世界竹会議の現地ツアーでやってきた竹林は沢山の見学の方が来られているようで、色々な種類の竹が観られるようにしっかりと整備されています。
そんな竹の中で、とても気になる竹を見つけました。昨年、ブラジルはサンパウロ近くの竹林を長い時間をかけて歩かせていただいた事がありましたが、ちょうどそこで見かけたモノと同じようです。説明いただく方に訪ねてみると、やはり虫の食った跡でメキシコではブロッカ(BROCA)と呼ばれているそうです。
「この虫が喰う竹は、これだけだから心配ないよ」と言われていましたが、そうでも無いようです。実際にブラジルでも見ましたし、こちらの竹林でも他の竹にも同じ不気味な同じ黒い穴が開いてしました。
東南アジアや南米では、日本では見られない竹を使った建造物が多くあります。腰が曲がるほど見上げなければならない大型の建物もあれば、この竹林農場に建てられていた簡素な作業小屋なども竹で建てられています。
そして竹の建築物を見るたびに、どうしても気になるのが日本の竹との違いと害虫についてです。柱の根元部分にはコンクリートを入れて補強してあるとの事でしたが、どこか一部でも食害にあって強度が弱くなってしまうと建屋としては大きな問題です。
特に熱帯地域にはブロッカ(BROCA)のような日本よりも強力な害虫がいても不思議ではないと思ってしまいますが、今まで拝見したインドネシア、ブラジル、メキシコの竹建造物は注意して見て回っても意外なほど食害にあった様子が見られません。
虫害は竹の三悪のひとつです。虎竹も防虫対策には一年中向き合っていますが、メキシコで防虫に使われているのもインドネシアの竹加工場で見たものと同じボロン(boron)を中心とした薬剤でした。ボロンとはホウ素の事で昆虫に対しては高い防虫効果があるものの、人に対しては無害だと言われます。
この日は土曜日、とある結婚披露宴の会場では準備が進められていました。お祝いのための広々とした建物の柱、梁にも全て竹が使われていて雰囲気を盛り上げています。このように竹が建築に多用され続けているという事は虫害の問題は、ある程度克服していることの証なのです。
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