出張から帰ると、読む事のできていない高知新聞に目を通す事にしています。全国のニュースはホテルのテレビやスマホでもチェックできますが高知の地域に限って言えば高知新聞ほど細かく網羅してくれているものはないのです。
昨夜も帰宅してから、いつものように新聞を広げてみますと先週土曜日の紙面に「大火被災 呉服店再会へ」と言う見出しが目に飛び込んできました。年末の新潟県糸魚川市の大火は画面で見ていても凄まじく心の痛むものでしたが、そこで一部店舗を焼失した山岸呉服店さんの記事でした。
「山岸?」自分と同じ名前を活字で見ることはあまりないので親近感を持って読みすすめますと「1870年創業」「6代目」...。1894年創業の山岸竹材店は四代目、名前だけでなく歴史の古さなど妙に共通点が多いのです。当たり前のように、30年前に竹虎を襲った大火災が頭をよぎります。
年末のかき入れ時で通常より多くの呉服の在庫があって被害が大きくなったと書かれていますが、竹虎にも次の日の朝、関西に向かって運ぶ予定の竹製品が大型トラックに満載されていました。せめてトラックだけでも工場から出せないかとドアを開けようとしましたがカギが無くて動かせなかった。やきもきしている間に火が迫り遂には工場も店舗も全てが灰になってしまうのですが、あの時の恐怖、不安、失望感...。しかし、この新聞に掲載されている山岸さんはそれらに真っ向から立ち向おうとしている。
色々な感情がこみ上げてきて言葉になりません。
深夜、自分が誰かに呼ばれるように真っ暗な工場に引き寄せられ発見した火事でした。実家の家業を継ぐ決心をした火事でもありました。焼け野原になった会社で難を逃れたトラックに竹を積み、全社員が団結し青空の下での製造を再開し、地域の方の協力もあって今日があります。
糸魚川市では雪で成人式の時期が少し遅いそうです。山岸呉服店さんも店舗の修繕をされ、新成人のみなさんのため仕事には万全の態勢で頑張られると記事にありました。大火災から30数年経って虎竹の里の自分達こそ、もう一度ゼロから始める気概が必要と感じています。
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