2018年、新春に虎竹箸

虎竹箸


虎竹は自然の意匠のと言ってますが本当にひとつひとつ柄が違い、色の濃淡がありますので細いお箸に製造した時には特にその仕上がりには差異があるのです。


虎竹箸


年始には新しいお箸で始められる方がおられますが、それならやはり「松竹梅」とめでたい樹木の一つに数えられる竹がオススメです。竹はわずか3カ月で竹になるという言葉がりますように天を目指して真っ直ぐに素晴らしい成長力を見せます。


環境に優しいエコ素材としてご支持いただくのはもちろんですが、その覇気のあるパワーも竹の魅力となっています。竹には節があるためにしなやかで強く、その節のあり方は人の節目節目の大事さを教えてくれているようでもあります。


虎竹箸


そもそも「箸」の文字は竹冠ですので、箸は身近で馴染みの深い竹が多用されてきたのだと思いますが、日本唯一の虎竹はもっと特別なものなのです。自然に生み出される虎斑模様です、虎は千里行って千里帰ると昔から言われ勢いの盛んなたえとなのです。


一年のスタートを切る新春に使うお箸として虎竹箸ほどふさわしいものが他にありますろうか?


さらに、虎が千里を帰るのは子供の事を思ってだそうですので家族を大事にする親の愛情の深さを知ることができます。おっとますます来年こそ虎竹箸でスタートしたくなられたのではないかと思います。


二重編みの寿司バラ

 
寿司バラ


竹ざるには色々ありますが、高知では大きな網代編みの竹ザルのことを「サツマ」と呼ぶのです。どうしてサツマと言うのかは定かではありません。おそらく網代編みの大きな竹ざるの製法を鹿児島の竹職人が高知に来て伝えたのか、反対に土佐の竹職人が鹿児島に出向いて習ったのか、いずれにせよ技術の伝達があったのは間違いないと思います。


鹿児島大隅半島から宮崎、高知、和歌山は黒潮の流れで繋がっていると感じることがあります。その一つにウツボ漁があり、漁のための竹編みのウツボ籠があるのですが日本でウツボを食する文化のあるのは宮崎、高知、和歌山の3県だけです。網代編みの竹ザルについては、そう時代が古いことではないにせよ、潮の流れに従うかのように何らかの関係があったと考えられますので面白いものです。


竹製寿司バラ


以前もこの30年ブログで寿司バラのお話しをさせていただいた事があります、鹿児島、宮崎など九州南部では寿司飯を作る時に網代編みされた竹笊を使います。寿司バラには乾燥を防ぐために蓋付きの場合が多く、技術の高さを伺い知ることができますがこの竹編みは上下共に二重編みとなっています。


寿司バラ、蓬莱竹


そして更に網代編みの部分が蓬莱竹といいますのでしびれます。何かあれば寿司飯は欠かせないと言いますので、これからの年末年始には家族親戚が集まる機会も多い季節、この大きな寿司バラが活躍するのですろう。


寿司バラ


それにしても艶々と輝いて美しい編み込みです。これなら寿司飯もいくらでも作れそうな気分になってきます。


四代目田辺竹雲斎さんのテレビ撮影

四代目田辺竹雲斎さん、竹虎四代目、虎竹の里


田辺竹雲斎さんには虎竹を作品だけでなく大きなインスタレーションにもお使いいただきますが、この方ほど虎竹の里の竹林に来られる作り手は他にはいません。ここ数年は毎年のようにお越しいただいており、今回もテレビ撮影のために海外での展示会前の忙しいスケジュールをぬって、わざわざ大阪からお越しいただきました。


四代目田辺竹雲斎さんテレビ取材、虎竹の里


さすがに世界で活躍される田辺さんだけあって撮影クルーは何とアメリカから来られています。そして、国内の別の撮影スタッフとドローンでの撮影チームが通訳の方も同行されていました。


虎竹の色づきには海からの潮風が影響しているとの言われるほどなので虎竹の里は実は海に近く、竹林上空に上がりますと土佐湾までの雄大な景色が映しだされます。虎竹を育む美しい自然の映像をしっかりと撮られていましたので全米放映の1時間番組と言いますが出来あがりが楽しみなのです。


四代目田辺竹雲斎さんテレビ取材、竹虎工場


思えば田辺さんの作品もインスタレーションも世界各国で紹介されていますが、虎竹と言えば、必ずこのガスバーナーを使いここから嫁いでいった竹たちばかりなのです。


四代目田辺竹雲斎さん、竹虎四代目


ヨーロッパやアメリカなど外国での展示と言いますと行った事もないし、遠くてイメージがわきにくい方もおられるかも知れません。田舎者の自分も昨年、パリのギメ美術館「五大」を実際に拝見するまではその迫力などは想像できずにいました。


そこで、東京の方でしたら何度か足を運ばれた事のある日本橋高島屋さんでの写真ならどうでしょうか?今年は高島屋さん一階にて巨大な虎竹インスタレーションを創作されていました、お馴染みの場所でしたら、空間での迫力の大きさ、圧倒的な存在感がよりリアルにお分かりいただけると思うのです。


竹虎カレンダー2018

竹虎カレンダー2018


一年は本当に早いものです。今年も恒例となっています竹虎カレンダー2018のお知らせをする季節です!時が過ぎるのが早い早いと思うのは自分が遅くなっているせいだと、今年の1月に諭されて反省して改めなければ...そう思っているうちに1月が目の前ですから言葉がありません。


竹虎カレンダーは、本日より3240円(税込)以上のお買い物をしていただきました皆様、先着2018名様にもれなくプレゼントさせていただいております。


竹虎カレンダー2018


今年も残すところ一月余り、思い返したら実に色々あった年でしたが、来年は更にまた多彩な予定のある一年になりそうなのです。乗り越えなければならない壁も次々にやってきます。


何かの歌にありましたが、大人になったら宿題はなくなると思っていましたが自分の場合は学生の時に勉強してない分、余計にあるような気がしています。来年こそは「早い」と思わないような過ごし方ができるよう願っています。


竹根は天然の鉄筋コンクリート

竹根


「地震の時は竹林に逃げろ」と小さい頃から教わっています。どうしてなのかと言えば、竹の根が張り巡らされてるところをみれば一目瞭然ですが普通は固い地面の下にある竹根を見る機会などはというのは滅多にあるものではありません。


しかし、このように竹林を伐採して根を掘り起こした現場をご覧いただきますと少しお分かりいただけるかも知れません。曲がりくねって見えているのが竹の根、竹自体も鋸や鉈が無ければ小さな径のものでも折る事はできますが切断しようと思っても、ちょっとやそっとで出来るものではありません。


