磨きの竹籠の楽しみは何と言っても時間の経過と共に深まる色合いです。香り立つような青々とした竹ヒゴで編み上がったばかりの籠というも清々しい感じがして大好きなのですが本当の意味で竹を使う、竹を愛でるという事ならば使うごとに飴色に育っていく竹籠の姿を楽しみたいのです。
今年編まれたばかりの籠と数年前のものでは色合いがこれだけ違ってきますので同じ編み方、形、大きさでも全く見栄えが違うのがお分かりいただけるかと思います。
まだ試作の段階です。楕円形なのか丸型なのか少し詰めてから、竹材の事なども考慮しつつ持ち手の太さや形を決めて近日には皆様にご紹介できるようにしたいのです。
まず最初に目立つ特徴は口巻のエビ止めと、飛びゴザ目の編み込みではないかと思います。しかし真骨頂は「土佐網代」と呼ばれる底編みにあります、見た目が同じような竹籠でも菊底編みになっている籠とは違いルーツは高知の昔ながらの竹細工にある伝統の籠です。
土佐網代とは地元高知で言われていた名称ではなく、この編み方に感動して技を習得された県外の方が畏敬の念をこめて名づけた呼び名です。この籠が大量に編まれて流通していた40年以上前には、職人さんの父親や祖父が作るのを見よう見真似で覚えて当たり前のように編んでいた籠だから改めて名前など付ける必要もなかったのです。
このような竹籠が土佐の籠として製作さていた事を知る人は今では誰もいなくなりました。古い籠は自分も、たまたま納屋に残されていた一点を持っているのみ。だから、どうしてもこの底編みで形にしたいと思っています。
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