブーエレベータや、徳島県祖谷のかずら橋もビックリする竹橋を渡りとにかく様々な世俗から遠く離れる結界のような場所を通り過ぎて辿り着いたのがバンブードームでした。


バンブードーム


切り立った崖の上に並ぶバンブードームは一目で気に入りました。こんな経験はあまり出来ない事ですし、とにかくワクワクしてきます。


バンブードーム


バンブードームの昼


バンブードーム


バンブードームの夜、ジャングルが一晩中、これほど賑やかとは知りませんでした。川の音、鳥や虫の声、何か分からない動物の声、たまに野犬の遠吠まで聞こえてきますが慣れてくると森と一体感を覚えますので不思議です。




bambu indahジャングル大合唱団と自分が名づけた声が少しだけお聴きいただけます(笑)




明け方の素晴らしい心持は言葉では言い表すことはできません。


バンブードームホテルの朝


今度行く時には自分はどうなっているだうろか?竹に関心のある方は是非一度行くことをおすすめします。詳しくは「バンブードームの夜 in bambu indah


竹カウボーイハットと竹の帽子

竹帽子、竹虎四代目


先月のインターンシップ生との動画撮影のために桂浜に来て見ると、さすがに龍馬も裸足で歩くと石が焼けるように熱いと言った通りのカンカン照り。これは帽子でも被らねばと思って持って来ていたのが、前に職人さんに編んでもらっていた竹帽子。


竹カウボーイハット


そういえば世界竹会議では竹編みのカウボーイハットを被っている参加者の方がおられました。持たせてもらうと日本でいうスズ竹のような柔軟性に富んだ素材特性を持った竹で作られているので自分の持っている真竹製のものよりフィット感があって、なかなかの出来映えのものでした。


竹帽子と竹根杖


自分の竹帽子は、竹職人だったお父さんの事を懐かしんで一つ、二つ作っていた地元の職人さんにお願いして自分の頭のサイズに合わせて作ったものです。竹ヒゴを曲げている部分が大事な所で、真竹の場合には少し硬くなってしまって布や革製の帽子とは被り心地が違います。頭に当たる部分が場合によっては痛くなりますのでサイズをあわせた自分以外の方は被れないのです。


いくらでも良いから分けて欲しいというお問合せは前々から頂いていますが、販売用として製作しなかったのも、現在持っている数個をお分けできないのも職人さんの思い出に心熱くした自分用に製作しているからなのです。


第11回世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress )スピーカーの方へ

第11回世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress )


第11回世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress )でスピーカーを務めさせていただいた自分に一通のメールが届きました。各国から基調講演者として参加された方々の所にも同じく送られているのではないかと思います。2~3年に一度の世界会議の場とあって、それぞれ充実した内容を用意され、もしかしたら自分のように重圧を感じられていた方もいるかも知れませんが、このように最後まで労をねぎらうようなお心づかいをいただいて皆様改めて感謝されているのではないかと思います。


世界竹会議座席


そういえば大会期間中は、ようやく運び込んだ日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」を皆様にご覧いただいたり、虎竹の説明をさせてもらう事にばかり気を使っていました。他の講演者の方々の非常に興味のある講演もいくつかあったのですが、話を聴くために用意いただいていた専用の席には一度も座る事がありませんでした。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


基調講演の際に会長のアバディさんと一緒に乗って会場に入場するという特別な演出もさせていただくほど注目を頂戴していた竹トラッカーが、メキシコ・ハラパの街を走り抜ける動画はフェイスブックで遂に31万回の再生回数を越えました。


こうして虎竹が注目される機会は多くはないため、本当に貴重な体験だったと感謝しています。




虎竹パスポートケースのメデタシ、メデタシ

虎竹パスポートケース


国によって様々な事情もあるかと思いますが、願わくば実現出来ないだろうかと思う事に入国カードの統一化があります。カード不要の国もあってホッと安心しますが、必要な場合には自分のような田舎者は、その国の様式を調べて一応記入に不自由ないつもりで行くのです。ところが、やはりひとつ、ふたつ項目が分からず
機内搭乗員の方のお世話になっています。


