30年前からずっと大好きな喫茶店があるのです。知る人ぞ知る高知の名店、茶房「淳」がその店ぜよ。場所は窪川と言った方が自分など馴染みがありますが今の四万十町にあります。この町は県西部の田舎にあるのに、このような個性的な店舗や洒落た店、美味しい食材が豊かな面白い所ながです。
ずっと不思議だったのですが最近これは四万十川のせいなのかも知れないと思いよります。日本最後の清流は、その源流から何と196キロもの長さを蛇行して中村(四万十市)まで辿りつくのですが、その雄大な行程の中で自然の恵みを窪川にも、そしてアチラコチラに振りまきながら行きゆうがですろう。
土佐の自然の恵みは素晴らしく、有り難いです。自分たちの虎竹にしても、まさに恵みそのもの。記録には藩政時代からの物しか残ってはいませんが、四万十の流れが遥か昔からあるように虎竹もずっとこの里に育まれていたのだと思います。
さて、「淳」の開店は確か昭和39年やったと思いますので既に50数年の時が刻まれちょりますが店内に入ると珈琲好きにはたまらんような良い香りに包まれます。これが昨日や今日、豆を煎った香りではなく長年煎り続けた煙に、まるで煤竹が燻されたかのように珈琲色に変色した店内の壁から柱から装飾物から、それこそ四方八方からの香りに全身を包まれる感じなのです。
いやいや、それにしてもココ本当に落ちつく。久しぶりに来てもやっぱり素晴らしいお店ぞね。最初に出して頂く竹のおしぼり入れも半端な雰囲気ではありません、しっかりとコーヒー色に染まっていて存在感はまるで店の顔のようなのです。
「淳」に来ると食事をしていようが、していまいがお腹の好き具合など関係なくサンドウィッチを頼んでしまいます。いつ食してもホッとできる味が、まっこと嬉しいのです。
サンドウィッチがのせられた、この竹笊も渋い。一体いつから使っているのだろう?どれだけ燻したら、こんな珈琲色になるのだろう?先代の店主の方が、かなり趣味人だったと思うのは図面竹などを店内にさりげなく立てて使っているからですが、やはりその竹も見た事がないくらい焙煎の煙で煤けています。100年の時を重ねた煤竹のように渋い風合いになった竹など全国探してもここにしかないのかも知れませんぞね。
この店を知った頃に、人から教えてもらったアイスウィンナー。季節に関係無く、ここに来て頂くのは決まっちょります。この年齢になっても、これ以上の珈琲は飲んだことがないのです。
コメントする