竹取物語と言えば日本最古の物語とも言われて誰もが知っているお話しです。竹取の翁によって光輝く竹の中から生まれて翁夫婦に育てられたかぐや姫を巡る物語ですがどうしても「光輝く竹」というのが気にかかっています。以前、梅雨時の孟宗竹が光輝く竹であると30年ブログに書いたことがあります。
孟宗の若竹には注意していないと見逃すくらいの産毛のようなものが生えており、雨の湿気で本当に信じられないほど光輝いて見える事があるのです。連日の雨で回りの景色が暗く沈んでいる中、まるで浮かび上がらんばかりの竹の神々しさに出会えば竹取り翁ならずとも何かを感じてしまいそうです。
しかし、孟宗竹が日本古来種であれば、これで問題解決ですが実は孟宗竹は中国から江戸時代に入ってきた外来種でありこの物語が成立した1200年も前には日本になかった竹なのです。
それでは「光輝く竹」とは一体何なのか?
それは淡竹(はちく)に間違いありません。淡竹のひとつの特徴として白く粉が吹いたように見える竹表皮があります。何を隠そう日本唯一の虎竹も淡竹の仲間ですが、独特の虎模様はこの白塗りした下に隠されています。虎竹と言っても全ての竹に色付きがあるのではなく、一級品の色合いになるのは一部の竹だけです。
ずっと色付きのない竹も多いのですが、そのような竹に何かの拍子に日の光が当たった瞬間、「光輝く竹」が表れ竹取り物語の秘密が解けた事を確信するのです。遥か昔、翁は淡竹の林でこのように光る竹を見つけて、かぐや姫が誕生したのです。
白粉に隠された虎模様を一般の方が見分けるのは少し難しいかも知れませんが、簡単に虎模様を見ることができる事があります。先日の雨模様の日に山出しの様子を確認に行くと、雨水で濡れた竹表皮には美しい虎模様がしっかり見てとれます。
昨年、東京国際フォーラムにて開催されたアートフェア東京2017がありました。竹取物語をテーマにしたInstallation kaguyaに虎竹を使って頂いたのですが、この時の企画をまとめた本が出版されてアマゾンで販売されています。
また、蔦谷書店さんの方で特別コーナーを作り出版記念の展示が開催される事になっているそうです。代官山蔦屋書店では今月1月11日(木)~31日(水)、京都岡崎蔦屋書店で1月11日(木)~2月12日(月)、梅田蔦屋書店で1月10日(水)~31日(水)の会期を予定されています。蔦屋書店と言えば若い方々にも人気のスポット、虎竹の事も知っていただく機会にもなれば嬉しいと思っています。
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