実は、とても大事な事をもうひとつ申し上げておかねばならない事がありました。ここbambu indahの施設は自然豊かな中にあり、とにかく広大なのです。レストランも併設したホテルフロント棟から川に挟まれた高台のバンブードームまでは、かなりの距離があります。
しかし、どれくらい離れていて、その道のりが一体どのようなものなのか?これを知っておいていただかねばバンブーナイトをご理解いただく事もできませんろう。実は、いくつかの「結界」とも言えるポイントを通過して、この異空間とも言えるバンブードームまで辿り着くのですが、その道のりをご案内したいと思います。
まず、フロント棟から出てるとレストランの食事にも提供されている青々と健康的に育つ野菜畑のある中庭を通り抜けます。
最初の「結界」は大きな池にかけられた、この竹の橋です。日本でいうメンチクのような節の低い竹が無造作に並べられただけの質素な橋から始まるのです。
この橋を渡り、遠くの緑まで眺められる美しい庭園を横切って暫く歩きます。突然現れる小さな建物の中に入るのですが、内側には細い竹で設えた見た事もない部屋となっています。これだけでもビックリ仰天なのですが、更にこれがエレベーターと聞いて腰を抜かすのです!
しかもJohn Hardy氏の世界です、もちろんただのエレベーターではありません。動力部分は金属であるものの、その他のエレベーターの箱の部分であるとか、入り口のドアだとか、スイッチ部分にいたるまで全てが竹!竹なのです!
3人乗りの小さな竹エレベーターで井戸の穴のような地下に降りていきます!ここで完全に今までの日常を忘れ去ってしまっています。本当に信じられない気持ちでした、下に降りるにつれて暗くなる竹のエレベーター!もちろん初体験!
そもそも、どうして竹のエレベーターなど作るのでしょうか?まさに「クレイジー」、ワクワク感はマックスです!
竹エレベーターの竹ドアを開けると一人がようやく通れるような細いトンネルが出口まで続きます。
トンネルを出てもこの切り立った小道、ここまでが第二の結界です。お気づきのように、ここではコンクリートなどは全く使われていません。エレベータの穴もトンネルも、この小道も自然の岩肌や土がそのままだからこそ知らず知らずのうちに本来の人の感性が磨かれてくるように感じました。
ここまででも結構凄いのですが、実はまだまだこれからです。バンブードームの小山の裏手をゆったりと豊かな水量で流れている川をここで渡ります。
竹ヤライに挟まれた竹の吊り橋です。四国にも祖谷(いや)のカズラ橋というのがあり、渡るとかなり揺れるのですがこの竹橋も揺れています。
この竹ヤライの吊り橋で第三の結界となります。
竹ヤライの吊り橋を渡って辿り付いた対岸からは川沿いに作られた石畳の小道を歩きます。欄干などはありません、自然そのままです。当然夜は夜真っ暗です、遅い時間になってからは懐中電灯で足元を照らしながら歩くのです。何のことはありません、昔のままなのです。しかし、これは何と凄い事かと思います、他では経験できない第四の結界です。
石畳みの小道から更にもうひとつ竹の橋を渡って進みます。
緑の中に突如現れる半ドーム型の近未来的な竹建造物はこの辺りです。野外コンサート会場のようにも見えていましたが、そこも客室で宿泊のお客様がおられました。
今度は、この細い山道を登っていきます。
ややっ!?ここはまるで、虎竹の里にも竹林の中に残る1200年前から続く四国八十八カ所の遍路道のようです。ふと、先ほどの竹エレベーターの暗闇を思い出しました。
そう言えば35番札所清滝寺の薬師如来像の「胎内くぐり」と言うものがあって、細く真っ暗な回廊を手探りで進みます。厄除けにご利益があるとされていますが、明るい出口が見えるとホッとして新しい自分に出会えた気持ちになりました。あの竹エレベーターも、もしかしたらJohn Hardy氏が、そんな思いを込めて作られたのでしょうか?
しかし、確かにここに来ると何かが変わる気がします。日常をすべて脱ぎ捨てて本当の自分でいられるのがbambu indahかも知れません。そんな事を感じながら、しばらく歩くと階段に通じているのです。
最後の結界は、この螺旋階段です。大きな荷物を持っていると一苦労するような狭く急な階段を登り切って、ようやく竹のバンブーテントに辿りつきます。
自分のトランクを運び上げてくれたスタッフの方には本当に感謝です。自分は荷物を肩から一つしょっていただけですが、すっかり汗になってしまいました。
数々の結界を越えて、ここまで来ました。このスタッフの方が帰られたら、この高台に、たった一人。いよいよ静寂が訪れます。