虎竹根


そんな竹の稈同様に竹根も実に強靭で、しなりがあり決して切れることはありません。竹の節みたいに竹根にも節があり、地面をしっかり掴み込み縦横無尽に伸びて他の仲間と繋がっています。これが竹根の強さであり、天然の鉄筋コンクリートと呼ばれる所以なのです。


竹根杖


このようなステッキに使える太い竹根は職人がいなくなり製造されなくなりました。自分用に数本の竹ステッキを持っていますが、ちょっと心細くなるような細い竹根でも体重をしっかり支えてくれますので、このくらい物になれば本当に強くて安心です。


竹根取っ手


見た目の面白さから竹製品にも色々と使われて来た竹根は、バックの持ち手にも使われるようにハンドルにも持って来いの素材です。特に太いものでしたらドアの持ち手に使われているのを竹職人の工房などで何度か拝見した事があります。


そうそう、いつだったか竹の多い台湾南投県でもドアの取っ手が竹根だったことを思い出しました。テッペンから地中の竹根まで全く無駄なく使えるのが竹なのです。




四万十カズラの通し

四万十カズラ通し


昔から農家さんでは使われてきた穀物を選別する道具には竹が多用されています。日本全国にそれぞれの竹素材は違いますものの、同じくらいのサイズ、深さの通しがあって面白いのです。四万十カズラを使うものは珍しいのですが、これもずっと作られ続けてきたもののひとつです。


四万十カズラ通し編み目


四万十川上流域にあるカズラを竹虎の工場では袖垣や光悦寺垣などの格子部分に使ったりしますし、買い物籠の持ち手を巻いたものなどもあります。専門の山の職人さんがいて時期の良い時に山のように集めてきてくれるものです。


四万十カズラ通し


編み上がった通しをよく見ると縁部分が少し歪んでいます。いつも作っている籠ならいざ知らず、素材も違いますし数年に一回程度しか作らないのでカンが戻らないのです。しかし、このカズラの通しも伝統を引き継ぐ職人はただ一人、忘れた頃に注文がくるような需要ではありますがそれでも、この今の時代に使われている道具ですので作り手と使い手がお互いが譲り合うようにして続いてる手仕事です。


日本中の学校の玉入れ競技を竹籠にする

玉入れ籠製造


昔から運動会の玉入れ競技は竹籠だと思ってきましたが、それがどうやら違うと知ったのは随分と前の事です。それ以来、いずれ「日本中の学校の玉入れ籠を竹にする」そう思って毎年販売を続けています。今年もお陰様で用意しておいた籠はすべて無くなって、まだまだ足りなそうでしたので運動会シーズンが過ぎても玉入れ籠の製造が続きました。


玉入れ籠種類


実は、玉入れ籠と一口に言いましても、竹虎には同じような形の背負い籠を含めてこんなに沢山の種類があります。これでも少なくなったほうで、画像を残していない竹籠ありましたし、ここに写っている籠でも今ではもう編めなくなってしまった籠もあるのです。


玉入れ籠種類


国内の職人さんが少なくなる一方ですので、この玉入れ籠のように「子供たちの笑顔を見たいから」という志で利益度外視のままでいつまでも製造つづられるものではありません。


白虎竹玉入れ籠


種類も極力少なくして効率化をしていかねばなりませんが、今年からはひとつだけニューフェイスが加わったのです。それが白虎竹玉入れ籠というて、虎竹でも白っぽい二等品の竹を使うものです。


虎竹の里に成育する竹は、ごく一部の孟宗竹を除いて虎竹ばかりですが全ての竹に虎模様ができるわけではありません。特に近年の温暖化の影響だと思われますが色つきの芳しくない竹が増えましたが、そんな白虎竹の有効活用ともなるのです。二等の竹ですが、出来映えは一等品ですので、子供たちにも一等目指して頑張ってもらいたいと思うてます。


荒廃する竹林に思う

荒廃した竹林


水資源に恵まれた日本は世界でも有数の森林大国なのです。国土面積に占める森林率は約68.5%もあって先進国の中ではフィンランド、スウェーデンなど北欧の国の次いで第3位です。ちなみに我が高知県の森林率は84%、世界一のフィンランドの72.9%を上回っています。


しかし、そんな森林大国にあって竹林の面積はどのくらいあるのでしょうか?


日本人と竹とは数千年の歴史があり衣食住すべてに竹が関わり、竹のない生活は考えられないほどでした。中国のことわざに「可使食无肉、不可使居无竹(食事で肉がないのは許せるが、暮らしに竹がないのは許せない)」と言うものがありますが、まさに日本の暮らしにも欠かせない自然素材として、様々な用途に使われて、いつも身近にあった竹なので面積もさぞ広大ではないか?そんな風に予想される方も多いかと思いますが実は全国平均でわすが0.6%。


竹林面積の日本一の鹿児島でも2.7%、第二の大分県3.0%、第三位山口県で2.8%と思う以上に森林に占める竹林面積というのは少ないのが実態です。それなら、どうして竹林の荒廃が度々取り上げられ「竹害」などという全く的外れではありますが不名誉なことを言われたりするのかと疑問に思われるかも知れません。


孟宗竹


当然の疑問ですが、先ほど申し上げたように竹は暮らしに欠かせない日本人のパートナーでしたので自宅の周りや身近な土地に移植して育ててきた歴史があります。つまり、人里離れた場所ではなく人目につく近隣に竹林が多く存在し、活用されなくなった事でその景観が保たれなくなった事が大きな原因なのです。


竹に罪はありません、竹を使うことを忘れてしまった自分たちが悪いのです。そこで、そんな竹活用の方法については多く方が試行錯誤を続けていて少しづつ成功事例も出てきました。竹の可能性はこれからなのです。


竹のプロが集う、日本唯一の竹林

 
清水良廣さん、若山太郎さん、竹虎四代目


昔から虎竹の里にいて暮らしていると全く実感がわかないかも知れません。自分は幸いなことに中学入学と同時に全寮制の学校に入り、その後高校、大学と10年ここにいなかった。だから、この地の特別な価値が分かるのだと思っています。


京都は何といっても竹に一番うるさい土地柄。銘竹市などに行くと見た事もない美しい竹がズラリと並べられていて圧倒されるのですが、これは古くから華道、茶道と竹の関係、需要と供給のバランス、伝統を守る京都ならではの事です。


そんな、こだわりの塊のような京都で銘竹と言えば清水銘竹店の清水良廣さんです。写真の真ん中に写る小柄な方ですが竹の本物です。竹の世界は奥が深くどこまで行っても終わりがありません、尊敬する人も多いのですが清水さんもそんなお一人。とにかく、この方ほど竹を知っていて、竹を愛する人はいません。京都の竹文化、伝統を陰から支え続ける姿は絶大な信頼を得ています。竹の事を人と話して面白いと思うことは、あまり無いのですがこの清水さんは凄い、楽しい。


