「我に七難八苦を与えたまえ」日本の運動会に竹籠カムバック!?

玉入れ籠製造


竹を知らない世代に竹に触れてもらう事を考えた時に、学校の玉入れ競技の籠を思い出しました。自分達の世代では当然竹編みの籠を使うのが身近でありましたし代替品もなかったので軽く丈夫な竹籠が全国的に使われていました。ところが近年そうでない事を知って、日本中の運動会の玉入れ競技の籠を竹籠にカムバックさせるという壮大な夢を見て「全国玉入れ籠プロジェクト」が静かに、ひっそりと(笑)始まりました。


今の日本の竹細工での問題点のひとつがスピードです。熟練職人が少なくなり、簡単に思えるこのような竹籠でも製作できる所はそんなに多くありません。もちろん製作だけならば多くの職人ができますが、量産する事ができないのです。


玉入れ籠製造


多少の量はできるという場合でも、今度は価格面でつまづきます。製作に時間がかかり過ぎて安価にできません。運動会の時期が年に2回で、その時にだけ注文が集中するという商品特性もマイナス要因です。編んだ籠は最長で半年間も倉庫で広い場所を取って保管しておかねばなりません。


配送面では玉入れ籠のサイズがネックです。ほとんど空気を運んでいただくような状態ですが、梱包の箱サイズは最大ですので昨年からの全国的な運送費の値上がりで更に厳しい状況となりました。


玉入れ籠製造


それでも玉入れ籠をお求めいただく多くは購入予算の決まっている幼稚園、小中高校など教育機関です。良いモノをより安価に提供できないと結局使って頂く事が出来なくなり、必要とされなくなるしかないのです。


地元の小中学校などに何個か編むだけなら何とでもなりますが、全国の運動会を対象に考えるとなると、このような取り組みは自分達にしか出来ないだろう(日本で、こんな事に関心のある方もいない)と思い10年近くやってきました。


武将、竹虎四代目


しかし、ここ数年は製造だけでなく山の職人の減少が加速していますので、ますます大変になってきています。技術的、経済的、そして社会的な課題が加わった三重苦の中で竹林が近くにあり竹の伐採から搬出、加工、製造、販売と、山の原竹からエンドユーザーまで自社で管理できる竹虎ならではの挑戦は一体いつまで続けられるのか?


「我に七難八苦を与えたまえ」の武将・山中鹿介の気分です。


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