高知市内に数十年仕事で通っていた方とお話ししていると、市内の北側に連なる山々の景色がずっと変化し続けてきたと言いいます。通勤をはじめた若い頃には、樹木に覆われていた山肌が年を追うごとに孟宗竹の竹林が広がり、今ではすっかり竹ばかりになってしまっていると言うのです。
多くの方はあまり気にもとめていないので、たまに山々を眺めることがあっても、こんなものかと思う程度かも知れません。この方のように竹林の変化に気づく方は本当に少ないのではないかと思いますが竹林は元々は美しく、力強い成長力は毎年人々に恵みを与え続けてきた素晴らしい山の幸でありました。高知市の北山の辺りも、かっては筍の産地として人の手が入り、日当たりと風通しのよい竹林が広がっていた地域だといいます。
ところが、そんな竹の生命力の強さが今、問題となっています。竹は地下茎で広がっていきます。そこに筍が出たとしたら、地下茎はさらに15メートルから20メートル先まで伸びているといいますので圧倒的な竹の力に改めて驚かされます。
たまに前を通ることのある茶畑に季節になると毎年のように筍が生えます。茶畑の背丈が低いので筍が生えると竹林に伸びる筍とは比べものにならないくらい良く目立っています。数日見なかったら数メートルの高さのちょっとした太い木のように成長しているのです。
一体いつ伐り倒すのだろうか?
あまり頻繁に人の来る茶畑ではないようで、大きく成長する筍を見ると伐らないと困るのではないかと思ったり、せっかくの天を目指して育つ筍だからと複雑な思いにもなったりするのです。しかし、そうこうしている内に筍は見事に伐り倒されて、何もなかったかのような元の茶畑に戻ります。
大きく成長しているとはいえ柔らかい筍は根元を蹴り倒すこともできるので取り除くことは容易です。このように新しく生えてくる筍を全て倒していれば竹林はそれ以上広がる事はありませんが、そんな手間さえ入れられない山林に竹の勢力が広がって竹藪となっているのです。
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