そして、もう御一方が宇都宮市で広大な竹林の若山農場を経営する竹植栽のエキスパートであられる若山太郎さん。竹には様々な顔がありますが一年通して青々とした葉が茂る観葉植物としての側面もあります。パリなどに行くとカフェの目隠しや間仕切りなどに竹の植栽が多用されていますし、アメリカでも高級住宅街には竹の植え込みが使われます。


最近、東京に大型商業施設が出来ていますが注意してご覧いただきますと竹の植栽が良く目につくようになりました。竹があまり大きくなっても困るので「ヒメアケボノモウソウチク」と言う小型に品種改良した孟宗竹などを植えているそうですが、首都圏に竹が増えつつあるのはこの若山さんの仕事です。


このような、竹の世界でトップランナーである竹の専門家にお越しいただける竹林が日本にどれだけあるでしょうか?これが江戸時代から延々とつづく虎竹文化なのです。


清水良廣さん、竹虎本社


さて、竹林から本社に戻ると遠方からの来客を聞いた父が待っています。一瞬にして、その清水さんがプロの顔になります。京都の竹林で角竹や図面竹、ゴマ竹にする大きな孟宗竹と向き会う目です。


いつもはあんな顔はあまり見たことがありませんので、やはり先代は偉大という事かも知れません。自分はまだまだ、これからです。


第58回全国竹の大会高知県大会、現地視察研修会

ミロクテクノウッドさんの見学


全国竹の大会には今まで何度も参加させていただいておりますが、二日目に恒例となっている現地視察研修会にはあまり行った記憶がありません。


会期は当然平日でもありますし往復する時間を考えれば、そうゆっくりもできない事情もあります。今回の高知大会でも遠隔地での開催ですし、いくらミロクテクノウッドさんの見学だと言ってもせいぜい25名程度の参加だと定員を設定しおりました。


ミロクテクノウッドさんの、トヨタレクサスハンドル


ところが実際にはその倍近い皆様が二日目も高知に残って現地視察研修会にご参加いただきましたので、いかにトヨタレクサスの竹ステアリングが竹業界でも注目と関心を集めているかが分かるというものです。


ミロクテクノウッドさんトヨタレクサスハンドル見学


自分は前の週の国立台湾工芸研究発展センター御一行様を案内させてもらった時に色々と興味深い説明は聞いていましたので、竹の大会での視察では参加いただいた会員の皆様をよく見ていましたが本当に真剣なまなざしで説明を食い入るようにしてご覧になられています。


ミロクテクノウッドさんトヨタレクサスハンドル見学


この日はステアリングと内装に竹が使われているレクサスもご用意いただいてました。ハンドルだけでも素晴らしいのですが、ハンドルは単体で使うものではなく車内でのコンビネーションの中で拝見すると更に高級感と特別感が際立ちます。


白木谷四方竹見学


その後に移動したのは南国市白木谷、四方竹の一大産地となっている山間です。四方竹は秋タケノコと言われますが旬の時期は一カ月程度しかない珍味で切り口が四角いからこの呼び名がついています。変質が早いので遠方への出荷ができなかったのが全国にお届けできる独自加工技術が確立されて近年各地で人気となっているのです。


四方竹


竹に従事される皆様ですが、日本の竹林とは趣の異なる竹林が広がる地域に興味津々のご様子でした。


白木谷四方竹見学


先の台風被害の四方竹の竹林も見せていただきましたが、倒れた竹を立て直し、縛り必死で復旧させようとする地域の皆様の意気込みを強く感じました。


白木谷四方竹見学


四方竹は元々この地域にあったわけではなく中国から移植されたものが特産となった歴史があります。田畑だった場所に植えて育てられているケースもありますので竹林の中に古い石垣が残っているあたりは虎竹の里と同じでした。美味しさが評判となり広がりを見せる四方竹にも先人の血と汗が染みこんでいます。


白木谷四方竹料理"


四方竹の一口寿司、四方竹の天ぷら、四方竹のポン切り煮、四方竹のきんぴら炒めと四方竹づくしの料理に、筍寿司、筍天ぷら、乾燥筍の炒め物、姫皮の酢味噌和え、乾燥筍入り野菜サラダとまさに全国竹の大会にふさわしい竹づくしのオンパレード!


日頃から道の駅などで販売されているだけあって美味しいのなんの素晴らしいです。ぐる煮や大根なます、チャーテの甘酢づけ、さらし柿など地元自慢の料理も加わり本当に楽しい白木谷でランチタイムでした。ご用意いただいた白木谷の婦人部の皆様に心からお礼申し上げます。


竹業界の夜明けか!?全国竹の大会、高知県大会無事に終わりました。

第58回全国竹の大会、高知県大会


第58回になります全国竹の大会高知県大会が無事に終了することができました。全国竹産業連合会が主催して日本各地で毎年この時期に開催している大会なのですが、実はこの会に参加していますのが高知県では自分だけなのです。


もちろん高知には日本唯一の虎竹があり長い歴史もあります。しかし、他にも特徴のある竹があったりするものの大きな産業としてまでは出来ていないのが現状です。だから、竹の組織や組合もない地域での開催とはどうだうろか?うまく運営できるのか?一年前の東京大会で大会旗を受け継いだ時には一体どうなるのかと正直思っていたのです。


ただ、高知県にはミロクテクノウッドさんという素晴らしい会社様があり、トヨタレクサスの竹ステアリングを製造する超高度竹集成材の進んだ技術があります。品質の一定しない竹の工業化は竹業界でも長年の課題の一つですし、多くの方にヒントとなる事があるのではないかと考えていました。


第58回全国竹の大会、高知県大会


また、竹は衣食住のすべてに昔から深く関わってきましたが全国竹産業連合会には筍生産農家さんや流通の方々も参加されています。そこで近年、認知度を高めつつある南国市は白木谷の四方竹の取り組みにも関心の高い方が多いのです。秋に収穫されてる筍は美味な事はもちろんですが、高い競争力もあるのではと思い是非紹介したかったのです。


開催されました高知県大会ですが当初の不安など全く払拭させる大成功ではなかったと思います。タイ国からの12名の参加を含め100名近い方々に参加いただき、ヤンガーセッションとよばれる志の若い皆様の発表もふくめて熱い情報交換ができました。


第58回全国竹の大会、高知県大会、片山弘紀社長様、篠原速都先生、竹虎四代目


自分の右側にお立ち頂いてるのが世界のミロクテクノウッド片山弘紀社長様、左側は竹集成材技術を共同で開発された高知県立紙産業技術センター所長の篠原速都先生です。このような大きな高知県大会では田舎者の自分は何もできません。裏方には、すべて全国竹産業連合会事務局の渡邊政俊先生はじめ、行政機関、地元サポートの皆様にお願いしておりました。


そして、大会メインとも言えますシンポジウムでは、地元の英雄坂本龍馬にあやかったテーマ「竹業界の夜明けぜよ!」を、まさに実行されて新しい竹の時代を開かれてきた片山社長様、篠原先生のご両名のトークセッションに尽きるかと思います。


第58回全国竹の大会、高知県大会新聞掲載


多くの方のお力添えによって高知大会を何とか無事終える事ができました。お陰様で全国からの竹業界の皆様にもご満足いただけたかと思います、本当にありがとうございました。地元メディアの応援も嬉しかったです、RKC高知放送さんには夕方のテレビニュース番組の中で取り上げていただきましたし、高知新聞さんにも掲載いただきました。まっことありがとうございます!