一度など、あれこれ聞いているうちに客室には誰ひとりいなくなって最後には「私が書きます」とキャビンアテンダントの方が全て記入してくれた事もあるくらいです。


記入欄も決して大きくありません。しかし、これからの先進国は高齢化社会に突入して小さい文字に不自由する方も増えてくるでしょう。ITも進化し続けている事ですから、事前登録できるとか、スマホ対応できるとか、もっと快適に記入しやすい工夫などが出てきたら嬉しいと思っているのです。


さて、そんな自分ですので先の世界竹会議のフライトではやはり初めて記入するメキシコ入国カードに戸惑っていました。しかし、いつになく気持ちにゆとりがあるのは今回初めてお供してくれている虎竹パスポートケースのお陰です。こうして持ち物で心から豊かになったり、余裕が出来たりするものなのです。


おっと、それでも、やはりキャビンアテンダントの方を呼び止めてしまいます。あれほど予習してきたのに、最新のカードに変わったのでしょうか?記入欄が微妙に違っているのです。そして、来られた方は必ず見慣れない虎竹に気がつきます。


「それはパスポート入れですか?素敵ですね」


そこで、待ってましたとばかりに日本唯一の虎竹の事をお話しさせてもらうのです。これは初対面方に名刺交換の際に虎竹名刺入れをご覧いただく時と同じパターンです。


青竹踏み


最後には、国内線機内での足のムクミを、たまたま置いてあった青竹踏みで解消したキャビンアテンダントさんのお話しになります。気圧の関係で相当足に負担がある事もあるようですが、休憩時間にフミフミしただけで今まで履いていたパンプスが、他人の靴のようにブカブカになるくらいムクミが取れたそうなんです。日本古来の先人の知恵、竹の力というのは本当に凄いと改めて感じます。


そうこうしている間に、さすがに入国カードも仕上がって、メデタシ、メデタシです。


蟹江一平さんが虎竹の里にやって来た!NHK旅番組「ぐるつと四国 軽四キャンピングカーがゆく」

蟹江一平、竹虎四代目


俳優の蟹江一平さんがフラリと虎竹の里にやっこ来られたのです。駐車場に停まった車は少しユニークな形です、聞けば軽四のキャンピングカー仕様だそう。中には折り畳みベッドはもちろんの事、ちょっとした生活ができるような工夫がされていて何と驚いた事に流し台まで付いています。知り合いにもキャンピングカーを使って気ままな旅を楽しむ方が増えていますので興味はありましたが、これは面白いと思いました。


この車を使って、寝泊まりしながら吹き矢で行先を決めて行き当たりバッタリ、四国をアチラコチラ周っているそうなのです。実は蟹江さんは撮影のためという事でなく、プライベートでもこのようなキャンピングカーで寝泊まりされる事も多いそうなので番組も結構自然にされているのかも知れません。


日本唯一の虎竹林


もちろん、初めての虎竹の里であり、日本唯一の虎竹ですから店内での製品はゆっくりご覧いただきました。そして、都会の方ですから竹林での癒しを是非味わっていただきたいと竹マグカップを提げてコーヒーブレイクに出かけます。先の世界竹会議では観光らしい所へは行ってませんが、ちょうど訪れていたベラクルスはメキシコでもコーヒーの産地として有名だそうなのです。本当に美味しくて、毎晩ホテルのルームサービスで大きなポットで頼んでいたほどのコーヒーを買ってきていましたので小川のせせらぎだけが聞こえる竹林で一緒に飲みました。


須崎市内を周る旅ですので竹虎での時間はあまりないかも知れませんが放映は今月末くらいではないかと思いますので是非お楽しみに!


竹虎四代目(山岸義浩)


自分はテレビもNHK大河ドラマ以外は決まって見る事もないので俳優さんの顔も名前も正直あまり知らないのです。しかし、この蟹江一平さんはお顔とお名前を聞いてハッとしました。そうなんです、蟹江敬三さんの息子さんだそうです。蟹江敬三さんは名脇役として有名でしたが、自分が一番印象に残っているのは「龍馬伝」の岩崎弥太郎の父親弥次郎役です。


坂本龍馬も素晴らしいですが、岩崎弥太郎の凄さは知れば知るほど底知れないものがあります。そこで、毎年製作する年賀状2011年は龍馬伝に出ていた岩崎弥太郎を模した格好で撮影しました。ちょうど、この年賀状も残っていましたので他の数枚と共に差し上げたのでした。


蟹江さんはに迷惑な話だったと思いますが、これから毎年、事務所の方には竹虎四代目の年賀状が届く事になります(笑)。




第11回世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress )、世界竹大使とは?

