昔から虎竹の里にいて暮らしていると全く実感がわかないかも知れません。自分は幸いなことに中学入学と同時に全寮制の学校に入り、その後高校、大学と10年ここにいなかった。だから、この地の特別な価値が分かるのだと思っています。
京都は何といっても竹に一番うるさい土地柄。銘竹市などに行くと見た事もない美しい竹がズラリと並べられていて圧倒されるのですが、これは古くから華道、茶道と竹の関係、需要と供給のバランス、伝統を守る京都ならではの事です。
そんな、こだわりの塊のような京都で銘竹と言えば清水銘竹店の清水良廣さんです。写真の真ん中に写る小柄な方ですが竹の本物です。竹の世界は奥が深くどこまで行っても終わりがありません、尊敬する人も多いのですが清水さんもそんなお一人。とにかく、この方ほど竹を知っていて、竹を愛する人はいません。京都の竹文化、伝統を陰から支え続ける姿は絶大な信頼を得ています。竹の事を人と話して面白いと思うことは、あまり無いのですがこの清水さんは凄い、楽しい。
そして、もう御一方が宇都宮市で広大な竹林の若山農場を経営する竹植栽のエキスパートであられる若山太郎さん。竹には様々な顔がありますが一年通して青々とした葉が茂る観葉植物としての側面もあります。パリなどに行くとカフェの目隠しや間仕切りなどに竹の植栽が多用されていますし、アメリカでも高級住宅街には竹の植え込みが使われます。
最近、東京に大型商業施設が出来ていますが注意してご覧いただきますと竹の植栽が良く目につくようになりました。竹があまり大きくなっても困るので「ヒメアケボノモウソウチク」と言う小型に品種改良した孟宗竹などを植えているそうですが、首都圏に竹が増えつつあるのはこの若山さんの仕事です。
このような、竹の世界でトップランナーである竹の専門家にお越しいただける竹林が日本にどれだけあるでしょうか?これが江戸時代から延々とつづく虎竹文化なのです。
さて、竹林から本社に戻ると遠方からの来客を聞いた父が待っています。一瞬にして、その清水さんがプロの顔になります。京都の竹林で角竹や図面竹、ゴマ竹にする大きな孟宗竹と向き会う目です。
いつもはあんな顔はあまり見たことがありませんので、やはり先代は偉大という事かも知れません。自分はまだまだ、これからです。
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