これだけ竹を拝見させていただくと、どうしても気になってくるのがこれらの竹材や竹製品がどのようにして製造されているかと言う事です。そこで、Green school, green village,bambu indahなどの竹材を加工している工場の見学をさせていただきました。
Green school, green villageで沢山の竹建造物を見て、竹の家具やさまざまな竹細工にも触れてきました。竹を加工、製造する場合にいつも自分たちを悩ませていてる竹の虫や、竹材の割れ、カビなどの対処がどうなっているのか非常に関心のあるところでした。バリ島は熱帯であり雨季もあるようですし竹材の管理については、日本の自分達より難しいのではないかと考えていたからです。
工場の敷地に入れて頂き見た事のないような竹材が積み上げられているのを拝見すると、この竹材がこれからどんな加工をされていくのか?いきなりテンションが上がります。
こうして工場を見ると、日本にもあるような竹工場のようです。
竹材の建造物を考えた時に、虫害を特に大きな問題と捉えていたと思います。ここを、どうやって解決したのかが一番知りたい事でした。その秘密はこの金属製の釜にありました、ここで徹底して防虫処理が施されているのです。
ただし、自然環境を大事にされるJohn Hardy氏が人体や環境に負荷のかかる薬剤処理をするはずがありません。そもそも竹の集成材すら安全な接着剤を使用しているとは言え、あまり好まないのだと話されていました。
そこで防虫に使用されているのがボロン(boron)です。ボロンとはホウ素の事で昆虫に対しては高い防虫効果がありますが人に対しては食塩と同じ程度に無害な物質です。ボロンと聞くとピンときませんでしたが、ホウ素といえばゴキブリ退治に使うホウ酸団子などがありますのでなるほど防虫には最適の薬剤と言えます。
John Hardy氏は、この防虫対策の事をドイツ人の方から教わったと話してくれましたが欧米ではホウ酸がシロアリ駆除にも使われているそうですので、その効果の高さと安全性は実証されていた事なのです。
釜に5~8%程度のボロンを入れて煮沸していき、その熱湯に24時間も竹材を漬け込んでおくそうです。
ボロン処理の前には竹材全てに溶液がいきわたるように竹の節を抜いて置く必要があります。何と節をぬく道具は日本と全く同じ鉄筋でした、鉄筋に入った細かいギザギザが竹節に引っ掛かり綺麗に取り除いていけるのです。
ずっと疑問に思っていた防虫の問題は解決しました。大きな竹構造物を竹材で支えていますので虫は大きな問題だと思っていましたが、ずっと注意して見ていても虫害にあった竹は、ほとんど見当たらなかったので不思議だったのです。
また、丸竹を多用しているのに割れの発生している箇所がありません。この画像は竹工場ではなくてbambu indahのレストランだ竹に穴をあけて、竹留め具を取り付けてある所です。身の薄い竹だとしっかり固定できないものですが、しっかりと留まっています。また日本の孟宗竹なら穴を開けた近くから割れたりしそうなものですが、そのような事が起こらないほど身に厚みのある丈夫な竹なのです。
この竹工場自体も柱や梁など全て竹材が使われています。バリ島だけでなく近隣の島からも竹材を集めているそうですが、このような天井の高い大きな建物に使われる竹は、大きいだけではなく身の部分が厚くて、頑丈な竹だと改めて感じます。
工場の一角に竹建造物のデザインなどを担当する部署がありました。室内の天井には何やら吊り提げられていて最初は地元バリの鳥籠のようにも思っていましたが、よく見たらひとつ、ひとつ形が違うのです。
実は今まで建築された竹の建物の模型だと言うことでした。実際に建てる前にこうしてミニチュアを作るのですが、ここに吊られている全てがすでにGreen school, green village, bambu indahなどの施設に建てられているそうです。まさに夢の工房です。
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