タイ国からのお客様

虎竹の里、タイからのお客様


不思議な縁が繋がることが多いですが、今回も思えば不思議です。ちょうど一年前にお会いさせていただいたタイ国竹協会のティラポンさんご一行が虎竹の里にお越しいただく事になりました。


タイ王室御用達竹細工


竹の大会にあわせて来日される事が正式に決まったある日の事、今度は日本でも高名な竹工芸家の方からタイで編まれた竹細工を頂くことになるのです。


タイ王室御用達竹工芸


竹細工と言いましても、その籠はありがちな普通の籠ではありませんでした。竹細工と言うより竹工芸、芸術性の高い作品と呼びたい逸品です。


Veerasak Wongsombut、Thiraphong Tangthirasunan、竹虎四代目


タイ王室ご用達の職人さんが編まれたという緻密な編み込みは、網代編みを極めた竹工芸の巨匠でさえ日本の竹材や技では太刀打ちできないのではないかと唸るほどの驚くべきものでした。


タイ国からの訪問、竹虎


この美しい竹工芸は有名ですので前々から知ってはいましたが、実際手にする機会は今までありません。しかし、タイ国からの訪問の皆様が来られるタイミングで、偶然にも貴重な竹籠を頂くなど一体どういう事でしょうか?


タイからのお客様


何かの大きな意思が動いているとしか思えません。凄いことが待っているような気もします。


タイのお客様


タイの皆様をお迎えするにあたりましては11月 9日の30年ブログで「急募!英語ボランティア通訳 in 日本唯一虎竹の里」としてお願いしていましたが、県の方からイギリス人の通訳の方が来てくれちょりました。


虎竹の里、タイからのお客様


この狭い地域だけに成育する虎模様の竹、そしてずっと続いてきた虎竹文化をどうしてもお伝えしたかったので本当に助かりました。感謝しています、ありがとうございました!


山岸竹材店、タイからのお客様


しかし、通訳の方を送迎してくださる方も英語が得意な方でしたし、更に自分の母校であります明徳高校からも英語担当で英語劇なども演出されている先生が助けに来てくれてましたので当日は贅沢にも三名もの通訳の方がおられて万全の体制となっていたのです。


虎竹の里


まっこと有り難い事ですが、当日はちょうど前日までの雨もあがり澄んだ空気の中、心地よい朝です。虎竹の里の竹林までは大型バスが入りませんので田舎道を感じながら10分程度歩いていただく事にしました。遠くから聞こえる山鳥の鳴き声を楽しみながら、ただ歩くだけなのに気持ちが良いのなんの、これだけで幸せいっぱいになります。


国立台湾工芸研究発展センター様来社

国立台湾工芸研究発展センター、竹虎


国立台湾工芸研究発展センターの皆様はじめ、台湾の竹業界の活躍されている方々に虎竹の里にお越し頂きました。先日、大分市にある日本文理大学で開催されていたアジア竹サミット・大分に参加された後、九州からフェリーに乗って四国に渡って来られたのです。


国立台湾工芸研究発展センター、竹虎(TAKETORA)


当然ではありますが皆様初めての方ばかりですので虎竹の不思議をご説明させていただきます。本店前の駐車場から山手を見て右の須崎市街方面、正面の焼坂の山左手の山々までが虎竹の成育する地域ですが、山の裾野から頂上までは竹があるのですが、峠を越えると途端に竹がなくなっています。


国立台湾工芸研究発展センター、虎竹の里


虎竹の里の山々には細い山道が毛細血管のように伸びていて、これらの虎竹が運び出されてきます。今はキャタピラーの付いたミニクローラ運搬機を改良した機械がありますが、自分の小さい頃には木製のキンマ(ソリ)を担いで登っていたことをお話しさせてもらっています。あの時の職人さんは本当に力強く、たくましかった、今でもハッキリと思い出すのです。


虎竹の里、竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)


ちょうど、この日は雨があがったばかりで細い坂道は非常に滑ります。3分の1の皆様は竹林まで上がってくることができませんでしたが、虎竹の里の山道はそれだけ急な斜面の山道なのです。


国立台湾工芸研究発展センター、竹虎(TAKETORA)


滑りやすくなっている山道は帰りの方がドキドキです。虎竹の杖をつきながら、ゆっくりと降りていただきますが、これも見ていて楽しそうです。雨のあがったすぐ後でしたが迷わず来ていただき本当に良かったと思っていました。


国立台湾工芸研究発展センター、竹虎工場(TAKETORA)


竹林で見る虎竹と油抜きをした虎竹は全く見栄えが違います。工場に入り虎竹の伐採はこれからなので今は時期的に一番竹の少ない時です。


国立台湾工芸研究発展センター、虎竹製造


油抜きの事など竹に携わる皆さまですので良くご存じかも知れないと思いましたが、台湾とはやり方が違うだろうし虎竹をガスバーナーで油抜きをするなど他では見ることのできない仕事ですので実際に職人の仕事をご覧いただきました。


竹トラッカー、国立台湾工芸研究発展センター


竹トラッカーの挑戦は皆様よく知って下さっているようで嬉しくなってました。台湾の南投県からの方が多かったですが竹の多い美しい所です、いつか走りに行けたら素晴らしいです。


竹トラッカー、林秀鳳先生、国立台湾工芸研究発展センター


今回、大分のアジア竹サミットでも講演された国立台湾工芸研究発展センターの林秀鳳先生には、台湾にお伺いした時に大変お世話になっていましたので是非竹トラッカーに同乗いただきたくお誘いしたのです。


