そもそも真竹ではなくて、どうして淡竹を使っているのか気になります。真竹の方が細工がしやすいのではないろうか?そう思って今まで何度も、何人もの職人に聞いた事がありますが淡竹を使う職人は全員が淡竹が粘りがあり扱いやすいと口を揃えるのです。
これは孟宗竹を使う竹職人にも共通しちょります。どちらかと言えば編組細工には向いていない竹素材だと思われていますので孟宗竹で籠を編むと聞いたら驚く方もおられますろう。ところが、孟宗竹を昔からずっと使ってきた職人にとってはこれほど扱いやすく、強く、綺麗な竹編みができる素材は他にないと熱く語って譲りません。
小さい頃からの思い出があるせいか人一倍思い入れが大きい竹茶碗籠たち。ここに3つ並んで写っているのは、手前二つは淡竹で編まれた籠、右上に写っているのは青物細工では日本でも指折りの名人級の腕前だった職人から頂いた思い出のある真竹製の籠ぞね。
それぞれの竹籠で見ていたら気づきにくいのですが、こうして並べてみると違いがお分かりになられる方もいるのではないでしょうか?試しに竹虎の職人ではありませんが、社員に持ってもらって質問してみると正解を言うてくれました。そうなのです、口巻きの方向が二つの竹籠で違います。黙って渡すとなかなか気づくものではありませんが、さすがです。
真竹や淡竹、あるいは蓬莱竹など竹の種類には関係なく、竹籠の縁巻きは竹ヒゴを右巻きにしていくのが一般的と言ってよいほど多いです。海外で編まれる製品の中には同じ形の籠でも右巻き、左巻きが混在している場合がありますが日本国内で昔から編まれてきた竹籠は右なら右、左なら左、この淡竹茶碗籠でしたら何個編んだとしても全て当たり前に左巻きなのです。
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