竹の凄さを感じてもらうのに今日ご覧いただきたいのはこちらの古民家なのです。古い家の壁は土壁で設えられている事が多いと思います、土壁はご存じのように柱の間に格子状に組んだ木舞竹に土を塗って仕上げるものです。
以前は竹虎でも壁竹の製造を沢山していた時代もありました。土壁の中の骨として使われている竹は一目に触れることなく縁の下の力持ちのように頑張っていますが、この家の壁は竹そのものが使われているから驚きです。丸竹に背割りを入れてバラバラにならないように注意しながら一本づつ平らにしていく竹ヒシギ。この茅葺き屋根の古い民家の壁は、まぎれもなく竹そのもので出来ていたのです。
天井に竹材を多用されていて、囲炉裏の煙で燻され100年、200年という時間の中で煤竹という渋い色合いの竹になる事はご存じの方も多いかも知れません。屋根裏で長期間使われていたものですから全てが竹細工に使えるという事でもありませんが、高級竹材として茶華道用にも珍重されています。
煤竹と言えば祖父の代からお付き合いさせていただいてきました渡辺竹清先生の作品を思い出さずにはおれません。長い年月を経た竹だからこそ醸し出される凄みすら感じる竹が、匠の技で生まれ変わり新しい命を吹き込まれて次の世代に繋がっていくのですから日本の文化は豊かで素晴らしいものだと改めて感じるのです。
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