渡辺竹清先生の工房はやはりいつ行っても面白いから、ついつい長居をしてしまいます。この日も、そう思って時間にゆとりをもって朝早くから行くのですが、やはり気が付くともう急がないと午後からの用事に間に合わないくらいの時間です。
桐箱から出させて頂いていたニューヨークの有名宝石店で扱われていた煤竹網代編みのパーティーバックをもう一度手にしてみます。なんとも優しい柔らかな手触りです。この作品のデザインされたイタリア生まれのペレッティさんは、渡辺先生との創作時にいつも「耳たぶ」の感触と言われていたそうです。
ところが、この持った時の微妙な弾力は竹ヒゴを丁寧に剥いだ竹ヒゴ一枚だから実現する心地良さです。内張りした同型のパーティーバックと比べるとよく分かるのですが、薄い布一枚張られるだけで全く違った手触りとなります。
店頭では美しい銀の留め具が付いた装飾品として扱われていましたが、その真骨頂はシンプルな竹素材と竹編みの技だったのです。
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