世界竹大使(World Bamboo Ambassador)


世界竹大使(World Bamboo Ambassador)とは具体的にどのような事をするのか実はあまり知らないのですが、この世界竹会議メキシコでの基調講演を契機にこのような役目を頂戴する事になりました。社員には、「自分達は虎竹のエバンジェリスト(Evangelist=伝道者)」だと常々言ってますので、もしかしたら同じような事であり、それが国際的になったのかなあと理解しています。


柴田昌三先生、竹虎四代目


今回の竹会議には、世界50カ国近い国と地域から竹専門家が参加されていましたが、現在、世界竹大使(World Bamboo Ambassador)は世界に45名おられて、日本には国際竹類協会理事、日本竹文化振興協会理事長でもあられる京都大学の柴田昌三先生が只一人の世界竹大使として竹を発信し続けて下さっています。


第11回世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress )


国や地域、人種、言葉の壁を越えて、これだけ竹に関心が高い方々が集まる機会はそうありません。


第11回世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress )


まさに竹の根が地中で縦横無尽に繋がっているように、竹に志を持つ方々が国際的なネットワークで手を結ぶというのは素晴らしい事だと思いますし、代表をされているフランスのMichel Abadieさんにも、アメリカのSusanne Lucasさんにも「竹の心」を感じています。


伝統の箕作りに伐り倒された棕櫚の木

棕櫚の木


棕櫚の木と言ってもピンと来る方は少ないかも知れませんが、ちょっと南方系ほ彷彿されるようなヤシ科の植物です。自分達にとっては袖垣や枝折り戸に使う棕櫚縄が馴染がありますが、皮の部分が水に強く耐久性も高い事から棕櫚箒や束子、敷物など生活用具ににも使われてきましたので里山にも植えられているのを見かけます。


棕櫚の木


そんな棕櫚ですが、現在ではほとんどの材料は輸入になっていますので国内で伐り倒して使っている竹職人は、おそらく一人しかいません。


箕製造


高知伝統のには持ち手部分に昔から滑り止めの工夫として棕櫚皮が使われてきたのです。


土佐箕の職人


実はこの箕しか知らないと日本中の箕にこの棕櫚が使用されていると勘違いしてしまい、棕櫚が使われていない箕に違和感を覚えるようです。しかし、竹細工の面白さはこの地域性にこそあります。


箕


「ニガ竹」と職人が呼ぶ女竹を芯に使って箕の前部分を編んでいきます。


箕


見事な手さばきで見ているうちに出来あがりますので、さすがは昔ながらの職人です。棕櫚皮も昔よりは品質が随分と落ちているとは言うものの、それでもしっかり使って素晴らしい出来映えです。


これはっ!?孟宗竹の花が咲く

竹の花


先日の世界竹会議メキシコでの基調講演でもお話ししてきたばかりなのですが「竹の花」が咲いています。普通の方は日常的にはあまり気にされていないのかも知れませんが、青々と美しく繁る竹林がこのような色合いに変わっていたら例え新幹線で横を一瞬通っただけだとしても気になってしまいそうです。


竹の花


最近の竹林は里山に近い所であっても手入れがされていないためか、テングス病などの病気が出ている場合もありますがそれらとは一目で見て明らかに違います。竹はイネ科と言うと多くの方が驚かれますが、この花を見ていただくと納得れさます。まるで、たわわに実った稲穂が垂れ下がっているかのようです。


竹の開花


孟宗竹では60年、真竹や淡竹(はちく)では120年周期で開花がやってくると言われますが人の寿命より長いため実は竹林全体に花が咲く一斉開花などを目にした人は稀です。この程度の面積の竹の開花は全くない事ではないと言いますが、やはりかなり稀な事象なのです。


少し気がかりなのは竹の花が開花すると竹林は全て枯れてしまう事です、一旦枯れた竹林が元の状態に復活するには10年はかかるそうです。1970年頃には日本では全国的に真竹の開花が起こり枯れてしまいました、そして、それが竹細工の材料不足となり竹製品不足を招き、海外からの輸入増加につながった経緯がありますので今後の推移を見守りたいと思っています。