倉富敏之先生の作品は凄い。ご自身も竹が好きで素晴らしい竹籠も編まれるし、竹の研究や職人への技術指導にもずっと携わってこられ竹の事を熟知された先生ならではの作品だから凄いのです。そして、先生の竹のように真っ直ぐな「私の手仕事のなかで伝えたい」思いに感動します。
竹の編み方は200種類以上と言われますが、身近で加工性の高い竹は全国各地で様々な利用をされ発展してきた長い歴史があります。同じような編み方でも呼び名が異なったり、微妙な違いがあったりしますが、それらを版画として残すと同時に各地の名称を統一して明記されるという誰もしてこなかったであろう仕事にも挑戦されてきました。
ご自身の作品を見る目は優しいです、しかし、まったく満足されている様子はありません。竹は、まだまだ奥が深く、やりたいことは沢山あると話されます。
しかし彫刻刀の跡の残る原版も圧巻です。「竹編組と技術技法の基本形」竹編みを紹介して、中央にはその竹編みの技をつかって製作される竹細工を描かれています。
どれほどの情熱を注げば、どれだけ竹を愛したら、このような作品が生まれてくるのだろう?これが本物だと思います。竹を志す全ての竹人の工房にこれらの版画が掛かっていると素晴らしいとさえ思うのです。
版画家 倉富敏之先生の作品
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