この竹の色艶をご覧ください、見るからに年季を感じさせる雰囲気の素晴らしい竹細工を発見しましたぞね。特に注目していただきたいのは矢筈巻で仕上げられた口巻部分ぜよ。矢筈巻きは、じゃばら巻きとも呼ばれる口巻きの技法ですが、この技を使って仕上げられたスズ竹行李はかなりのレアな一品。そもそも行李自体、製造できる職人さんがいなくなって今では殆ど見ることの出来ない商品になりつつありますが、たまに新しく編み上がる行李は全て口巻きは籐で巻かれています。
これは買い出しなどに使われている市場籠などにしても同じで一部の凝った買い物籠は別として、それ以外は全て籐巻き仕上げです。籐は竹と親和性が高く、竹細工には普通使われていますので例えば竹虎で使う四万十カズラのように何処か日本の山でも採る事のできる素材のように考えられている方もいるかも知れません。ところが、昔から日本にはなかった素材で全て海外から輸入されている材料ですから、口巻きまで同じスズ竹を使い矢筈巻きされた行李は、そのような材料が入って来て一般的に使われるようになる前の時代に作られたものなのです。
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