普通、皆様が竹と呼んでいる「竹」は孟宗竹か真竹であることが多いのです。しかし、モウソウだのマダケだの言われても見分けがつかないというのが大方ではないですろうか。ただ、青々とした青竹は正月飾りなど特別な機会に使われる事が多いのでご覧になられた事が多いかと思います。モウソウにマダケにアオタケ...、ますます分かりにくい、いやいや実は青竹とは真竹の事です。そして、その青さが特徴の真竹を加工して乳白色の色合いにしたのが白竹なのです。
この加工とは、湯抜きと言って熱湯で竹の余分な油成分を取るという作業をさしています。竹材を製品にして長く利用しようと思うと必ずしなければならない大事な工程なのです。
まあ、分かりやすく申し上げるなら熱いお風呂に竹を入れてサッパリしてもらうようなイメージです。大きな釜は沸き上がるまでに時間がかかりますので早朝から火を点けます、冬場に行う作業ですので竹虎でも白竹を製竹していた頃には、モウモウと湯気が立ちのぼる作業の様子は季節の風物詩のようにもなっていました。そうしてお湯から出たばかりの熱々の真竹は鮮やかな薄い緑色をしています。それが徐々に黄色い色合いに変化していきます。
その竹を寒い時期に太陽の日に当てて白い竹肌にしていくのが白竹であり、日の光に晒すので晒竹(さらしだけ)とも呼ばれるのです。
別府市竹細工伝統産業会館は、いつ来ても発見があります。一日いても飽きることがないような身近な竹から竹工芸までが並べられていて本当に素晴らしい場所なのです。日本の竹に光を当てた、竹芸で初めての人間国宝、生野祥雲齋の地元でもあり美しい作品も展示されています。
裏庭には、湯抜きされた青竹が冬の青空の下、天日干しのため立てかけられていました。じっと眺めているうちに、晒竹となる若竹達が枯れそうな伝統の大樹を皆で支えあっているようにも見えてきます。自分も、この一本でありたい、そう願うのです。
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