高知新聞、国立台湾工芸研究発展センター


この時の様子は、数日後の高知新聞にて掲載いただきました。竹虎のような田舎の小さな竹屋に、メディアに掲載されるような海外からの専門家の視察団が来られるのも日本唯一の虎竹があってこそです。虎模様の竹に囲まれていると、ついつい当たり前の事ように思ってしまう虎竹ですが、やはり世界的に見ても凄いものなのだと改めて感じているのです。


虎竹ステンレスザルと古老の職人

虎竹ステンレスザル


ステンレス製の水切りザルがあって台所でなかなか重宝するものだから虎竹を使って縁飾りをした商品を作れないかと職人にお願いしたのはもう30年以上も前の事になります。それほど安価なものではないですし、沢山製造することも出来なかったので細く細く続いてきた商品の一つなのです。


暑い盛りには店の休憩所でアイスクリームなどを食べながら、寒い時期には熱いお茶を飲みながら、何時間も話し込んでいた職人さんとも最近は、あまり会う機会もなくなってどうしているのかと気にしていたのです。


虎竹ステンレスザル


腰を痛めたとか、どこどこの病院に通っているとか、少し心配になるような話ばかりだった職人さん。しかし、久しぶりに出来あがってきた虎竹ステンレスザルを見たらホッと安心した。年を重ねるほどに同じ細工ばかりになり、違う製品を作る事は少なくなりがちなのですが、今回のザルは今までになかった大きな形というのも良い!これだけの仕事ができるなら、まだまだ大丈夫。


一年前から決まっていた神谷小中学校での講演で改めて思った事

山岸義浩、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)


昨日の30年ブログでお話しさせていただいた神谷小中学校で開催された吾川郡連合会PTA研究大会での講演で登壇させてもらい改めて自分が思った事があるのです。


虎竹ランドリーバスケットという竹籠があります、これは元々あった昔ながらの脱衣籠を日本唯一の虎竹で復刻したものです。良くご覧いただきますとお分かり頂けますように上げ底になっていて通気性抜群の非常に優れた竹籠です。


神谷小中学校講演、竹虎四代目


竹トラッカーの製作にはクラウドファンディングでの皆様からいただいた支援が活動の源となりました。リワードというものがあって、これは支援いただいた方へのお礼やお返しの事ですが、竹トラッカー製作の最高金額の支援は100万円でした。そして、そのリワードは虎竹の里にお越しいただいて虎竹を伐採し、山出しして選別、ガスバーナーでの製竹までご自身で体験して頂くという一泊二日のツアーだったのです。


地元の人に聞いたなら、少しくらいお金をもらっても嫌だと言うかも知れません。それなのに、どうしてキツイ山を登り竹を伐り出すのに、そんな金額を出さねばならない?しかも、こんな高額な金額を...クラウドファンディング始めた頃は皆が馬鹿にしていました。誰も信じてなかったし、本気にもしていなかったと思います。


しかし実際には、このツアーをはじめ30万円の体験ツアーなど全て完売してクラウドファンディングは無事成功します。講演の演目は「金がない!作れない!走れない!」と、ないないづくしではありましたが、虎竹の里を外から見ればこのような大きな価値がここにはあり、長い歴史、竹文化が地域資源として眠っている事を一番知らなかったのは自分たちであるし、可能性を感じたのも自分たちだったのです。


神谷小中学校、吾川郡連合会PTA研究大会


神谷小中学校は本当に小さな学校ですが、小学生、中学生が仲良く一つのミュージカルの出し物をして自分達を歓迎してくれました。小さな小学生から、少し大人びた中学生の生徒さんまでが何度も何度も一緒に練習したのだと思うと感動して魅入ってしまいます。


もしかしたら生徒さん達自身は、自分たち大人が涙を流さんばかりに感激し、明るい笑顔や歌声に何ともいえない心地よさと清々しさ感じているなど思っていないかも知れません。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)


生徒の皆様の素晴らしさと虎竹の里とは比べるのも失礼かと思いますが、自分達も同じように虎竹が当たり前にあるので、外から見た自分たちの価値に気づかずにいました。


この虎竹の里には人生をかけて守る価値のある虎竹文化があり伝統があります。「笑」という文字は「竹」+「二人」で出来ていることを、どこよりも体現できる土地なのです。


来年に続く「金がない!作れない!走れない!竹トラッカー危機一髪」

吾川郡連合会PTA研究大会、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)


しかし、一年というは長いようで短い、アッという間にやってきます。この週末に神谷小中学校で開催された吾川郡連合会PTA研究大会に呼んでいただき講演させていただきましたが、実はご依頼は一年以上も前に頂いていました。


吾川郡連合会PTA研究大会、竹虎四代目


まだまだ先のことと思っているうちに当日がやってきますので時間の流れというのは油断なりません。


「金がない!作れない!走れない!竹トラッカー危機一髪」


さて、会場につきますと教育関係の方ばかりの様子で学校の成績がずっと振るわなかった自分は何とも場違いな雰囲気に落ち着きませんでしたが、とにかく竹トラッカーの話しをさせて頂きたい一心でした。


吾川郡連合会PTA研究大会、竹虎四代目


竹トラッカーは一昨年の2015年に製作を思い立ち、クラウドファンディングを成功させて資金を頂戴し2016年に完成させた日本唯一の虎竹を使った電気自動車です。その年の8月に「チャレンジラン横浜」と題して虎竹の里から横浜まで1000キロの道のりを11日間かけて走破しましたが、竹トラッカーの挑戦が終わったわけではありません。


竹虎トラッカー講演g


世界中の竹関係者が集まる世界竹会議(World Bamboo Congress)という3年に一度、世界各地の様々な国と地域で開催される竹のオリンピックのようなものがあります。来年8月のメキシコ大会には、竹虎が日本人としはただ一人Keynote Speakers(基調講演者)として登壇させて頂く事になったお話しは前にも少しさせてもらいました。


竹トラッカー


しかし、それだけでは面白くありませんので、メキシコの会場となっているハラパの町に竹トラッカーも一緒に連れていきたいと思っているのです。ところが、様々な解決できない問題が立ちふさがっていて夏から一向に進展していません。


まず運搬費用ですが今の見積もりですと自分が思っていた予算の4~5倍もかかっしまいそうなのです。経済的な理由ばありではありません、リチウム電池を積んだ電気自動車ゆえの輸送の規制もありますし、メキシコの港、そしてメキシコ国内の運搬と色々あります。


竹トラッカー危機一髪


夏から竹トラッカー輸送については手探りの先の見えない状態が続いていますが、口に出して「行く行く」と言うていたら、10倍叶う確率が高いと聞きましたので、とにかく機会さえあれば「金がない!作れない!走れない!竹トラッカー危機一髪」のお話しをさせてもらうのです。


