NHKスペシャルでは、いつも素晴らしい番組を放映されていますが先日は中国雲南省の竹と共に暮らす人々の様子が放映されていました。数年前に放映されたテレビ番組の再放送だったのですが、古き良き時代の日本の里山を見るようで懐かしい気持ちにさせてくれます。
日本の竹細工も大陸からの技術が元になっていますので、やはり中国の竹文化というのは奥が深いです。竜竹という名前の大きな竹があり、竜が地上に降り立った時の化身とされていて毎年竜の誕生日に竹を植えるといいます。成長の早い竹を植えるとは日本では考えられませんが、それだけ竹の活用が盛んだという事なのです。
なるほど番組を見ていると川にかける大きな橋を村人が共同で作っていました、材料は何から何まで全てが竹です!手際よく役割分担してあれよあれよと言う間に進んでいく作業の工程を見ると本当に竹が人々の生活に根差し、常に関わりながら生きている事が伝わってきます。
一つ気になるシーンがありました、ユーグワンと言うゾウ虫の仲間が登場します。いかにも熱帯に住んでいそうな強烈な赤い色をしていました、この虫は筍の先端に卵を一つづつ生んでは、次の筍、また次の筍と回っていくといいます。
大自然の営みなので竹を食す虫も当然いるのですが、竹材や竹製品を扱う自分達にとっては害虫として非常に困った存在です。例えば先日も黒竹箒の柄部分をタケトラカミキリの幼虫に食べられましたが、このような細い竹だと簡単にポキリと折れてしまうほど食害にあってしまうのです。
先のユーグワンという虫の幼虫も竹を食しますが、他にもタケノメイガという虫の幼虫を竹の節の中から採取するシーンなどもありました。一節の中に何匹ものイモムシのような幼虫がいましたので食害に合うとするなら、かなりの痛手です。
しかし、現地ではこの幼虫を大きな深鍋にいっぱい炒めて食べています、つまりここでも竹が人の役に立っていました。自然と上手に共存している姿に感じ入りつつも日本では知られていない虫の登場に、今年6月に訪問させてもらったサンパウロでの竹林を思いだします。
竹の稈の所々に黒く穴の開いている部分がありますが、これが竹の害虫によるものなのです。移民された日本人が持ちこんで広げたという淡竹(はちく)の竹林はここが遠く離れたブラジルだということを忘れさせてくれるほど見事なものだっただけに初めて見る虫の食害には驚きました。
虎竹にしても出来るだけ虫の被害にあわないように旬の良い時期に伐採し、管理していますが自然のものなので旬の良し悪しに関係無く食害にあうこともあります。今でさえ虫対策には苦労していますので気候変動により、このような害虫が入ってこないことを祈るしかありません。
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