昨日は地元紙に虎竹バックを掲載いただいた話題でしたが、実はその前に「虎模様 ファッションに」という見出しで朝日新聞の「明日を拓く」に掲載いただいていました。いよいよ来週はパリでの展示会が始まります、花の都と言われる大都市に自分のような田舎の竹屋です、「ファッション」という言葉も全く似つかわしくありません。
しかし、竹の育たないヨーロッパでは竹がエキゾチックなものとして捉えられていて竹製品自体もそれなりの人気があるようです。前に行く機会のあったパリでは竹の鉢植えをあちこちで見かけましたし、竹林公園のようなものまでありますので、どうやら竹そのものに人気があるようにも感じています。
さて、その竹ですがパリで見かけた竹は、小ぶりで株立ちのようになっているものも多いのです。どうも日本でみる竹とは違っていますので、これは東南アジアなど熱帯地域に多い竹だとばかり思っていました。もちろん、そのような竹もあろうかと思います、なにせ竹の種類は世界では1300種類もあって自分も知っているのは極一部です。見たことのない竹があることも容易に想像できます、しかし、中にはどう見ても孟宗竹なのに細い笹類かのようになっている竹もあるようです。
実はこれには理由があると、竹の権威であられる農学博士、渡邊政俊先生に教えていただきました。竹は熱帯系の植物であり、日本の場合には気温の高い夏に雨が多く水分が十分足りていますので竹の生育にも適した環境となっています。ところが、ヨーロッパの場合には暑い時期に雨が少なく乾燥しているそうなのです。
「雨後の筍」という言葉があるように、竹の成育には水分が大きなカギになっています。竹が成長したい時期に水不足だと大きくなることができず、株立ちとまではいかずとも日本ではあまり見かけることのない少し頼りないような育ち方になっしまうのです。
鉢植えにして水やりをして人間が育てないといけないヨーロッパの竹。一方、日本では増えすぎて、伐っても伐っても生えてくる逞しい生命力にあふれる竹、同じ竹でも随分と違いがあるものです。こうして世界的に見ても竹の生育には日本の風土は最適なのだと改めて思います。
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