昭和中頃の時代まで、世のお母様方はこのような買い物篭を提げてお買い物に出かけられたものです。しかし、このスズ竹で編まれた手提げ籠は丈夫で使い勝手も良いので別に古い時代のものという事ではなく現在でも人気が高く、観光客にも有名な日曜市や産直市場などでも良く見かける買い物かごのひとつなのです。
若い皆様にとったら、このような竹の買い物篭は見たこともない新しい製品以外の何物でもないのかも知れません。しかし、竹虎の社員として働きだして竹の良さや強さを間の当たりにして、沢山のご愛用いただくお客様の声などにも触れているうちに自分でも使ってみたくなり毎日の通勤にスズ竹市場籠を持ちはじめる方が少なくないのです。
休憩室にズラリと使い込んだスズ竹市場籠が並んでいるのを見ると、まっこと嬉しくなってくるのですが、やはり日本人の血だなあと思う瞬間です。実際に使ってみますと持ち運びのしやすさ、腰当たりの優しさ、出し入れしやすい口の広さ、容量の多さ、何処にでも置ける安定感など機能面の素晴らしさにも気づきますし、使うほどに色合いの深まってくる感じにも愛着を感じてもらっています。
実は素材のスズ竹は「竹」と名前がついていますが笹の仲間です。竹と笹の区別は非常に微妙で明確なものがありませんが一般的に稈表皮に竹皮がついたままのものは笹類と思ってもらってかまいません。
このように細身の素材なのですが、これが割って編み込みにしますと柔軟性に富み、粘りがあって本当に強靱なのです。薄くすればするぼとに、しなりが生まれ折れる事がない素晴らしい竹素材ですから買い物籠のような大型製品ばかりでなく、小さなお弁当箱や蕎麦ざる等にも多用されています。
一体いつからなのか分らないくらい昔からの網代編みの技法。縄文時代の遺跡からも、この網代痕がある土器が出土しているそうなので遙か古から延々と続いてきた編組(へんそ)技術なのです。
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