鮎籠で蘇る

鮎籠


ちょっと贅沢なお話しかも知れませんが、虎竹の里のある須崎市は海の幸の豊富な高知にあって更に新鮮で魚の美味しい土地柄です。小さい頃は連日の大きな切り身のカツオに飽き飽きしていました。新鮮なカツオはタタキにはせずに刺身で食べるのが普通でしたので「おナマ」と呼ぶ厚みのあるズッシリとするような切り身の並ぶ食卓を見るだけで、ため息がでたことを覚えています。


鮎かご、竹虎四代目


そんな贅沢な食材は他にもあって、それが実は鮎だったです。父親が川漁師の免許を取るほど鮎が好きで、シーズンになると投網漁にいつも出かけていました。すぐ近くを流れる新荘川は日本で最後にカワウソが確認されたような清流で当時は鮎がいっぱい、いつも大漁で帰ってくるので専用の大きな冷凍庫を購入しなればならないほどだったのです。


そこで鮎の季節は、毎日のように鮎ですが、焼き鮎だけでは追いつかず日持ちのよい自家製の燻製なども作っていました。大人になって鮎の味が分かるようなり大好きになりましたが、小さい時には鮎も嫌いで今にして思えばもったいない食べ方していたのだと思います。


あゆかご


最後のひとつ残ったものでしょうか?奥の方に何年も置かれていたかホコリをかぶった竹籠が目にとまりました。何に使う魚籠かと聞きますと「鮎」と言います。


魚籠は日本全国にいろいろな形があって、それぞれ本当に面白いのですがこのようなシャープな三角形の籠はあまり見かけたことがありません。それ以上に「鮎」という一言で竹仕事の合間に夜な夜な投網を手入れする父の姿を懐かしく思い出し、ふと手に取った籠なのです。


渡辺竹清先生の「耳たぶ」

渡辺竹清作煤竹網代盛り皿


渡辺竹清先生の工房はやはりいつ行っても面白いから、ついつい長居をしてしまいます。この日も、そう思って時間にゆとりをもって朝早くから行くのですが、やはり気が付くともう急がないと午後からの用事に間に合わないくらいの時間です。


渡辺竹清作煤竹パーティーバック


桐箱から出させて頂いていたニューヨークの有名宝石店で扱われていた煤竹網代編みのパーティーバックをもう一度手にしてみます。なんとも優しい柔らかな手触りです。この作品のデザインされたイタリア生まれのペレッティさんは、渡辺先生との創作時にいつも「耳たぶ」の感触と言われていたそうです。


渡辺竹清作煤竹パーティーバック


ところが、この持った時の微妙な弾力は竹ヒゴを丁寧に剥いだ竹ヒゴ一枚だから実現する心地良さです。内張りした同型のパーティーバックと比べるとよく分かるのですが、薄い布一枚張られるだけで全く違った手触りとなります。


店頭では美しい銀の留め具が付いた装飾品として扱われていましたが、その真骨頂はシンプルな竹素材と竹編みの技だったのです。


急募!英語ボランティア通訳 in 日本唯一虎竹の里

竹虎四代目、虎竹の里、竹トラッカー


いよいよ来週の15日となりました、坂本龍馬の生誕日であり、命日にもあたる日ですので龍馬の名言をお借りして「竹業界の夜明けぜよ!」をテーマとした全国竹の大会が58年目にして初めて高知県で開催されます。


さて、それに伴ってタイ国から12名もの参加の皆様が来高予定なのですが、どうしても虎竹の里を見学されたいとの事なのです。せっかく日本にお越しいただき高知に来られるチャンスですので自分たちにとっても喜ばしい事だと思っていたのですが参加者リストをいただいてビックリ!皆様が大学博士、教授の方々ばかりなのです!


東京大会、ティラポン氏、渡邉先生、竹虎四代目


実は昨年、東京大会にてタイ国の農業協同組合銀行の元頭取であられて現在はタイ国竹協会で活動されるティラポンさんにお会いしておりました。タイには王室御用達の素晴らしい竹工芸がある程のお国柄ですので竹工芸には高い技術力もあり、竹に関しても関心を持たれる方が多いと感じていたのです


タイの竹籠


この緻密な編み込みがお分かりいただけるでしょうか?指先と比べていただければサイズ感が伝わるかと思いますが本体部分て高さ3.8センチほどしかありません。精巧な作風で知られた竹芸家、塩月寿籃さんをして、この竹籠を見て「もう細かい竹編みはやらない」と言わしめたほどのタイの竹職人の究極の技です。


このうな素晴らしい竹芸のあるタイからの虎竹の里訪問団も、てっきり竹産業界の方であると勝手に思っておりました。竹業界の皆様でしたら言葉はそんなに必要ないのではないか?見て頂ければ分かる事も多いし、竹林に入って虎竹を見れば感じていただけます。自分が、今年の6月にサンパウロにあるジャパンハウスにお伺いした時に別日程でブラジルの竹林や竹職人さんを回らせて頂きましたが、もちろん通訳の方がおられると理解は深まるのですが言葉を必要としない部分での学びは非常に沢山ありました。


竹虎四代目、虎竹の里


しかし、これからの若い世代を教育する立場の大学博士や教授の皆様なら正しく日本の竹文化をお伝えせねばなりませんし、文献の残るだけでも江戸時代から続く自分たちの日本唯一の虎竹の事を、虎竹の里のこれからをお話ししたいのです。


そこで当日英語で通訳いただける方を探すことにしたのです。一週間くらいしかないのですが来週15日(水)全国竹の大会当日なので少し早いのですが朝8時から1時間半程度、場所は須崎市安和、虎竹の里の竹林と竹虎工場、店舗です。急だし、早朝だし通訳の方などにいるかなあ?虎竹の里の山々を眺めながら思っていまたら幸いな事に通訳お願いできる方がおられました。ホッとしちょります、皆様ありがとうございました!


