伝統を受け継いできた竹籠に口巻きの方向が違うような事があるがやろうか?今まで資料館に展示されている籠などはもちろんの事、倉庫に収納されているような古い籠まで各地の竹細工を見てきました。そして、現在も編み続けられる竹を見回してみてもそのような例はあまりないがぜよ。
どうしても気になって聞いてみる事にしたのですが、実はもしやと思い少し予想していた返答が返ってきたのです。左巻は師匠からの助言だったと言います、この方は左ききで右巻の竹編みでは、どうしても力が入らず困っていたそうです。それを見た師匠のアドバイスで反対巻きを試してみると力を入り上手に巻くことが出来て、それ以来ずっと左巻で編まれているとの事でした。
今回のケースの場合には当事者から直接お話を聞くことができるので謎も解けてスッキリしました。しかし、このように右巻の竹細工が左巻きで伝承されるのは近年の事であり、また非常に希な事ではないでしょうか。
右きき、左ききの職人は昔から沢山あったろうと思われますが、そのような中であっても右巻の竹細工、左巻の竹細工と明確に別れずっと続いて今日まで続いて来ているからです。
日本では縄文時代後期(前2500年~前1300年)の遺跡から、現在も同じように使われている網代編みや、四ツ目編みの技法の竹籠が出土しています。身近で加工性の高い竹は、数千年前から日本人の暮らしと共にあり、そんな悠久の歴史を経て今なお残る竹の技への関心は高まるばかりなのです。
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