竹は本当に魅力的な植物です、知れば知るほど他にはない生命力と秘められた神秘性を感じます。虎竹の古里である焼坂の山を車で登っていくと、人が一人あるけるような細い道が枝分かれするように伸びています。それは竹林に続く道であり、父や祖父や曾祖父が通った道。一人行けば土佐藩政の頃の息づかいさえ感じずにはいられない魂の場所。
竹虎は今年で創業123年、ずっと竹と向き合い竹と共に生きてきました。竹の可能性を思い「21世紀は竹の時代」と言い始めたのは1985年の事、世の中はバブルと呼ばれるような好景気に向かっていましたが、自分達にとっては竹が急速に忘れられ時代に置き去りにされたかのように感じる暗い冬の時代の到来だったように覚えています。
しかし、どんな時代であっても世間がどうであろうとも、虎竹の里では季節になれば筍が生え、青々とした葉を風に揺らしながら大きく育ち、時期になれば伐採された竹が前の年と、その前の年と、更にその前の年とも同じように山から運び出されて来るのです。
まるで息をする事と同じように当たり前に、ずっと小さい頃から何ひとつ変わることなく続いてきた虎竹の里の営み。在サンパウロ日本国総領事館のお招きでジャパンハウス・サンパウロ(JAPAN HOUSE Sao Paulo)でお伝えさせて頂く内容はそんな自分達がずっと続けてきた、ごく当たり前の日常の話。これからの100年に向けた竹虎四代目の、ささやかで、たったひとつの願いでもあります。
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