生誕百四十五年、竹芸家・二代飯塚鳳齋「竹を編み竹に生きる」

飯塚鳳齋展示会


生誕百四十五年、竹芸家・二代飯塚鳳齋「竹を編み竹に生きる」という展示会の案内を頂いておりました。飯塚琅かん斎という天才的な竹芸家がおられて主に海外でコレクターの方に高い人気を誇っているようですが二代飯塚鳳齋は、実兄にあたる作家です。


会場は生まれ故郷である栃木市にある、とちぎ蔵の美術館という所で高知からは随分と遠いのですがいよいよ最終日となった日曜日にどうしても観たくなって台風接近で帰りはどうなるか分からないと思いつつ駆けつけました。


竹虎が創業123年ですので、そのような昔に竹に取り組み、まだまだ低かった竹工芸の地位向上に尽力された作品だと思うと、ガラスケースに入れられて展示されているはずの50点が、蔵を改築した静かな会場の中から息苦しささえ覚えるほどの迫力で自分に向かってくるようです。


二代鳳齋の刻銘は何種類かあるようですけれど「鳳齋」には手彫りと焼印があると聞きました。そこで気になったのが網代編みで凝りに凝った飾り台です、当時は花活けを飾る台として使われていたという二種類が展示されています。この飾り台には焼印が押されているとの事です、つまり一品作ではなく工房で複数の職人が手をかけて創作していく大量生産されたものだと言われます。こんな凄い技法を駆使されている飾り台が沢山製造されていた当時とは一体竹にとってどんな時代だったのか?さぞかしエネルギッシュで面白い時代だったに違いありません。


夕立花籃という大正中期に製作されたという花篭にも足がとまります。籠の下半分で田園を、上半分にはそこに降り注ぐ雨を表現したという竹籠は粋です。


竹縁台


この日は台風の関係でしょうか全国的に雨でした。美術館を後に雨やどりしながら歩くと通路のテント下に竹縁台が並べられています。高名な竹作家が技巧を凝らして創り上げる究極の竹も素晴らしいですが、垂れこめた雲の下、自然という大作家が時間をかけて創作した錆びた竹にも心魅かれます。


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