北海道の根曲竹細工で感心するのは機能的であり美しい形をしたイクラ籠でした。鮭の卵を取り出した時に水切りに使われてきた竹籠との事ですが根曲竹の表皮部分を内側に編んでイクラをキズつけることなく作業できるように工夫されています。
雪で鍛えられた無骨な感じの根曲竹も表皮を磨けば綺麗な竹肌になります。そう言えば篠竹でも内側に竹表皮を向けて編み込んだ魚籠を持っています、笹類特有の表皮部分の滑らかさを活かした特徴ある作りです。
北海道といえばジャガイモなどの栽培も盛んですがそんなイモ類を入れるイモ籠でも根曲竹が活躍していると聞きました。今回は拝見する事ができませんでしたが、このような箕もありますので、自分たちの周りで真竹や淡竹などを使った農家用の籠と全く同じように根曲竹の籠が使われてきた歴史を垣間見る思いです。
更に珍しい根曲竹に出会いました。なんと文庫と衣装籠です、屋外や仕事場で活躍する籠の多い根曲竹でこのような家庭用の繊細な編み込み、しかも作りの難しい角籠まで作られていたとは驚きでした。よほどの名人の作のようで角の折り目が丁寧で、このような歴史のある籠を触らせていただける事に幸せを感じます。
北海道の山道を少し走ればこのような沢があり、笹が繁ってずっと向こうまで続いています。
太くて長い根曲竹を求めて山深い土地に入り竹を伐り出してくるのですが竹の保管方法にも虎竹などとは違って独特の方法があります。乾燥すると折れて使えなくなるので、ある時には雪の中に埋もれたまま保管したりこのようにムロ作って適度の湿気を保てるようにされているのです。竹材は秋に伐り出した分しかないので、編まれる竹製品が限られるのは虎竹と同じなのです。
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