アジア竹サミット・大分 Asia Bamboo summit in Oita JAPAN

アジア竹サミット・大分


今年の11月は竹業界にとっても非常に忙しい月となっています。来週には高知で初めて開催される全国竹の大会をひかえているのですが、この11月4日から6日までの日程でアジア竹サミット・大分が開催されちょりました。


九州は温暖な地域ですのでどこの県に行っても竹は多いのですが、その中でも大分県は全国第2位の竹林面積の広さを持ち、特に真竹の生産量は日本一という竹どころなのです。


アジア竹サミット・大分


会場となった日本文理大学には、アメリカ、中国、台湾、韓国そして日本と世界四ヶ国から集まった竹人が竹について様々な角度からご講演をされていました。一口に「竹」と言っても衣食住から文化、環境、エネルギー、アートまで本当に幅が広いのです。そして、その全てが繋がり可能性に満ちあふれています。


このサミットにも竹と様々な関わりを持つ方々がおられますが、古来、竹と人はずっと密接な関係をもって来ただけに世界的に見てもこれほどまでに注目され多方面に活躍の場が用意されている面白い自然素材は他には見当たりません。


Asia Bamboo summit in Oita JAPAN


今回の竹サミット開催には、生野祥雲斎さんが竹工芸界ではじめて人間国宝に認定された50年の節目という事もあったようです。その当時の竹と現在では竹を取り巻く環境も全てが違います。そして、それはこれからの竹についても同じで大きく変化していかねばならない曲がり角に来ているように感じていますが、講師の皆様のお話しを伺うにつれ、その思いを更に強くしているのです。


林秀鳳先生、アジア竹サミット


国立台湾工芸研究発展センターの林秀鳳先生が「台湾竹芸」という演目で講演されました。台湾の竹製品は機能的にもデザイン的にも非常に優れていて、ずっと関心がありましたので数年前にお伺いした事があります「台湾竹の旅」。その時には林秀鳳先生には詳しくご案内頂き竹工芸を色々とご教授いただきましたが、竹製品や竹利用を見ていると台湾には竹文化が今もしっかり根付いているのではないかと思ったのです。


虎竹照明、アジア竹サミット


アジア竹サミット・大分の檀上には竹編みの照明が置かれていました。その照明は日本唯一の虎竹で作られたものでしたが、実は本日、林秀鳳先生はじめ台湾竹工芸関係の方々26名が、その竹を見るべく虎竹の里にやって来られます。本日はあいにくの雨ですが、せっかくの機会なので少しくらい無理をしても竹林はご覧にいただくつもりでいます。


根曲竹の脱衣かご、孟宗竹の脱衣かご

根曲竹脱衣かご


根曲竹の脱衣籠は楕円形の形といい、細い竹の特徴を活かしてそのまま使った持ち手といい、六ツ目編みのざっくりした感じといい非常に格好の良い籠のひとつなのですが最近は職人さんの高齢化と共に段々と製造数が少なくなってきました。


根曲竹籠


竹の高齢化には二つあって、ひとつは竹伐り職人の高齢化、そして竹編み職人の高齢化があります。一般的に竹製造の方ばかりがクローズアップされる事が多いです、しかし「引きずり三年、枝払い八年」と言われます。それだけ竹伐りが難しい職人仕事であり竹産業として見た場合には竹伐り職人不在の現状も大きく、そこが原因で作られなくなった製品も多いのです。


根曲竹花籠


根曲竹は寒い地方に育つ竹で雪の重みに耐えて根元が曲がる苦労人のような竹ぜよ。冬場に成育する山々に入ると緑の葉に白い雪をいっぱい積もらせている姿を見る事ができますが、まさにこんな逆境だからこそ燃え上がる反骨精神で新しい竹籠への意欲がかき立てられる事もあるのです。根曲竹は細い稈でありながらも粘りや強さは本物、この素晴らしい竹に見習って粘り強くいかねばなりません。


孟宗竹角脱衣籠


脱衣籠といえば定番の四角い形をした塗脱衣かごの素地が出来上がりましたぞね。元々は真竹を使っていたのですが大きな竹が必要な事や、丈夫さなどを考えて近年では孟宗竹を使って作られています。


この孟宗竹を使った素地を塗って仕上げていきますが、角物の籠もまっこと(本当に)貴重です。他には恐らく見ないのではないでしょうか?結構普通にやってますが冷静に見たら凄いものが一杯なのです。


別誂え竹編みの重み...亀仙人になって山ごもりしたい。

別注竹ざる


少し前に竹虎に見本品として持ち込まれた竹ざるが編み上がりました。青々としていた竹ざるは天日に晒して水分を抜いてから微調整するのが、この職人の流儀。若い職人も驚くほどの堅牢な作りの竹ざるが、こうしてようやく完成したのです。


ところが、社員が出来あがりを連絡させて頂くと「まだ送らなくて良い」とのお返事だったと聞きました。これは意外です、少なからず驚きました。


直径70センチ別注竹ざる


プロの方が仕事で三十年、四十年使いたいから最高の竹笊をと言われましたので職人に無理をいって太い真竹を探して伐りに行ってもらいました、大きなサイズなので力が物凄く必要とされる骨のおれるお仕事なのですけれど、せっかくだから早いほうがよいかと思い仕上げていただきました。


横編み竹ざる


もしかしたら多くの皆様は、このような横編みの竹ざるは目にする機会が多いのでどこにでもあるように思われるかも知れませんが実は製作が非常に難しいのです。輸入の竹細工のこと分かりませんが国産でこのように美しい編み込は本当に少なく、特にこのような特大サイズは、いくら費用がかかっても良いのなら別ですが普通に編むのは無理です。


しかし、このような返事を言われるのは、お客様が悪いわけではありません。竹の価値や、別誂えの竹細工の重みをしっかり社員に伝えていなかったから起こる間違いです。横編みの竹ざるは、小さなサイズだと竹虎には沢山あるので普通の事だと思ってしまっているです。しかし、実際には日本製の横編み竹ざるは貴重です。


横編み竹ざる


職人さんも出来映えが素晴らしく「待ってました!今から車飛ばしてでも見に行きます!」そんなお声を頂けるような自信があるだけにお客様がどんなに喜んでいただけるのかを、ずっと楽しみにしています。早く届けてもらって、お客様に見てもらいたい気持ちなのです。


お届けさせていただくのは今回は2個だけ、しかし、別誂えの竹細工は最初から上手くできなかったり、サイズで微妙な違いがあったりしますから試作で何個が作るのが常です。つまり、2個の注文のところ、実際には倍の4個編んでいたりします。


別注竹ザル、竹虎四代目


そんな表には出ない苦労もありますが、お客様が何とか製作して欲しいという熱量を感じて作っています。熱には熱で応える職人を、いつも横目で見ている自分からしたら「違うな」と思いますけれどそれを伝えていなかったから自分の責任です。もし、ご存じならこのような事はありえません。亀仙人になって山ごもりして反省したい気持ちです。


東京東ロータリークラブでの講演

東京東ロータリークラブ講演、竹虎四代目


先日、東京東ロータリークラブさんにお招きいただいて講演をさせていただきました。ロータリークラブはシカゴ発祥で110年の歴史があり日本各地にも沢山の支部のある団体で会社経営者を中心に多くの方が参加されています。もちろん高知にもありますので一度同じような機会をいただいた事がありましたが、さすが東京東ロータリークラブさんとなると格調高いと言いますか、会場もあの有名なニューオータニで開催されています。


