高知県に梼原町という少し面白い町があるのです。平家の落人伝説の残る町は須崎から距離にしたら43.5キロと特別に遠い所ではありません。坂本龍馬が脱藩する時には須崎から梼原を通り国境を越えて行ったように昔から大きな生活道で結ばれた町同士でもあります。しかし、梼原町の中心地の標高が410メートルという高地にあって、曲がりくねった山道が続くという印象が残っているのか、道路が整備されトンネルが抜けた今でもあまり頻繁にいく町ではありません。
そこに、ある日突然「雲の上のホテル」という山深い所には似つかわしくないモダンなホテルが出来ました。その後も「雲の上のギャラリー」「まちの駅ゆすはら」圧巻の建物が次々と増えていきます。そもそも、梼原町総合庁舎自体が驚くような格好良さ、知らずに来られ方がいたら腰を抜かすのではないかと思うほどです。
これらの建物は全て高名な建築家・隈研吾さんの手によるもので森林の町、梼原の豊富な木材を活かしています。竹は木でも草でもないと言われますが、親戚のようなものですから当然注目はしていましたが、昨年6月のジャパン・ハウス サンパウロ(JAPAN HOUSE Sao Paulo) にお招きいただいた際、強烈な印象で迫ってきた木の存在感に改めて森林国・日本を感じました。
そして、今回さらに隈さんによる「雲の上の図書館」が来月オープンです。ブラジルの時と同様、しばらく声も出ず、ただ魅入るだけ。高知県は人口減少のトップランナーです、高齢化や限界集落の問題は日本で一番最初にやって来ています。ところが、ここで働く皆様は若い活力がみなぎっている感じです、不思議に思っていましたがその多くはIターンの方々でした。そう言えば空き家に悩む自治体が多いなか、この梼原町では空き家が無いそうなのです。過疎地域が先進の取り組みをされ続けている梼原に学ぶ事は多いと思います。
さて、最初の雲の上のホテルに話を戻しますが玄関ロビーにの上に大きな竹の照明が吊るされています。この竹編みは今まで竹虎がさせていただいた照明の中でも最大級の物で、たまに通りがかった時には道路から見えるのでいつも気にかかっています。
竹の身の部分を使っていますので製作当時は白かった色合いが、今ではすっかり飴色になってきて高級感が増しています。よくご覧いただきますと竹の壁面や仕切りも四ツ目編みの竹で設えています。うっかりしていると見逃してしまう事があるかも知れません、このゴールデンウィークには沢山の方か行かれるのではないかと思いますので是非ご注目いただきたいと思いよります。
コメントする