沖縄で印象に残るのはジンディールと呼ばれる竹籠。沖縄と高知が似ているというお話しをさせてもらっていますが、使われる竹は高知ではシンニョウチクとも呼ばれ良く見られる株立ちの竹、蓬莱竹なのです。
温かい地域を好む南方系の蓬莱竹は、孟宗竹や真竹のように根が広がらない株立ちなので昔から土地の境界線として、あるいは川岸の護岸のためにも広く使われてきました。沖縄でバーキと呼ぶ籠を編むのは津嘉山寛喜さん、蓬莱竹細工が残っているのは素材が身近にある西日本でも沖縄と高知だけ。
ジンディールは、銭(ジン)と籠(ディール)、つまり釣り銭などを入れるための籠として発達してきました。子供の頃の八百屋さん、魚屋さんには釣り銭用の竹籠が吊り提げられていた事を覚えておられますでしょうか?屋根のある店舗にあった竹籠は、普通の米研ぎざるのような形をしたものを吊るしてありましたが、このジンディールは露店で使われてきた籠なので紙幣が風で飛ばされないように口をしぼめたツボ型の編み方になっているのです。
高知にも蓬莱竹の伝統はわずかに残るものの、さすがに津嘉山さんのように代々続いて父親の籠が手元にあるような職人さんはいません。
昔から作られてきた籠の歴史は古い製品を見れば分かりますが、面白いのは口巻が全てエビ止めなのです。土佐網代の伝統の籠も素材は真竹や淡竹など違っていることもありますがエビ止めでした、やはり沖縄と高知、繋がりは深いと感じます。
さて、今回は世界遺産にもなっていて美しい石垣の残る今帰仁城まで足を延ばします。
何を隠そう石垣ファンの自分は時間があれば有名、無名問わず城跡を訪ねる事が多いのです。
石垣に興味が沸くようになったのは仕事で出かける山深い土地で木々に隠された古い石垣を見つけた事がきっかけです。このような急峻で人里から遠い場所を耕作されていたのか?と驚いて、先人の苦労に思いを馳せたのが最初でした。
お城の石垣は比べようもなく大きく大規模です、今帰仁城の石垣は曲線のある沖縄独特のものでありながら野面積み(のづらづみ)。自然の石をそのまま使って、これだけ美しい石積みを作り上げるとは感動します!他では見たことがありません。しかし、どんな勇壮な石垣であっても全ては最初のひとつから、自分への戒めでもあります。
このブログを書いた後、ショッキングなニュースが飛び込んできました。あの素晴らしい今帰仁城の石垣が台風の大雨で崩れたというのです。たまたま観ていたテレビには、親切にあれこれと石垣についてお話しいただいた職員の方が残念そうな表情で写っていました。自分がお伺いした日は楽園のように美しい景色の広がる城跡でした、あの光景が一日も早く元通りになる事を心からお祈りしています。
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