東京東ロータリークラブ講演会場


メンバーの皆様は毎週こうしてランチタイムに集まり食事と勉強会を兼ねて開催されていますので慣れたものなのかも知れませんが、田舎者の自分は日本の政治経済の中心地というだけで少し緊張してしまいます。


東京東ロータリークラブ講演


まあ、それはさておきこちらでお話しさせてもらう内容は何かと言いますと、昨年の竹トラッカーの挑戦の話をさせていただきました。題して「金がない!作れない!走れない!竹トラッカー危機一髪」。


東京東ロータリークラブ講演


今年に入り、このように登壇させていただけるチャンスがある度、竹トラッカーのお話をさせてもらいます。竹トラッカーの挑戦は終わったわけではなく実は来年の夏にも続いているからです。と言いますのも、WBC(World Bamboo Congress)という3年に1度、世界中から竹関連の方々が集まる会議があります。来年の8月にメキシコ、ハラパという町で第11回世界竹会議が開催されますがそこで自分が日本人としてはただ一人、Keynote Speakers(基調講演)として登壇させていただく事になっているのです。


虎竹は地域限定の特産品であり、江戸時代から続いてきた竹文化があります。日本唯一の虎竹をどう育み守ってきたかを語ること、そして虎竹の未来を考える事は世界の竹の未来へと繋がります。


東京東ロータリークラブ講演


クラウドファンディングで多くの皆様の協力で虎竹電気自動車竹トラッカーが完成しました。時代は大きく変わっていますが、この竹トラッカー製作のプロセスはひとつの分かりやすい事例でもあろうかと思い東京東ロータリークラブでもお話しさせてもらいました。


昨年は横浜まで1000キロを走りましたが、来夏はせっかくハラパまで行くので見た事もない町、竹のある豊かな自然のある町を走りたいのです。


出番待ちの虎竹山出用の運搬機

虎竹山出し用運搬機


山の職人さんの心強い味方は、このゴムクローラの付いた山出し用の運搬機なのです。竹は木材に比べれば直径も小さく、重さも比べものにならないかも知れません。しかし、伐ったばかりの虎竹はズシリと重たく一人で伐り倒して運ぶ事ができるとは言えこのような重労働があるのか?と言うほど大変な仕事です。


虎竹山出し運搬機、ラダーレール


しかも、虎竹の里はどこも平坦な竹林などなく急勾配の続く山々での作業となります。少しでも労力をかけず効率よく虎竹の運びだしをするためには、こうしてラダーレールを使い軽四トラックで運搬機械を運び、あの山、このやま、その竹林とシーズン中に行来するのです。


虎竹山出し用運搬機スタンバイ


これから新春にかけては虎竹の里の山々では、ブルーシートをかけて休む運搬機を見ることがあります。竹は毎年同じ竹林を伐るわけではありませんので、運搬機の置かれた山道への登り口から今年の新竹が伐り出されてくることが分かります。


虎竹の里


伐った竹がスルスルと竹林の間を滑って落ちていくほど勾配のきつい現場ばかりです。しかし、戦車のキャタピラのように強力なゴムクローラの付いた運搬機は小型ではありますが、力強く登って行くことができますので本当になくてはならない相棒です。


虎竹山出し用運搬機


昔の山の職人さんたちは、木製のソリ(キンマ)を肩に担いで山道を登っていましたので、その頃に比べれば運搬機の登場で労力は格段に少なくなりました。元々はこうして田畑で農作業用に使われていたミニクローラ運搬機を虎竹用に転用し、改良してきたものですがまさに虎竹の里では救世主のような存在でもあるのです。


リニューアルした虎竹名刺入れ「手のひらサイズの大自然」

虎竹名刺入れ


ずっと検討と試作を続けてきた虎竹名刺入れがようやく完成しましたぞね。とにかく一番の改良点である名刺の収納力が格段にアップして、これならどちら様にも満足いただいてお使いいただく事ができると思っているのです。


虎竹名刺入れ


革の色目は何種類か考えていました、できれば何色か用意してお選びいただけるようになれば素晴らしいですけんど、まず基本となる落ち着いた焦げ茶色から初めています。


虎竹名刺入れ開く


外側には虎竹の本体で包まれている名刺入れですが、開いた時には内側の革部分が前面に見えて竹だけでなく革のあしらいの大事さを思います。


虎竹名刺入れ


そして名刺の出し入れのスムーズさです。実は試作ではここの部分が気になるものが数点あり修正するようにしています。さすがに最初からパーフェクトな製品はできあがらないのです。


虎竹名刺入れ


「手のひらサイズの大自然」まさに虎竹の里を片手に収められる感じ、手触りも最高です。


虎竹名刺入れ


今回のリニューアルでは、ちょうどお客様からお預かりした名刺入れの修理も頼まれていました。せっかくなので新しい形に製作させていただいているのですが、とにかく長く愛用された虎竹名刺と新しくできたばかりの名刺入れの違いをご覧ください。長く手にすることで、こんなに色艶か深まってきますので本当に手放せなくなること間違いなしです。


国産竹皮草履の稲藁

竹皮草履製造


竹皮草履は夏場の履物のように思われていますが長年愛用される皆様ならご存知のように寒い季節になると自然な温もりがあって一年通してお使いいただける室内スリッパなのです。


竹皮草履鼻緒製造


国内では竹林の活用もほとんどされなくなっていますので当然の事ながら竹皮についても使われる事無くこれだけ素晴らしい素材であるにも関わらず竹林で朽ちているのが現状です。そんな中にあって、自分が竹虎に入社以来地元の竹皮を使った国産竹皮草履として少しづつ認知を高め、こうして沢山の方にお使いただけるようになってきたのは大きな喜びでもあります。


しかし、竹皮草履の材料集めも楽ではありません。下に剥がれ落ちた竹皮だけを使いますので連日竹林に入り竹皮を集めて干していく作業も実は大変な重労働です。


竹皮草履製造用の藁


さらに、竹皮だけでなく最近では藁の確保も大変になってきました。稲にも品種によって茎の長さに違いがあるのですが近年は大型台風が上陸するようになっていますので茎の短い品種である「短稈(たんかん)」に改良されています。稲作には良いことであろうかと思いますが竹皮草履づくりには出来るだけ長い稲藁が必要で、このあたりも思いがけず製造量に影響を与えているのです。


台風が大型になってきているのは地球の温暖化が原因ですし、虎竹の里の竹の色づきが良くないのも温暖化が大きな要因と考えられます。テレビや新聞で見聞きしても自分の事のように思えない地球規模の異変が、自然に近い仕事をしていると身近に感じられる事があります。




トントントン...竹皮草履用の稲藁を叩いてしなやかにしていく機械音が、急いだ時計の針の音のように自分を急かしているように聞こえてきました。