寿司バラと言われても普通の方は一体何だろう?と思ってしまいます。バラは九州の方言で竹笊の事なのですが、寿司バラとは寿司飯をつくる竹笊の事を指します。一般的には寿司飯は寿司桶で作るものであって、竹笊で寿司飯を作るなどあまり馴染みのない方には意外に感じられるかもしれません。ところが、親戚や友人知人が集まる際には寿司バラがないと何もできないと言われる職人さんもおられる程なのです。
昔から沢山の方をもてなす場合に多用されきたためサイズ的にも比較的に大きいものが多いのです。大量の寿司飯を作った後の乾燥を防ぐために竹編みの蓋付なのですが、しっかりと蓋の閉まる細工には長い経験が必要とされます。
竹籠の使い方も地方によりそれぞれなので驚くような使用法もあるのですが、まだビックリには早いのです。蓋部分は真竹が使われているこの寿司バラ、網代の底編みは何と蓬莱竹(ほうらいちく)。南方系の株立ちになった細身の竹で、かっての戦国時代には火縄銃の火縄として重宝された竹でありますもののその後は護岸などに役立つ他あまり活用されてこなかった竹ぜよ。
しかし、柔軟性に富み、しなりがあって細工しやすい特性は細やかな編み込みにはピッタリなのです。さすがに竹職人はそのあたり見逃しませんにゃあ。蓬莱竹は西日本なら各地で見ることのできる竹で、川岸に並んで繁っているのはお馴染みの光景でもあります、ただ川辺の竹は水分が多いという事で材質的にあまり好まれる事はありません。
山の中腹に成育する竹を伐採していますが孟宗や真竹、淡竹のように竹根で広がっていきませんので良質の竹材を大量に確保するとが難しいのです。優れた竹素材のひとつでありながら製品利用されることが極めて少ない理由の一つだと思っています。
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