左巻きの竹編みは一部の地域を除いては、ほとんど見られないと思われていますが実は篠竹細工など東北地方の竹編みは、かなり広い地域に渡って左巻きです。真竹等とは違う笹類の仲間なので、その竹の種類の違いかあるのかとも一瞬考えてみました。
ところが、同じ篠竹を使う竹細工も北関東より南に下がってくると、どういうワケか右巻きになっていますので面白いものです。以前のブログでもお話しさせて頂いた事がありますが、かって東京の江戸川沿いに繁っていた篠竹を使った篠崎ざるには200軒もの竹職人がいたといいます。
こちらで拝見した堅牢な竹籠はすべて右巻きでした。多摩のメカイとして知られた篠竹を使った竹細工があります、一昔前には大量生産されてトラックに山積みされて築地などの市場に運ばれいた生活用品として広く流通していた竹製品です。このメカイについても古い時代の籠から、新しい籠までやはり右巻きで仕上げられています。
西日本に来ますと篠竹など細い竹を使う編組細工はほとんどなくなります。唯一、河川の護岸などに多用されていた蓬莱竹(高知ではシンニョウチクと呼びます)という南アジア原産の竹が使われるくらいでしょうか。そして、ほぼ当たり前のように右巻きの籠ばかりになっていて、突如として左巻きの籠が現れるのです。
しかし、淡竹をそのまま使う籠というのは無骨ぜよ。他の竹に比べれば決して洗練された感じはありませんが人を惹き付けて離さない不思議な魅力と力強さがある竹です。青かった淡竹籠が渋い風合いになってくるほど年を重ねてみても、この口巻き方向の謎は解き明かされることなくただそこにずっとあるのでした。
コメントする