昔から使われていた籠の中で塩取り籠という、あまり一般的には聞きなれない籠があります。これは円錐形をした網代編みの竹籠で、使用時には尖った先端部分の方を下にします。「塩取り」と言うくらいですから塩作りに関係した籠だとお分かりいただけるかと思いますが、一体どのように使うのか?ご存じの方は、あまりおられないのではないでしようか。
自分も実際に使われているのを見ることはそう多くありません。使い方は海水を完全に煮詰める前の苦汁液が残っている時に、この吊り下げた塩取り籠に入れて苦汁を取り除いていくのです。
いつだったか、この塩取り籠を思いだすような竹製コーヒードリッパーを見かけたのです。まさに古くからある網代編みの籠をそのまま小さくしたような物でした。若い職人の方が製作したものだったので、もしかしたら塩取り籠をどこかで見かけてインスピレーションを受けて作ったのかも知れません。
実はコーヒーを毎日4杯、5杯と飲むコーヒー党ですので竹製ドリッパーを見てからずっと気になっていました。会社ではカプセルをコーヒーマシーンにセットして一杯づつ入れるコーヒーを使っていましたが、長く使用している間にどうも美味しさを感じなくなっていました。社員にもあまり好評ではありません。
そこで、たまたま入った喫茶店のマスターが美味しいコーヒーを入れてくれるので、聞いてみるとMOCCAMASTERというオランダ製のコーヒーマシーンを教えてくれました。少し高額だったものの毎日の事なので購入して使ってみますと、さすがオススメされる事はあります。久しぶりに自分好みのコーヒーを飲んだ気がして嬉しくなったのです。
そんな時、顔見知りのお客様から竹製コーヒードリッパーのお問い合わせがありました。カプセルを止めてコーヒー豆も手元にあって、ちょうど自分もあの気になっていた竹ドリッパーで竹コーヒーを飲みたいと思っていましたので製作してみる事にしました。
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